わだかまりをなくす方法がひとつあります。
悪いことをしたなと思ったら、寝る前に仏様にお詫びをしましょう。
「わたしは今日、こんな悪いことをしてしまいました。ごめんなさい」。すると胸がすっとしてその日のわだかまりがとれて安眠できます。でも私たちは凡夫なので、明日また悪いことをいたします。そうしたら、また謝ります。
翌日も、その翌日も、同じことがくり返されます。
そのうち自分のバカさ加減に気がつきます。「人の悪口をいうまいと思ったのに、昨日も今日もいってしまった。自分はほんとうに意志薄弱な人間だ」。つまり、自分の愚かさ、つまらなさを知らされるのです。
自分の愚かさに気づいた人間は、人に対しても偉そうなことがいえなくなります。人の愚かさにも寛容になれます。
心のわだかまりをなくすというのは、そういうことです。瀬戸内寂聴
撮影:斉藤ユーリ