5/4(木・祝)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③
韓国大統領選挙 最終世論調査で文氏優勢
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター佐藤優(作家・元外務省主任分析官)
韓国大統領選 結果発表まであとわずか
韓国の世論調査機関「リアルメーター」は昨日、大統領選挙の主要5人の候補について、1日から2日に実施した、最終の支持率調査の結果を発表しました。それによると、革新系最大野党「共に民主党」の文在寅候補が、42.4%で、依然トップを保っています。
高嶋)いよいよ来週の火曜日です。それでは終盤の選挙戦の様子も含めて、ニッポン放送報道部、森田耕次解説委員です。
森田)韓国では公職選挙法上、昨日3日以降に行った世論調査の結果は9日夜の投票終了まで発表や報道が禁じられていますので、各報道機関は昨日、直前の2日までに行われた世論調査の結果を一斉に伝えました。
この内、世論調査機関「リアルメーター」の発表によると、革新系最大野党「共に民主党」の文在寅候補が、42.4%で、トップを保っており、中道野党「国民の党」の安哲秀候補と、保守系旧与党の「自由韓国党」洪準杓候補が、いずれも18.6%で並んでいます。
また、ソウル新聞等での調査だと、文在寅候補が40.6%、洪準杓候補が19.6%で2位に浮上しています。一昨日行われた中央選挙管理委員会主催の第3回テレビ討論では、各候補は「記者会見を増やす」等の公約を競いました。
ただ、これまでの討論会では「国民の党」の安哲秀候補が説得力のある議論を展開できず、支持率低下に繋がっているとされています。
また、韓国大統領選ではアメリカ軍の最新鋭迎撃システム「THAAD(高高度防衛ミサイル)」の韓国配備の是非も焦点に急浮上しています。アメリカのトランプ大統領が「配備費用の10億ドル(約1,100億円)は韓国が負担するべきだ」と主張したことで、「費用はアメリカ負担」と国民に説明してきた韓国政府の立場が揺らいでいます。
文在寅候補は「政権を執ったら、これまでのアメリカとの協議を洗い直し、その結果を元に、THAAD配備の可否を、国会の判断に任せる」と言う主張を強めています。また日韓関係についても、文在寅候補の陣営関係者は、「韓国と日本は朴槿恵政権で近づきすぎた」と、こう述べています。
日本は選挙結果を見越して用心しなければならない高嶋)北朝鮮の問題で大騒ぎしている最中、韓国は前大統領の裁判が始まり、そして次の大統領について選挙戦の真っ最中。何だか、浮き世離れしている感じもしますが、これはどのように分析されるのでしょうか。
佐藤)基本的に朴槿恵さんとの逆打ちでいくと思います。そういう形で行くのですから、その意味においては、いわゆる革新系。それから北朝鮮に対して異様な敵な勢力がかつてない基本的な流れ。その文在寅さんのエラーが少ない、ということでしょうね。今のところ。ほかの人たちはいろいろなエラーをする。説明で滞ってしまう部分に対して、有権者たちが予測している通りの反応をしていると思います。
高嶋)しかし、文在寅さんの1人勝ちしそうな状況ですが、コチコチですよね、この人は。
佐藤)日本から見ると大変ですね。ですから、慰安婦関連は見直しどころか、売国的な、朴槿恵が行ったことの負の遺産、みたいな討論になるでしょうね。
高嶋)まだ早いですが、これだけ差が付くと文在寅さんで物を考えざるを得ませんが……
佐藤)一般論として、民主主義国の世論調査でこれくらいの差が、要するに最終調査でひっくり返るというのは、よほどのことがない限り、無いですよね。ですからその考えは合っています。日本は相当心してかからないといけない。だから釜山の総領事館の前の、慰安婦像に追加して、徴用工像とかね。そういった感じになっていきますね。今後は。
高嶋)何年時計の針を戻したら文在寅さんになるのですかね?
佐藤)「時計の針を戻す」と言うより、「螺旋でぐるりと上がっている」感じかもしれません。ですから、反日の傾向は、「昔の反日みたいだな」と思うのは、逆に耐性が付いてしまっているのです。ですから、慰安婦合意をやってしまったので、それが予防接種みたいになり、「その程度の内は絶対に合意に応じない、もっと厳しくする」、こんな感じになるでしょうね。いまは世界的にナショナリズムの時代ですから。ですから韓国でこういう風に加速していくのはやむを得ないのです。それから、半島国家というのはどうしても地政学的に緊張が集まるので、その緊張が反映している面もあるのです。なので、これは左派政権と言うよりも、朴槿恵政権と比べてよりナショナリスティックな方向になる。これが、今回の文在寅さんが強くなっている遠因だと思います。
複雑な民族感情と日本の関係性高嶋)安倍さんはトランプさんの場合、当選する前から訪問していて、当選後もすぐにいろいろやった。それからプーチンさんとは、この間で17回目の会談をやっている。韓国に関してはまったく聞こえてこない。これは、水と油のような感じですか?
佐藤)そうではなくて、もう少し冷たい対韓政策だと思います。要するに、先ほど地政学の話をしましたが、4つの大国。日本、アメリカ、中国、ロシア。4つの国が1つの方向を作り上げるのなら、この朝鮮半島の状況は北も南も押さえ込める。非常に大国主義的かつ地政学的な勢力均衡の発想で見ていると思います。
高嶋)北朝鮮にそんなにも近い文在寅さんは、いろいろな国が北朝鮮に対して危険視して、「何かあったら、やってしまおう」と言う状況なのに、どうするつもりなのですか?
佐藤)考えていないと思います。ただ、1つ言えるのは、北朝鮮の核ミサイルが自分たち、韓国に飛んでくることはないと考えているのは間違いないですね。
高嶋)国民もそう思っているから穏やかなのでしょうか。あれだけ北で騒いでいるのに。
佐藤)いえ、ここは非常に不思議な話なのです。これは韓国の有識者や元外交官の話ですが、北朝鮮がどこか核開発ができているとか、弾道ミサイルを飛ばしたりしたら、韓国はまだ大気圏外にまだ出せていないですからね。人工衛星とか、打ち上げられないですから。「すごいだろ」みたいなのがあるのです。同じ民族同士で優秀だ、と。ですから、日本で北朝鮮の悪口を言い過ぎると、韓国人はだいたい反発します。ですからその辺の民族感情は、けっこう難しいのですよ。