これから暑くなる季節、あなたはどんな飲み物を手にしますか?
飲料業界ではこの時期、新製品が出揃うわけですが、私はちょっと変わった飲み物が気になりました。
「サントリー天然水 PREMIUM MORNING TEA レモン」。
見かけは透明でミネラルウォーターなのに、味はすっきりとしたレモンティーなのです。
ネット上でも、「水なのか?レモンティーなのか?」とか、「画期的すぎる」などと話題を呼び、4月末の発売ながら、今猛烈に売れているそうです。
そこで気が付いたのが、“こうした味付きの水がけっこうたくさんある”という事実です。
マーケティング会社の富士経済によりますと・・・
東日本大震災震の原発事故によって生活用水としての需要が急激に伸びたことによって、2011年以降、「ミネラルウォーター」市場が拡大し続けています。
その中でも、ノンフレーバー、つまり味付きでない普通のミネラルウォーターは、ほぼ横ばいなのですが、『フレーバーウォーター』、つまり味付きの水はぐんぐん伸びています。
見渡してみると、いろんな果物の味、炭酸水ながらレモン味、といった「フレーバーウォーター」がいくつもありますので、あなたも口にしたことがあるのではないでしょうか。
では、どういった人がこうした味付きの水を飲んでいるのか?
年齢は幅広く、20代から70代まで。
ミネラルウォーターだと「飽きる」とか「最後まで飲みきれない」ものの、『ジュースだとカロリーが気になる』人が、買っている場合が多くみられます。
こうした理由で、実は男性も非常に多い。
フレーバーウォーター市場に火をつけたとされているのが、2010年日本コカ・コーラが出しているミネラルウォーターブランド「い・ろ・は・す」の「温州(うんしゅう)ミカン」味。
「い・ろ・は・す」は、日本各地6カ所から天然水を採取していて、売っている場所でそれぞれの地元の水になるよう、ちょっとずつ採取地を変えています。
その一環で、その土地土地の名物をミネラルウォーターに加えて、フレーバーウォーターを作った結果・・・現在、売り上げナンバーワンの「山梨のもも」。そして「長野のふじりんご」「瀬戸内のスパークリングレモン」など。
そして、“お土産に買ってきて”と頼まれる、九州限定「福岡のあまおう」の北海道限定の「はすかっぷ」などを加えると、現在12種類にも及んでいます。
またそれぞれの味は、場面が設定されていて、「もも」=癒し、「みかん」=元気、れもん=気分転換、「ぶどう」=ごほうび。
こうしたマーケティングによって、採用する味を決めています。
また日本コカ・コーラがうまかったのは、ネットの使い方。
「い・ろ・は・す」のツイッターで『次に出る味は何でしょう?』というアンケートを行って盛り上げ、1位に輝いたのが「なし」。
これを受けて「鳥取のなし味」発売の際には、平井知事がちゃっかりアピールしていました。
ちなみに、話題となった「トマト味」はもう消えています。
これに対して、後続ながら巻き返しを図りたいのが「天然水」ブランドのサントリー。
「い・ろ・は・す」のみかん味から遅れること4年の2014年、『朝摘みオレンジ』を発売し、さらに、大きな話題になったのが翌2015年の『ヨーグリーナ&サントリー天然水』。
透明な水なのにヨーグルト味、という驚くべき組み合わせがSNSから火がついて、フレーバーウォーター市場最速のペースで、累計販売数量1,000万ケース大ヒットとなりました。
「天然水」シリーズはヨーグリーナやレモンティーなど、「い・ろ・は・す」にはないフレーバーで攻めることでその存在感を強めています。
さて、フレーバーウォーターはミネラルウォーターのカテゴリーには入るものの、甘いわけですから、カロリーが気になります。
たとえば、「い・ろ・は・す」シリーズの味付き水は、開発の際に、100mlあたり、19キロカロリー以下、という制限を設けています。
ただし、500mlだったら、90カロリーになるわけで・・・
無味無臭の「無」だったところについた新たな付加価値のフレーバーウォーター。
今後も、味のバリエーションも、あり得ない味とのドッキングの挑戦も、ネット上での話題も合わせて増えていきそうです。
5月16日(火) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より