ゴルフ、野球の練習法が劇的に変化!最近よく聞く“トラックマン”って何だ?【ひでたけのやじうま好奇心】

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2017年5月8日現在、パ・リーグは、2位ソフトバンクに3.5ゲーム差をつけて、楽天が20勝7敗と首位を独走、開幕から絶好調です。

その理由の一つと思われるのが“トラックマン”の導入。
日本では楽天がいち早く14年に導入し、今年からは巨人も使い始めました。
今や、スポーツ界では“トラックマンを制するモノがシーズンを制す”と言うぐらい、この機械でデータを集積、分析して、技術向上と本番の試合に役立てているのです。

では、「トラックマン」とはどういったものなのか?

高性能弾道測定器と言いまして、アメリカ軍の迎撃ミサイル「パトリオット」の開発で生まれた技術を応用したデータ分析機器です。
弾道、つまり弾(たま)の道筋をデータ解析する機械というわけ。

作ったのはアメリカ人ではなく、デンマークのクラウスというお医者さんでした。
クラウスはゴルフが大の趣味。
医者は理系脳ですから、1本打つたびに、どんなインパクトだったのか、球の軌跡がどうなっているのか、とにかくデータを知りたい。
そこで、軍事用レーダーをゴルフの球の飛び方研究に応用できないかと思い立ち、2003年に会社を設立して開発を開始しました。

アメリカなど欧米がすぐにトラックマンに飛びついたのとは違って、なかなか浸透しなかったのですが・・・

2014年、TBSが放映した「ビザ太平洋マスターズ」で、トラックマンが捉えた弾道が画面上で表示されて、そこで一気に認知度が上がったとされています。

くしくも同じ年、松山英樹選手がおよそ250万円の持ち運び可能なトラックマンを購入。
もちろん、他の国のトップ選手もトラックマンを駆使して、ショットに磨きをかけるなどトレンドになっている。

持ち運び可能なトラックマン?ということは、一体どのくらいの大きさなんでしょうか。

レーダーと言っても、パソコン位の大きさ。
この機械で測定すると、「スイングの全てがまる見えになる」のがウリ。
実はこうした測定器は他にもいろいろとあるのですが、他にはない最大の特徴は、ヘッドスピードやスイング軌道だけでなく、インパクト(ボールが当たる瞬間)でのフェース(ボールを打つ面)の向きや、クラブが入る角度、ボールの打ち出し角など、ありとあらゆる、25項目にも及ぶスイング数値が一瞬で弾き出されること。
すみません、ゴルフ用語ばかり並べましたが、分かる人は分かるかと思います。

そして録ったデータは、画面上にすぐに豊富に出てきます。
その実績が認められ、アメリカツアーでは、こうした測定器のなかで初めて公式の機械として認められているそうです。

ゴルフは長らく、フォームをビデオで撮って改善する、という練習法が採用されてきたのですが、もはやその時代は過ぎ去った。
いまは、こうした測定器を使って、極端に言えば、「フォームはそのまま、インパクトに集中する」という方法に変わったというのです。

よって、プロゴルファーが機械を導入しているのはもちろんのこと・・・
トラックマン自体が数百万円となかなかお高いので、これを導入して教える練習場やレッスンプロが次々と現れています。
初心者も、最初からこの機械を使えば、上達が早いとか。
球であれば、なんでも弾道が丸裸になる、ということで、テニスでも応用が始まっています。

さて、ゴルフに続いて、広くトラックマンが使用されるようになったスポーツが「野球」です。

アメリカではメジャー全30球団の本拠地に設置。
日本では、さすがIT企業だけあって、楽天やソフトバンクがいち早く導入。
その効果が表れているようで、今まさに1位と2位になっているのです。

野球だとどんなことがデータ化されるのか?
たとえば、「回転数」。
大リーグでは直球の平均値が2,100回転とされ、これを超えると「切れがいい」となります。
よって、ただ「切れある直球」という表現ではなくて、「回転数2,300(毎分回転数)を超える直球」と数値化されることが可能になったのです。

イスラエル戦に先発した千賀=2017年3月15日 東京ドーム 写真提供:共同通信社

イスラエル戦に先発した千賀=2017年3月15日 東京ドーム 写真提供:共同通信社

たとえば、ワールドベースボールクラシックで活躍したソフトバンク・千賀(せんが)投手は「今年は2,300〜2,400台」と自身の直球の数値を把握するのに使っています。
球場にトラックマンを設置することで、球種を確立させたり、さらには、選手の故障防止、選手の編成面でも効果が表れています。

ゴルフ、野球、テニスの他、砲丸投げやハンマー投げにも活用。
つまり、ボールを打つ、投げるスポーツであれば、何でも応用できるというわけです。
アスリートや球団ばかりが利用するだけでなく、購入しているのは「スポーツメーカー」や「器具の開発者」も非常に多い。
道具作りの際に、正確にパフォーマンスが上がる構造になるよう、試作品の段階でデータ収集を取るに役立てているのです。

まあ、一部のお金持ちアマチュアゴルファーも買っているようですが、200万円もする代物ですから、庶民にはなかなか手が出ません・・・。

5月9日(火) 高嶋ひでたけのあさラジ!三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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