初めて、結びの一番に挑んだ荒鷲、初日から連勝を続けていた白鵬をわずか3秒足らずで下しました。
「見ての通りだね。こういうこともある」
と言葉少なに白鵬は振り返っていましたが、よもや負けるとは思っていなかったでしょう。何しろ、白鵬は2009年秋場所で翔天狼以来、初顔相手では28連勝です。
まさか、まさかの結果に、土俵下で勝負を見守った藤島審判長(元大関武双山)は、
「けいこ場で1000番やっても、白鵬が勝てる相手。でも、荒鷲の気迫は大したもの」
と驚きを隠せない様子でした。
荒鷲は、46本の懸賞で(手取り)138万円を獲得したことに、
「あんなに重いのは初めてです。片手では持てない」
と、しみじみと語っています。
モンゴル、ホブド出身の荒鷲は、初のモンゴル出身力士の1人、旭鷲山にスカウトされて荒磯部屋へ入門します。父、エレヘバヤルさんは、ソウルオリンピック、レスリング代表のアスリート。小柄ですが、スピードがあり、入門時から期待の力士でした。
ところが、幕下時代の06年初場所で左肩の脱臼。脱臼はクセになる、といわれますが、その後も計7回。手術を受け、懸命のリハビリで克服したそうです。ただ、師匠の荒磯親方(元小結二子岳)が定年で、部屋が閉鎖となって花籠部屋へ移籍。
初めて、スポットを浴びたのは、11年名古屋場所の番付発表でした。5月の技量審査場所では東幕下3枚目で3勝4敗と、負け越し。にもかかわらず、八百長問題で引退、解雇された力士が多かったことから、新十両へ昇進したのです。
外国人力士としては、72場所の戦闘竜に続く、所要68場所で史上2番目のスロー出世で2014年夏場所、新入幕。今場所は自己最高位で、しかも金星を2つあげています。
勝ち越すためには、残り7日間で6勝が必要ですが、昨日のような相撲ができれば、不可能ではありません。
1月16日(月) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」