けさは、ニッポン経済の救世主として期待されている「シェアエコ」の可能性を取り上げます。
「シェアエコ」は「シェアリングエコノミー」「シェア経済」と言います。
個人が持つモノや場所、余った時間を他人の為に活用して、収益を得る事。それがシェアエコ、シェアリングエコノミーです。
新たな投資や大きな財政力を必要としない、遊休資産の貸出仲介サービス。
最近では、空いている部屋を貸す民泊、空き部屋などの賃借マッチングサイト「Airbnb(エアビーアンドビー)」や、一般のドライバーが運転するクルマをタクシーのように配車して相乗りするサービス「Uber(ウーバー)」などが一般的に知られています。
このシェアエコが大きな可能性を秘めているというのが、今回の話!!
世界的な大手会計事務所のプライスウォーターハウスクーパースの調査によりますと、シェアリングエコノミーの世界市場は2013年のおよそ1兆6,500億円から、2025年には22倍の36兆3,000億円に急拡大すると予測されています。
22倍、凄いですよね。ひと口かみたいですよね。
世界的なトレンドになりつつあるシェアエコ、シェアリングエコノミー。
日本はどうなのか?日本でも市場規模も拡大中!
2015年度は前年度に比べて22.4%増の285億円。
これは将来性があるという事で、日本経済の成長戦略の一つの柱と言われているようです。
ただ、日本ではまだまだ「シェアエコ」「シェア経済」の認知度はイマイチ。
※総務省の情報通信白書2016によりますと、民泊の認知度はアメリカでは87%、ドイツでは86%、中国と韓国はともに91%と高いのですが、日本は72%とやや低い。
※クルマの相乗りサービス「ウーバー」の認知度はアメリカが85%、ドイツが80%、中国が91%、韓国が82%に対して、日本は半数以下の48%しかないんです。
なぜ、日本ではシェアエコが浸透していないのか?
それは、国全体が積極的に動いていなかったからなんです。
ところが、ついにニッポンも動き出しました。
去年11月、秋田県の湯沢市、千葉市、浜松市、佐賀県の多久市(たくし)、長崎県の島原市の5つの自治体が、シェアリングエコノミーを通じた「共助」(ともに助ける事)による地域課題の解決を目指す、「シェアリングシティ宣言」を共同発表しました。
「シェアリングシティ」というのは、要するに、街のインフラに「シェアエコ」を積極的に活用する事。
地方自治体の少子高齢化や人口減少などが深刻な中、その打開策、地域活性化の一つとして、「シェアエコ」、「シェア経済」が注目されているんです。
では、日本でシェア経済を積極的に進める「シェアリングシティ」に名乗り出た自治体はどんな事をするのか?
《秋田県湯沢市「子育てシェア」》
湯沢市では「Asmama(アズママ)」という企業と協力し、「子育てシェアリング事業」を開始。ネットを介して、顔見知りの人に、子育ての手伝いを依頼するサービス。
ご近所の寄り合いのような形で、知人等でつくるグループ内で、ネットのサイトに各自登録し、預かりのお願いをすると、登録している友人知人が、自宅で1時間400円で、託児をするというシステムです。顔見知りなら、安心ですし、街全体で子育てを支援するという雰囲気になるのかもしれません。
空いたスペースを有効活用するというのも、シェアリングシティの特徴。
《千葉県千葉市「会議スペースの利用促進」》
千葉市は、国内第2位の規模の展示施設・幕張メッセを有する街。
競争が激化しているビジネスイベント誘致のためにも、街の魅力を高めたいと考えているようで、レンタルスペースのシェアを提供する「スペースマーケット」という企業と連携。
どんなものを貸しているのか?
※サッカーJリーグのジェフユナイテッド市原・千葉のホームスタジアム、天然芝のピッチが見渡せる来賓室を会議やパーティー用のスペースとして貸し出しています。
※千葉都市モノレールはモノレールの車両を貸し出し。
会議や宴会、演奏会など使い方は様々だそうです。(1時間1万1,150円〜)
千葉に多く訪れる外国人客のために、会議・レセプション施設の利用促進を図っていく方針です。
また、26年前の雲仙普賢岳噴火以来観光客数が落ち込んでいる長崎県の島原市では観光を盛り上げる為に、大胆なシェアを始めています。
それが、日本の100名城にも選ばれている島原城のまるごとシェア。(1日48万円)
島原城を借りて、コスプレパーティーや婚活イベント、ちょっとした映画撮影などをしてもいいのかもしれません。
では、なぜ、自治体がシェアリングエコノミーに乗り出したのか?
ゆるキャラもちょっと飽きて来たし、街を使ったコンパ「街コン」もお金がかかる。
そもそも、おらが街には予算もねぇ・・・。
でも、街の中で余裕のあるものや人を活用すれば、お金がかからない!!!
よし、シェアエコだ!!という流れになってきているようです。
≪補足≫
千代田区にありますシェアリングエコノミー協会の方によりますと、シェアリングシティが目指すものは、「公的サービスだけに頼らないまちづくり」。
たとえば、鉄道やバスなどの廃線でインフラに課題を抱える地方自治体は増えていますが、乗り合い自動車、オンデマンド自動車といった「ライドシェア」で課題の解決を目指すことができるようになってきているようです。また、地方には観光コンテンツや活用されていないスペースなど多くの遊休資産が眠っています。
そういった遊休資産を活用するシェアリングエコノミーは、これからの日本が直面する人口減少などによる税収減に対応し、「持続可能なまちづくり」を担う役割としても期待されているという事です。課題としては、サービスに対する不安感や警戒心の解消。
シェアリングエコノミー協会では、安心・安全なシェアリングエコノミーの普及のために、「シェアリングエコノミー認証委員会」を発足して、現在、シェアリングエコノミー認証マークの施行に向けて、議論を重ねています。
計画では2017年4月下旬頃から実証実験をスタートし、6月にはシェアサービス事業者の申請を受け付ける予定だという事です。
4月7日(金) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より