高嶋)3月場所の番付が発表されて、19年ぶりに、日本出身の横綱・稀勢の里が誕生しました。
そこで、今回は横綱の「綱」にまつわるお話です。
けさは、両国国技館の館内放送「どすこいFM」で、2003年の夏場所から女性初のキャスターを務めている相撲ジャーナリストの下角陽子さんにお越しいただきました。
下角)20㎝足らずですが、綱の実物を持ってきました!!鶴竜関の綱です。
綱を作る時は長めに作って、余った綱をお世話になった人に配るんです。
触れるだけでも、うらやましいといわれる力士憧れの「横綱の綱」。
今回お借りする事が出来ました。
中にずっしりとした重みを感じますよね。
周りが晒(さらし)木綿の布でできていて、なかに麻のひも状のものと、銅線が入り、ぎっしりと詰まった感じで、3本の綱が簡単に言うと三つ編みの状態になっています。
1月、5月、9月、東京場所の前に年3回この綱をつくる綱打ちをします。
「麻もみ」と言われる作業が大変。
朝稽古が終わると土俵いっぱいにブルーシートを広げ、その上にゴザを敷いて米ヌカを山盛り乗っけます。
そのヌカで麻を揉むのですが、麻は最初「タコ焼きを入れる舟」みたいな長細い竹の皮のような状態になってます。
それをヌカで洗濯物を手洗いするようにゴシゴシと根気よく揉むと、だんだん糸状にほぐれていくんですね。
最初は紐じゃないので、大変。その麻を一本揉み終わるのに一時間以上かかるという事です。
世話人さんの話では、白鵬関と稀勢の里関は腰の横のあたりまである程度太い状態ですが、今は鶴竜関だけ脇の周りだけ細くなっています。
腰が割りにくいので補足してほしいという注文があったそうですよ。
横綱それぞれの体形に合わせたオートクチュール。
ちなみに、稀勢の里関は雲竜型。
雲竜型は綱の結び目が一輪となるため、輪っかが2つの不知火型より短く軽量なんです。
平成以降誕生した横綱のうち、雲竜型は6人いますが、最も軽いのは、鶴竜関の6.2kg、新横綱稀勢の里関が6.4kgと2番目に軽い綱になっています。
一方、綱が重いのが、輪っかが2つの不知火型。
一番重かったのは横綱、白鵬関の綱は、はじめは13kgでした。
高嶋)白鵬の綱は太かったよね。
下角)さすがに重過ぎて、軽く10kgしたそうです。
体がそんなに大きくない日馬富士関でも、8.7kg前後もあるそうです。
大変なのが、大相撲の華、横綱土俵入り!!
化粧まわしの重さによりますが、合わせて20kgから30kgのものを腰につけて、せりがあがっていく横綱土俵入りは、鍛え上げた横綱でもなかなか大変だそうで、相撲を10番くらい取ったくらいの体力がいるとか。
ちなみにこの綱を締める人たちも大変!
高嶋)あれは大勢で締めるよね?
下角)締めるのは付け人さん。横綱の後ろに1人左右に2人ずつ、前に1人で、あわせて6人で締めるんですが、その中央の人というのが特に重要。
バランスが崩れたり、中央の要なんで、綱がゆがんでしまったりで、うまい人が締めないと横綱が痛い思いをしたり、痛めたりするんです。
高嶋)使い終わった横綱はどうしているの?
下角)朝青龍はご自身で1つ持っているそうですが、一般的には博物館や学校などに寄贈されているようです。
神様が一度宿った場所なので、縁起がいいと言われています。
3月3日(金) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より