番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【10時のグッとストーリー】
今日は、今週のテーマ「この歌詞の、ココが神ってる」にちなんで、リクエストの多かった中森明菜さんの『セカンド・ラブ』の歌詞にまつわるグッとストーリーを、作詞した来生えつこさんに伺いました。
1982年5月に発売された『スローモーション』。当時16歳だった中森明菜さんのデビュー曲です。
その作詞を手掛けたのが、来生(きすぎ)えつこさん。弟のシンガーソングライター・来生たかおさんとのコンビで、76年に作詞家としてデビューした来生さんは、81年、大橋純子さんに書いた『シルエット・ロマンス』がロングヒットとなり、注目を浴びていました。
「レコード会社のディレクターが『歌の上手い子だから、難しい曲でも大丈夫』と言うので、たかおも私も、力を入れて書きました」と言う来生さん。歌詞の中に、
というフレーズが出てきます。
ストライドとは「歩幅」を意味する陸上用語ですが、マラソン中継を見ていて、偶然この言葉を耳にした来生さんは、いつか「ストライド」を歌詞に使おうと、メモしていたのです。
「歌詞というのは、使いたい言葉やフレーズがあって書くものなんです」という来生さん。
明菜さんは『スローモーション』を、新人離れした歌唱力で見事に歌いこなし、評判を呼びました。
ただしセールスは、オリコン最高30位。
「もう一押し、大ヒットになる第2弾を」ということで、弟のたかおさんがレコード会社と打ち合わせをしたとき、たまたま聴かせたストックの曲に、ディレクターが反応しました。「これ、いい曲ですね!明菜にもらえませんか?」
まだ歌詞が付いていなかったその曲、実は『シルエット・ロマンス』の続編の依頼が来ると思い、大橋純子さんを想定して書いた曲でした。しかし発注が来ず、お蔵入りしていたのです。改めて陽の目を見ることになったその曲に、詞を付けることになった来生えつこさん。
「大橋さんが歌うなら大人の女性になりますけど、明菜さんは10代でしたから。“まだ恋をよく知らない女の子”というイメージで、詞を書きました」
そのとき来生さんの頭に、ある思い出が甦ってきました。来生さんが二十歳ぐらいの頃、同年代の男性と、何となく惹かれあうようになり、デートを重ねたことがあったのです。
「でも、その人になかなか『好き』と言い出せなくて… 一緒に歩いていたとき、彼のセーターの袖口を、そっとつまんでみたくなったんです」
「好き」という、その一言が言えないもどかしさ…そんな思いが、このフレーズになりました。
その彼とは、結局自然消滅になったそうですが、その時のことがずっと記憶に残り、「このフレーズを、どうしても使いたかったんです」という来生さん。
曲を渡された明菜さんは、繊細な女性心理を書いた詞と、美しいメロディに感動するあまり「私が歌ってもいいんだろうか?ヒットしなかったらどうしよう?」と不安に思ったそうです。
こんな大人の歌詞が、自分に表現できるんだろうか…当時17歳の明菜さんは、戸惑いながらも、自分なりの解釈で、この曲をレコーディング。
82年11月、『セカンド・ラブ』はデビュー第3弾シングルとして発売され、明菜さんは大切に大切に、心を込めてこの曲を歌っていきました。それが聴く人の心に刺さり、明菜さんは初のチャート1位に輝いたのです。
ある歌番組でこの曲を歌った際、思うように声が出ず、歌い終えて悔し涙を流したこともあった明菜さん。この曲は、明菜さんにとってかけがえのない曲になり、以後も代表曲として、コンサートで歌い続けていきました。
番宣確認番号 JBS1603300009
番組情報
あなたのリクエスト曲にお応えする2時間20分の生放送!
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