番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【10時のグッとストーリー】
今日は、地元・埼玉県産の小麦粉で作った「コッペパン」の専門店をオープン。
自ら「魔女」を名乗り、美味しさの魔法をかけている女性のグッとストーリーです。
JR浦和駅から歩いて5分ほど、住宅街の中に、おととしの暮れ、一風変わったパン屋さんがオープンしました。
店先の立て看板には、魔女がかぶる先のとがった帽子が描いてあり、店内にはホウキ、そしてアンティーク調の壁時計…お店の名前は「魔女のコッペパン」。
店頭で販売しているパンはコッペパンだけ、中に総菜系からジャムまでいろんな具材をはさみ、30種類近いメニューを揃えています。
このお店の店主は、自ら“魔女”を名乗る菅原宏美(すがわら・ひろみ)さん。
「魔女ネームはケッセル。年齢は300歳です(笑)」
結婚をきっかけに、埼玉に移ってきた菅原さん。もともとは、宮代町の農業体験施設に勤めていました。
入った早々「ハーブ園」の担当を任された菅原さん。
実は、それまでハーブ類があまり好きではなく、特にハーブティーは、以前飲んだカモミールティーが口に合わず、大の苦手でした。「もう絶対飲むもんか!」と思っていましたが、ある日、農園で摘んだ新鮮なハーブのお茶を一口飲んだら、考えが変わりました。
「ハーブティーってこんなに美味しかったんだ! 私、ものすごく損をしてたな…」
菅原さんは、もっとハーブのことを勉強しようと図書館に通い、ハーブにまつわる本を手当たり次第に読んでいきました。そこで、昔のヨーロッパには、ハーブを使って病気を治していたという“魔女”がいたことを知り、「自分は、病気は治せないけれど、美味しいものを作って、みんなに提供していく“魔女”になろう」と決意したのです。
菅原さんは勤め先の農園で、バジルペーストや収穫した果物でジャムを作っていましたが、それを使った商売を始めようと思い立ち、おととし、同僚3人と一緒に独立。
そこで菅原さんが思い付いたのが「コッペパンを作ること」でした。バジルペーストを塗って具材を挟めばお総菜になり、ジャムを塗ればスイーツになるコッペパン。
「でも、パンなんて作ったことがなかったし、また一から勉強しました」という菅原さん。
持ち前の研究熱心さで、試行錯誤しながら作り方を覚え、小麦粉の配合も徹底的に研究。
地元の埼玉県産にこだわり、坂戸市で作っている「ハナマンテン」という、香りのいい小麦粉をベースに、様々な埼玉県産の小麦粉をブレンド。
「埼玉は広いですから、同じ埼玉の小麦粉でも、産地によって微妙に味が違うんです」
菅原さんは、何度も比率を変えてパンを焼き、ついに最高の配合にたどり着きました。
このコッペパンに、野菜や卵サラダ、ハムなどを挟む総菜系のメニュー「マンプク」と、あんこやカスタード、抹茶クリームなどを挟むスイーツ系のメニュー「ベツバラ」があり、様々なバリエーションが楽しめます。菅原さんに一番人気のメニューを聞いてみると…
「蒸し鶏のレモンバジルですね。レモンと塩と胡椒だけで味付けしてあるので、後味がいいんです」
鶏肉を低温スチームで柔らかくしてあるキメの細かさも、人気の秘密です。
また、コッペパンに挟む具材も、埼玉県産にこだわっています。県内の農家の人たちとはすっかり仲良くなり「今はこの野菜がおいしいよ」「甘いイチゴが採れたよ」と、向こうから声を掛けてくれるようになりました。そういう旬の野菜・果物を使った限定メニューも人気です。
開店から1年3ヵ月が経った「魔女のコッペパン」。
開店当初から、子供を連れて毎日のようにコッペパンを買いに来てくれるお母さんがいます。その子も3歳になり、自分で歩いて、お店に入ってくるようになりました。
そのお母さんがひとこと
「うちの子は、ここのコッペパンで育ったようなものよ」その一言が、本当に嬉しかったという菅原さん。
「大変なことも多いですが、好きなことができて幸せです。これからもコッペパンを買ってくれるお客さんたちに“美味しい魔法”をかけていきたいですね」
番組情報
あなたのリクエスト曲にお応えする2時間20分の生放送!
今、聴きたい曲を書いて送ってくださいね。