昭和の雰囲気漂うリードオフマン楽天・茂木栄五郎内野手(23歳) スポーツ人間模様

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開幕から好調が続く、楽天。17試合を消化し、13勝4敗で勝率7割6分5厘とパ・リーグの首位を快走中です。
とりわけ、目立つのはリードオフマンの茂木栄五郎でしょう。プロ2年目、昨日も2安打を放ち、打率3割4分2厘、本塁打5本、13打点は驚異的。ところが、これほどの大活躍をしていても、地味な印象を受ける。

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【プロ野球ソフトバンク対楽天】5回、本塁打を放つ楽天・茂木栄五郎=2017年4月21日 ヤフオクドーム福岡 写真提供:産経新聞社

昭和の雰囲気が漂うのは、名前の影響かもしれない。キラキラネームが当たり前の昨今、栄五郎と聞けば、大ベテランのような感じがします。しかも、171センチと小柄で、表情から強烈なインパクトを受けることもない。そうはいっても、プレーを見れば、明らかに玄人好みで、梨田監督が1年目から大抜てきしたことがうなずけます。

2015年ドラフト3巡目で、早大から入団。オコエが話題を独占しただけに、気の毒な一面がありました。とはいえ、楽天のルーキーでは、野手として球団史上初の開幕スタメン。しかも、ショートです。学生時代は3塁手でしたが、内野の要がいない。そこで梨田監督の目に留まり、大抜てき。リーグ最高の19失策ながら、そこは名手が集うショートですから、大健闘でした。116試合をこなし、本職の3塁は1試合。

通常、守備の負担が大きくなれば、打撃に悪影響を及ぼしそうですが、茂木は違いました。打率2割7分8厘は、チームトップ。ルーキーのチーム首位打者は、史上15人目の快挙でした。また、ランニングホームランを2本記録。92年の巨人・川相以来、13人が14度達成しているものの、新人では初めてです。1本目のランニングホームランは8月25日のソフトバンク戦でしたが、「小学生以来…」と本人もビックリ。

走攻守そろった、これからの侍ジャパン候補は、兄の龍五郎さんの影響で小学1年からリトルリーグで野球をスタート。甲子園こそ、出場できなかったものの、順風満帆なキャリアといえるでしょう。でも、大学2年でドクターストップがかかった。不整脈でした。高校時代から症状があったということですが、カテーテルアブレーション治療を行ったため、このシーズンは、わずか1試合に出場しただけ。復帰した翌シーズンには再び、大活躍しているだけに、見えない努力は相当なものだったことでしょう。

謙虚で努力を惜しまない性格は、学生時代以来、変わりがありません。だから、周囲が全力で応援したくなるのがわかる。昨年終盤、新人王を日本ハムの投手、高梨と猛烈に争っていた時、

「絶対にぼくではない。高梨さんです」

と他人事のように話していた。

しかし、梨田監督は、少しでも打席が回るように1番で起用するなど、尽力を惜しまない。それどころか、

「プロに入ってからショートに挑戦して可能性を広げた。新人におくられる賞にふさわしい選手だと思う。しかも、負担の大きいポジションでこの成績。高梨の10勝もすごいけど、大岡裁きがあってもいい」

と、言葉でもバックアップをしました。

結果は、パ・リーグ18年ぶりとなる野手の受賞は次点に終わりましたが、今シーズン、2年目のジンクスなど全く感じさせない大活躍です。愛称はモギー。注目しましょう。

4月24日(月) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」

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