6/13(火)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!①
トランプ政権パリ協定離脱表明~G7米除き協定推進の声明
6:29~ニュースやじうま総研ズバリ言わせて!:コメンテーター手嶋龍一(外交ジャーナリスト)
支持者だけを意識して、的外れな行動
高嶋) 2001年のブッシュ大統領のときに、例の京都議定書は「地球は病んでいる」「先進国は今までの態度を改めなければ」と物凄く真剣なものでしたが。あのときはブッシュさんが離脱した。今度はパリ協定をトランプさんが離脱した。何でアメリカはそういうことにすぐ背を向けるのですか?
手嶋) 共に共和党政権ですが、当時私はブッシュ息子政権を担当しておりました。やはり世界に衝撃を与えたということになりました。ただそのときと比べても、今度のトランプ大統領のパリ協定の離脱は、TTP(環太平洋パートナーシップ協定)からの離脱と並んで大きな衝撃を与えている。当時のブッシュ息子政権とトランプ政権を比べても、3つの大きな違いがあります。1つ目は大企業が総じて「良い判断」だと。大企業の利益に反するということで、2001年当時は賛成していた。
高嶋) ブッシュが「ノー」したときね。
手嶋) 今度は軒並み大企業が反対している。2つ目はローカル・ガバメント。つまり市や地方政府、州も反対しているところが多い。ここは大きな違いですね。3つ目は中国が参加していなくて、それが離脱の大きな理由のひとつでしたが。中国は枠組みの中の他の190ヶ国と共に残って推進をするということになっている。企業を細かく見てみますと、並み居るインテルとかグーグルとかアップルとかが多いです。これらの企業はアメリカの技術革新の中心で、このところ自動車を推進力とするところ、ロボットとか新しいことに取り組んでいる。そういう努力を大きく推進しているのはやっぱり地球環境にということですから、企業自身の推進力を弱めてしまうことになりますし、そういうものに対する税制上の優遇措置とか、ペンタゴンを含めてアメリカは明確な補助金はありませんが、一種の産業協力の資金というのが出なくなるということがあって、名だたる企業が批判をしている。この中で賛成しているところがあるのかというと、トランプ大統領自身が述べていますが「自分は石炭労働者、それと共にある」。確かにカントリーロードのウエストバージニアには今でも炭鉱がありますから、そういうところの人たち。たぶんこれらのプア・ホワイトと呼ばれる人たちはトランプ支持派で、この人たちは賛成してくれているはずだと見ているのですが、本当にそうなのかなという感じはしますね。
アメリカは地球環境について歴史から批判されることになる
高嶋) アメリカの指導者というのは、やっぱり世界のリーダーで、地球全体のトップと言ってもいいと思いますけど。地球全体がこれだけ病んでいることをわかっているのに、自分のところに票を入れてくれる人だけを意識して、国全体の政策をとんでもない方向に引っ張ろうとするのは明らかにおかしいことですよね?
手嶋) 一般にはアメリカファーストと呼ばれていて。
高嶋) アメリカファーストではないじゃないですか。
手嶋) トランプファースト。しかも石炭労働者も本当に賛成しているのかどうかとなりますし。例えば技術革新だけのことで言いますと、石炭を液化してクリーンなエネルギーにするという、ここに膨大な研究資金をかけて。一種の地球温暖化のためのグループ目標がなくなってしまったら、それもやらなくなるということですよね。ですからトランプファーストにもならないのではないかというように思います。
高嶋) トランプさんは石炭産業に関しては、液化とかでクリーンなエネルギーにしていこうだとか全く理解しないまま、いわゆる「おいらは炭鉱夫」みたいなイメージで「炭鉱労働者の人たちが~」と言っていますね。
手嶋) 選挙のときだけはそうでしょうね。ピッツバーグが鉄鋼業でかつて栄えましたが衰退していますよね。「自分はピッツバーグ市民と共にあり」みたいなことを言っていますが。ピッツバーグの人たちは「俺たちはトランプを支持していない」「あなたは自分たちのことを知っているのか」という批判も浴びている。一番大きな問題は20年後、30年後にここでもし地球環境のために努力をしなければ決定的なことになってしまう。それが世界第2のCO2の排出国、責任となりますから歴史から厳しい批判を受けることになるでしょうね。
高嶋) なるほど、的外れもいいところということですね。