突然ですが、あなたはパンをどのくらい食べるでしょうか?
実は、パンを毎日食べるのは20代ですと26%ほどなのですが、以降どんどん増えて、特に60代以上はものすごく多くなっているのです。
パン好きの人やパン業界から、ひと月30万回見られているパンの専門ニュースサイト「パン速報」や、ほぼすべてのパン屋さんに無料の業界専門誌「ベーカリーパートナー」を届けているという、パン業界の今に詳しい『グローアップ』という会社がありまして、ここが2,000人以上のシニア(60代以上)にアンケートを行った結果・・・
『94%が週に1回以上パンを食べ、そのうち4割が「毎日食べている」』と答えたのです。
さらに買うパンについても、多くが「焼き立てパン」の店で買う。
シニアは食が細くなりがちだと言われますが、時間とお金はある。
よって、パンにもこだわっているのです。
ではどんなパンが人気があるのか?
アンケートの結果から、圧倒的に「食パン」。
パン業界では、「メロンパンやカレーパンが美味しい店が人気店となる」というのが定説でした。それがここに来て、『食パンの美味しい店こそシニアに受け入れられる店となり、人気店になる』、というように変わりつつあるのです。
その話を詳しくする前に、まずパン業界の大前提の話から。
そもそも、日本で売れているパンの70%は「食パン」です。
大手製パンメーカーの食パンは、スーパーで100円200円しかしません。
いくら「焼き立てパンの店」ががんばって食パンを焼いても、スーパーの袋詰めの食パンにはなかなか勝てない。よって焼き立てパンの小売店は、食パンでは勝負せずに、バケットや、「あんぱん」「クリームパン」「メロンパン」などの菓子パンや、「焼きそばパン」などの調理パンで客を掴み、商売をやりくりしてきました。
もちろん、浅草にある、食パンとロールパンの専門店「ペリカン」という有名な人気老舗パン屋さんもあるんですが、例外中の例外。ですから、食パンを極めようという焼き立てパンの店はひどく少なかったのです。
ところが、時は2013年、ある食パン専門店が銀座に出来て、これがきっかけとなって「シニアが食パンにおカネを出す」動きに変わったのです。店の名前は、『セントル・ザ・ベーカリー』。
焼いているのは、3種類の食パンのみ。2斤分で1本となっていて、700円台と800円台。
切れば10枚ほどになりますから、1枚当たり70円80円。
手間と材料のクオリティの高さを考えれば、“そんなに高く感じない” “素晴らしく美味しい”と飛ぶように売れていきます。
なんと、食パンを購入するだけでも30分以上待つのが普通。焼き上がりが間に合わず、待ってもらうことになるからです。それが1日1,000本は売れるというから驚き!
食パンだけでざっと売り上げ80万円。10日ですと800万!
特徴は“もっちりとしていて、香りも本当にイイ”。
50代以上の女性たちが、まずはお試しに買い、美味しいからと友達にも配り、その友達がまた買いに来て・・・と開業以来、人が途切れることがないそうです。
セントル・ザ・ベーカリーは、“食パン自体が美味しい”という食文化を広げる、という企業理念で創業。そのために、“すべてガラス張りで見えるように”と、食パン職人たちが、小麦粉をこね、パンを焼く姿が、全て“だだ見え”。
写真を撮ってもイイ、技術を盗んでも構わない。
こうすることで食パン文化が向上すれば‥という信念を持ってやっているそうです。
店の隣には、イートインがありまして、「食パン食べ比べセット」をほおばる人人。
食パンだけ2枚3枚と食べて、パンそのものの美味しさに感激する声があちこちから聞こえてきます。
「セントル・ザ・ベーカリー」は、ここだけの話ですが、今年2店舗目を国内ではなくて、とある“パンで有名な国”に出店して、『ニッポンの食パン』として勝負に出るとのこと。
今後、大きな話題となるでしょう。
シニアと食パン、それは「パンフェス」にも大きく表れています。
フェスは音楽だけじゃありませんよ!
ここ数年、各地で様々なパンが売られる「パンのフェスティバル」が行われていて、ピークは春と秋。
特に3月と4月は、毎週末、複数の場所で何かしらのイベントが開催されていました。
例えば、関東で開催されている大きなパンのイベントと言えば、「世田谷パン祭り」「青山パン祭り」「パンのフェス(横浜赤レンガ)」「川越パンマルシェ」「南大沢パンまつり」。
そのほかにも、デパートや商業施設で開催されるイベントを含めると非常に多くのイベントが開催されています。
こうしたパンフェスでは様々な店のパンを扱っていますが、この1年でとりわけ売り場面積がグンと大きくなっているのが「食パンコーナー」。
いろんな店のいろんなタイプの食パンが集められ、黒山の人だかりとなります。
パン専門店は、年間300店から400店増えています。
そのうち、「シニアにマーケットを絞った食パン専門店」が今後さらにふえるのではないか、とみる動きがあります。
なぜなら、「おコメを炊くのはちょっと面倒」「夜にもパンを食べたい」というシニアの生活スタイルにピッタリ合っているから、ということなんだそうです。
あなたも共感するところがあるのではないでしょうか。
4月25日(火) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より