さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、6月10日から1週間限定公開となる『パパのお弁当は世界一』を掘り起こします。
日本中を感動の渦に巻き込んだツイートが、映画になった!
ある日突然、娘・みどりのために慣れない弁当作りを始めた父。
その中身は、およそ女子高生に似つかわしくないモノばかり。大きな弁当箱にたっぷりご飯、焦げた卵焼きに冷凍食品が中心の茶色い地味弁。
白米×具なし焼きうどんがギッシリ詰まった、炭水化物オンリー弁当。
ランチタイムまでに腐ってしまった刺身弁当…と、トンデモ弁当まで飛び出す始末。
それでもメゲることなく毎日作り続ける父は、徐々に腕を上げていく。そして迎えた、高校生活最後の弁当。
そこには高校に入って初めての弁当の写真と、3年間弁当を食べてくれた娘への感謝を綴った、父からの手書きの手紙が添えられていた…。
娘のために3年間弁当を毎日作り続けた父親と、それを毎日食べた娘。
高校最後の弁当の日に「パパのお弁当はせかいいち。」 と記した娘のTwitter投稿に、8万人のリツイート、26万人のいいねが集中。
大きな反響を呼び、話題となりました。
その感動の実話を映画化したのが、『パパのお弁当は世界一』。
多くのミュージックビデオを手掛けるフカツマサカズ氏が初監督、心温まる愛すべき作品が完成しました。
日々のお弁当作りに励む父親役は、TOKYO No.1 SOUL SETの渡辺俊美。
自身も高校生の息子のために3年間お弁当を作り続けた経歴の持ち主で、劇中でも見事なお弁当作りを披露しています。
娘のみどり役には、「non-no」の専属モデルや女優として活躍の場を広げている武田玲奈。
彼女の食べっぷりがとにかく素晴らしく、“パパ弁”を食べる姿から父へのさり気ない愛情が伝わってきて、世のお父さん方は「娘にしたい!」と目尻が下がってしまうのでは。
二人のお弁当にまつわるやり取りは、時に軽妙で時にハートフル。
映画を通じてその交流を体感することで、観る人も改めて、親子の繫がりについて考えさせられるのではないでしょうか。
ほかにも清原翔、田中光ら個性的なキャストがキラリと光る助演を発揮。
また、主題歌「なまえ」を歌う片平里菜のノスタルジックで温かみのある声が、本作の持つ素朴な味わいを浮き彫りにしています。
お弁当とは不思議なものですね。
学生時代は当たり前のように食べていたけれど、後になればなるほど、その有難みに言いようがない感謝がこみ上げてきます。
“弁当箱”という限られた空間に詰め込まれる“食”は、まさに人生を彩るもの。
渡辺俊美演じる父親がキッチンに立つ後ろ姿に、あなたのお弁当を作り続けてくれた、大切な人の姿を重ねてしまうかも。
パパのお弁当は世界一
2017年6月10日からヒューマントラストシネマ渋谷にて1週間限定公開
監督:フカツマサカズ
出演:渡辺俊美(TOKYO No.1 SOUL SET)、武田玲奈、清原翔、田中光、ほか
主題歌:片平里菜「なまえ」(ポニーキャニオン)
©2017「パパのお弁当は世界一」製作委員会
公式サイト papaben-movie.com
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/