トランプ大統領観るべし!『王様のためのホログラム』【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第148回】

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さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、2月11日から全国ロードショーとなる『王様のためのホログラム』を掘り起こします。

人生、なんとかなるさ?! 崖っぷちビジネスマンの人生応援ムービー

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業績悪化の責任を問われ、大手自動車メーカーの取締役を解任されてしまったアラン。
家も車も美しい妻も一瞬のうちに失ってしまった彼は、娘の養育費を支払うため、IT業界に再就職。
一発逆転をかけて奮起するアランに課せられた業務は、サウジアラビアの国王に、立体的な映像を投影する3Dホログラムを使用したテレビ会議システムを売ることだった。

しかしサウジアラビアに降り立つも、オフィスは砂漠に建てられたテントでWi-Fiも繋がらない。
しかもプレゼン相手の国王は各地を飛び回っていて、いつ会えるか分からない。
おまけに上司からはプレッシャーをかけられる毎日。

異なる文化や環境に追い詰められていくアランだったが、思いもよらぬ人が救いの手を差し伸べる…。

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ピューリッツァー賞候補にもなった人気作家デイヴ・エガーズの小説を原作に、エリート人生から転落した主人公が異国でのビジネスに奮闘する姿を描いたハートフルストーリー。
一言で言うなれば“外国で人生哲学に開眼したお話”といったところでしょうか。

言葉も通じない異文化の地に我が身を置いたことがきっかけで、それまでの人生観や価値観が変わった…という経験は、海外旅行や留学などを通じて経験ある人も多いではないかと思います。
ただガムシャラに頑張るのではなく、あくまでも流れに身を任せて「これでいいのだ!」とバカボンのパパよろしく(?!)目の前の物事を有りのまま受け入れていくサマを、トム・ハンクスが気負うことなく演じています。

「これでもか!!!」と言わんばかりに難題が降り掛かってくる度に見せるトムの“困ったちゃん”な表情に爆笑。
そして次第に「頑張れ!」と応援したくなるのは、トム・ハンクスの俳優としての魅力がなせるワザでしょう。

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監督を務めたのは、トム・ハンクスとは『クラウドアトラス』に続き二度目のタッグとなるトム・ティクヴァ監督。
なんでも原作小説が発売された2日後に、ティクヴァ監督はエガーズ氏にコンタクトを取り、映画化を申し出たとか。
そしてトム・ハンクスもまた、自身のTwitterでこの本を大絶賛し、映画化と出演を熱望したというから、これぞまさに以心伝心!?
映画化されるべくして誕生した映画と言っても過言ではありません。

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人生応援ムービーである一方で、異なる文化・価値観の者どうしが互いを理解し共生することで新しい時代を創り出すことの意義も訴えている本作。
折しもアメリカは新大統領就任以降、排外主義へと傾倒している危うさも…。
ひょっとしたら、原作小説発売や全米公開されたタイミングより“今が旬”の映画かも。

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王様のためのホログラム
2017年2月10日からTOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー
監督:トム・ティクヴァ
出演:トム・ハンクス、サリタ・チョウドリー、アレクサンダー・ブラック、シセ・バベット・クヌッセン、ベン・ウィショー、トム・スケリット ほか
©2016 HOLOGRAM FOR THE KING LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト http://hologram-movie.jp/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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