政治の“掟”を知らないトランプ大統領 高嶋ひでたけのあさラジ！
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5/18(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ！』今日の聴きどころ！②
トランプ大統領がイスラエルからの情報をロシアに漏らす？
7：02～ひでたけのニュースガツンと言わせて！：コメンテーター佐藤優(作家・元外務省主任分析官)
10日、ホワイトハウスでロシアのラブロフ外相（左）、キスリャク駐米大使（右）と話すトランプ米大統領（タス＝共同） 写真提供：共同通信社
トランプ大統領がラブロフ外相と会談 イスラエルからの情報を漏洩か
高嶋）FBIのコミー長官を突然トランプさんがクビにしまして、例のフリン大統領補佐官の捜査中止要請「この件をコミー、諦めろ」というような。コミーさんはメモをいろいろ取っていてそういうものを発表した。
一方ではロシアのラブロフ外相と会談したときにイスラエルから入った情報をペラペラと喋ったというようなことで。
長年インテリジェンス、外交の世界、そういったところで仕事をされてきた佐藤さんとしては、こういう“ド素人”の大統領というのはどこまでいって良いか分からないし、一番やりにくいのではないですか？佐藤）役人が支える気になれば逆にやりやすいのですよ。ものを知らないから。これは支える気になっていないということですよね。というのは人事に手を突っ込んで来るからですよ。だから日本の例で言うと田中眞紀子外相のときと非常によく似ていますよね。
それでコミー長官を解任したというのと、それからラブロフ外務大臣らに秘密情報を話したというのは全く別の仕切りで考えた方が良いです。
コミー長官の方は簡単に捜査妨害の話で、弾劾の対象になり得るようなかなり違法性の高い問題なのですよ。ところがもうひとつのラブロフ外相にアメリカが第三国から得た秘密情報を伝えたというのは、実はアメリカの大統領は秘密の解除権がありますからね。何でも人に伝えて良いのですよ。だからそこは違法じゃない、問題無いのです。高嶋）あ、そうなのですね。
佐藤）そう。アメリカ政府の持っている全ての秘密を解除する権利が大統領にはあるから。
情報業界の大原則「サード・パーティー・ルール」高嶋）これは喋って良いということですか？
佐藤）法的な問題は生じないのです。ただし“掟”なのです。
例えば私が鈴木宗男さんからものすごく良い話を聞いたのだけど、実はそれがちょっとニッポン放送に関係することだと。私はニッポン放送の高嶋さんと知り合いだから伝えたいとする。これ我々の普通の世界だったら「ちょっとここだけの話だけど鈴木さんから聞いてこういう話があるよ」と言って伝えるのだけども、インテリジェンスな世界でそれをしたらいけないのです。
必ずその情報を提供してくれた人に「実はこれニッポン放送に関する問題だから、高嶋さんに伝えたいと思うのだけど良いでしょうか？」と言って「良いよ」と言われたら伝える。「駄目だよ」と言われたら伝えない。高嶋）それは大原則ですか？
佐藤）大原則です。これを業界用語で「サード・パーティー・ルール－第三者に関する規則」と言うのです。
高嶋）これを破ると？ 信用を失う？
佐藤）情報の関係の世界においてはそういう人たちには情報を出さない。漏れちゃうことがあるから。だから実害があったかと言うと実はイスラエルとロシアは非常に深い関係ですからね。実害は無いわけですよ。ロシアもそういったことを漏らさないですから。
だから一部の人はロシアがそれをイラン漏らすのではないかと言っているのですけども、プーチンなりラブロフというのはそういうサード・パーティー・ルールを本当によく分かっている人ですからね。そんなのはアメリカの了承を得ずしてイランなんかに流すことはあり得ないです。
だからこれはトランプ大統領がその業界の“掟”を知らないということですよね。というのはどうしてかと言うと、長いこと大統領を目指してきた人だったら、いろんな人から「実はインテリジェンス業界のこういう掟があるのですよ」と教えてくれるのですよ。
だから丁度芸能界に行って、夕方に行ったから「こんばんは」とか言って挨拶をするような人だと「ちょっと変わってるな……」と皆思うでしょ。常に「おはようございます」と挨拶しないといけない。そういうのと一緒ですね。掟の問題なのです。高嶋）なるほどね。そういう目で世界中が今度見るから、本当の秘密は教えてもらえないかもしれないですね。
佐藤）いや要するに「トランプに伝えない」ということを条件に教えると、そういう風になるわけですよね（笑）。
