さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、1月28日から全国ロードショーとなる『キセキ −あの日のソビト−』を掘り起こします。
歯科医と音楽、どっちも本気!奇跡を生んだ“輝石”の青春ストーリー
厳格な父の反対を押し切って家を飛び出した、ミュージシャンの兄ジン。
父の想いを受けて歯科医師を目指す、弟ヒデ。
しかしヒデも、歯科大学で出会った仲間との出会いにより、音楽の魅力に引き込まれていく。
ヒデはナビ、クニ、ソウを誘って「グリーンボーイズ」を結成、自分たちの音楽を作り始める。その頃ジンは、仲間との意識のズレや、自分がやりたい音楽とレコード会社から求める路線とのギャップに悩んでいた。
そんな時にグリーンボーイズのデモテープを聴くと、心の底から音楽を楽しんでいるようなメロディーと歌声が流れてきた。
弟たちの才能を肌で感じたジンは、ヒデとヒデの音楽仲間たちに自分の夢を託すことを決める。しかし、問題は恐ろしい父親。
歯科医にはなりたい、音楽もやりたい。でも、父には絶対に言えない…。
そこで彼らは「顔出しNGでCDデビュー」という、前代未聞の作戦を取ることに…。
2008年に発売され、「日本でもっとも売れたダウンロード・シングル」としてギネスに認定されたGReeeeNの名曲「キセキ」。
『キセキ −あの日のソビト−』は、その誕生にまつわる軌跡と奇跡のストーリーを描いた青春ドラマです。
ジンとヒデの兄弟を演じるのは、『マエストロ!』『日本のいちばん長い日』の松坂桃李と『暗殺教室』『ピンクとグレー』の菅田将暉。
事務所の先輩後輩で共演の機会が何かと多いこの二人。
それだけに“兄弟”という間柄がピタリとハマり、息の合った芝居を見せています。
ヒデ率いるグリーンボーイズのメンバーに、横浜流星、成田凌、杉野遥亮といった次世代イケメン俳優たち。
撮影前からボイストレーニングを重ね、レコーディングやライブシーンでの歌い方や動きは、本家GReeeeNのスタッフ直伝によるもの。
実在のミュージシャンを演じるというプレッシャーをはねのけ、素晴らしいパフォーマンスを見せています。
さらにヒデのガールフレンドに忽那汐里、ジン&ヒデの両親に小林薫、麻生祐未と脇を固め、爽やかな感動ストーリーが完成しました。
GReeeeNと言えば、メンバー全員が歯科医で素顔や本名は一切明かさない…という、言わずと知れた異色ボーカルグループ。
今年1月には、10周年記念ライブを開催。
彼らの楽曲は、あらゆる世代の、さまざまな環境下に置かれている人たちに寄り添う“人生の応援歌”的な存在。
また“顔を出さない”という一見不利な状況を逆手に取ることで、モーションキャプチャーを使用してライブを行うなど、時代の最先端技術を取り入れた斬新なアイデアで、常に日本の音楽シーンの先頭を走っている印象があります。
本作のサブタイトルにある「ソビト(=素人または空人)」を体現するように、自由に新しいことに挑戦し、自分たちならではの夢の形を追い続ける姿は、まさに「奇跡」であり「軌跡」。
きっとGReeeeNのメンバーにとってはいまも夢の途中であり、そんな彼らが真摯に発信し続ける音楽だからこそ、私たちは心打たれるのだということに、この映画は改めて気付かせてくれます。
キセキ −あの日のソビト−
2017年1月28日から全国東映系にて公開
監督:兼重淳
出演:松坂桃李、菅田将暉、忽那汐里、平祐奈、横浜流星、成田凌、杉野遥亮、早織、奥野瑛太、野間口徹、麻生祐未、小林薫 ほか
©2017「キセキ −あの日のソビト−」製作委員会
公式サイト http://kiseki-movie.com/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/