大谷翔平も仰天!?球速170キロを超えるメジャーリーグの“体感球速”とは【やじうま好奇心】

By -  公開:  更新:

来年はいよいよ、お楽しみのWBC(ワールドベースボール・クラシック)が開幕いたしますね。
ところが、一部報道によりますと「次回でWBCは打ち切りになる可能性がある」とのショッキングな話が浮上しているそうです。
どうやら“言いだしっぺ”のアメリカがサッパリ勝てないということで、このままだと我がベースボール王国アメリカの面目が丸つぶれだ!いっそのこともう辞めちゃえ!! …というのが“打ち切り説”の根拠のようです。
で、これまた一部報道によりますと、ひょっとしたら最後になるかもしれない次回のWBC…アメリカはその威信にかけましてメジャーの一流どころを惜しげもなく継ぎ込んでくるのでは?とも言われています!

さてそうなると楽しみになってくるのが、侍ジャパンの若きエース「大谷翔平」対「アメリカの超強力打線」という構図です。
ご存じのように大谷投手は10月16日クライマックスシリーズ第5戦のソフトバンク戦で、日本球界史上最速となる「165キロ」を連発しました。
メジャーにとってみても165キロを投げる投手となると、そうはいない「はず」!…大谷のボールをみたら、みんな腰を抜かすか、きりきり舞いの「はず」!…「ひいき目」も手伝いましてそう思いたくなるじゃないですか。
ところがそうは問屋が卸さないようで…今、メジャーではなんと!「夢の170キロ」が当たり前の世界になりつつあるというんです!

これまでの「世界最高球速記録を持つ男」とはキューバ出身のサウスポー、アロルディス・チャップマン(Aroldis Chapman・ヤンキース)。
まだシンシナティ・レッズにいた頃2011年4月19日の対パイレーツ戦。
チャップマンは「106マイル」キロに換算して「170・06キロ」をマークしました。
あれから5年以上経った今も、この数字を超える記録は生まれていません。

世界で唯一170キロ台をマークした頃のAroldis-Chapman 20110424

世界で唯一170キロ台をマークした頃のAroldis Chapman 20110424 写真提供:時事

さて、それなのになぜ「170キロ」が当たり前になりつつある…というのでしょうか?
ここ最近になってメジャーで本格的に導入されはじめた、従来とは全く違う「新しい球速解析システム」にあります。
その名を「パーセイブド・ベロシティ(perceived velocity)」。
「perceive」とは「気付く」とか「○○を感知する」という意味…で「velocity」とは、ズバリ「速度」という意味…。
つまり「perceived velocity」とはズバリ「(打者)体感速度」という意味になります。

これに対し、従来の球速解析システムを「アクチュアリー・ベロシティ(actually velocity)」──「現実の速度」と呼びます。

そして、いまのメジャーリーグでは「アクチュアリー・ベロシティ」(現実の速度)よりも、「パーセイブド・ベロシティ」(打者体感速度)のほうが、より重視され始めているんです。

この「打者体感速度 解析システム」というのが、タイヘンなシロモノでして…なんと、ピッチャーがボールから手を放すポイント、いわゆる「リリースポイント」まで計測できるようになっているんです!

よく「あのピッチャーはタマ離れが遅いから、実際の球速よりも速く感じる」なんて聞きますよね。
どういうことかといいますと、タマ離れが遅ければ遅いほど、ホームプレートの近くで投げてくることになる…
そうすると、バッターにとっては、より速く見えるということなんです。

マウンドからバッターボックスまでの距離は「18メートル44センチ」。身長が高くて腕が長いと、この距離を、いくらか、短くできます。
短くできると、そのぶん近くから投げ込んでいることになりますから、バッターにとっては随分と速く見える…。
この感覚までをも含めて数値化したものが「パーセイブド・ベロシティ」(打者体感速度)なんです!

現在、メジャーリーグの試合を見てみますと「perceived velocity」→「○○マイル」なんていう字幕スーパーが出てくるくらい、当たり前の数字になりつつあるんですが…
じゃあ、この「パーセイブド・ベロシティ」(打者体感速度)が一番速いと言われている投手は、いったい誰か?

…実は、チャップマンじゃあないんです!
「打者体感速度ナンバーワン投手」とは、ズバリ!パドレスの抑え投手、カーター・キャップス(Carter Capps)という男!

マリナーズ在籍時のCarter-Capps-20120917

マリナーズ在籍時のCarter Capps 20120917 写真提供:時事

去年2015年までイチローと同じマーリンズにいたこのキャップス。
この年のシーズンではリリーフで30試合に登板、1勝0敗、防御率はなんと1.16をマーク!
奪三振は打者「118人」に対して半分近い「58個」という、脅威の奪三振マシン。
これまでの計り方ですと、球速は「162キロそこそこ」なのですが…
「打者体感速度」パーセイブド・ベロシティで計ると、チャップマンよりも「上」!
なんとなんと… 「170.46キロ」を何度もマークしているんです!

なぜこのキャップスが170キロ以上に及ぶ打者体感速度を出せるのか?
実は、ちょいと「いわくつき」でございまして…

このキャップス投手、投球動作の途中、完全に「一度前にジャンプしながら」投げている!
軸足(右足)だけで前方にジャンプ、50センチ近くバッターに近づいてから投げているんです!

この「ツーステップ投法」あるいは「ジャンプ投法」とも言われている前代未聞の投げ方。
マイナー時代には2回、反則投球とみなされたのですが、メジャーでは「御咎めなし」ということになりました。
なんでも、投球動作開始時にプレートに足を付いており、そのまま「流れ」で投球に至る…ということで、ルール上は何の問題もないというのです。
ただし、日本の審判はみんな「あの投げ方は完全なボークだ」と言っているそうです。
私も動画でみましたが… ありゃ素人目にみてもアウトに思えるんですが、どうなんでしょうか(笑)。
最近のキャップスですが、春先に肘の手術(※トミー・ジョン手術)を受けまして、今シーズンは棒に振ってしまったのですが…その後の経過はしごく順調。
この「ジャンプ投法」を駆使すれば「体感速度」175キロも夢ではないそうです。
ことによると、きたるWBCで「日米最速投手対決」が見られることになる… かもしれません!

ちなみに、メジャーで導入された新しい球速解析システムでは「試合の映像」から球速を分析することもカンタンにできるようになったそうです。
つまり、外野手やキャッチャーが投げるボールのスピードも正確に計測できるようになったのですが…
今シーズン、とんでもない出来事があったのをご存じでしょうか?

今年の4月20日、ヤンキース対アスレチックスの一戦。
ヤンキースのレフト、アーロン・ヒックス(Aaron Hicks)外野手が、ワンアウト満塁という局面で、ボールをとるやいなや、バックホーーーム!
みごと、ホームを狙った三塁走者を刺したのですが…
「おい、いまの返球、すげぇ速くなかったか?」ということで、最新の映像解析システムでもって計測してみたところ、なんと… 驚くなかれ!
105.5マイル(約170キロ)という数字が出まして、みんなひっくり返ったそうですよ。

ピッチャーも、ついでに外野手までもが170キロをバンバンと投げてくるアメリカ!
やはり侍ジャパンにとっては最強の敵として立ちはだかってくることになりそうです!

radiko_time_0105

12月28日(水) 高嶋ひでたけのあさラジ!三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より

Page top