トランプ「パリ協定」離脱を表明 高嶋ひでたけのあさラジ!

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6/2(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

トランプ大統領「パリ協定」離脱を正式表明~米政権内に反対論
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター宮家邦彦(キャノングローバル戦略研究所主幹・外交評論家)

トランプ米大統領

ホワイトハウスで地球温暖化防止の枠組み「パリ協定」からの離脱を表明したトランプ米大統領=20170601 写真提供:共同通信社


アメリカが「パリ協定」離脱を表明

アメリカのトランプ大統領は1日、日本時間の今朝早く、地球温暖化防止の新たな枠組み「パリ協定」から離脱すると表明しました。世界第2位の温室効果ガス排出国アメリカの離脱は協定の実効性を損なうことになり、国際的な温暖化対策への大きな打撃となります。

高嶋)トランプ大統領もやや気が小さいのでしょうかね。G7で言わずお家に帰ってから言いました。それでは早速ニッポン放送報道部の森田耕次解説委員です。

森田)パリ協定は京都議定書に代わり先進国だけでなく途上国も含めた全ての国の参加を目指す地球温暖化対策の新たな国際枠組みで、今世紀後半に世界の温室効果ガスの排出を実質0にすることを掲げておりまして、各国が2020年以降の削減目標をそれぞれ掲げています。既に190ヶ国以上が参加し、この内アメリカを含めて140ヶ国以上が批准しております。
ですがトランプ大統領は選挙中からこのパリ協定を批判しておりまして、日本時間の今日午前4時過ぎからホワイトハウスで記者会見し、パリ協定からアメリカが離脱すると正式に表明しました。トランプ大統領はこの会見の中で「他の国に利益をもたらし、アメリカの労働者には不利益を強いるだけだ」と批判し、今後の温暖化対策については「パリ協定をアメリカにとって公正な協定に変えた上で再び加入するか、全く新しい枠組みを作る交渉を始めるか」だと述べております。
今後このパリ協定の離脱手続きには少なくとも4年掛かるという風にも言われているのですね。トランプ政権はアメリカ国内の雇用促進や化石燃料産業の振興を優先しておりますが、ただアメリカ国内にも独自にパリ協定に沿った排出削減や、再生可能エネルギー導入の目標を掲げる企業や自治体も増えているという風にも言われています。
またアメリカの政権内でもバノン首席戦略官兼上級顧問やプルイット環境保護局の長官がこのパリ協定脱退を主張していたのですが、トランプさんの長女で大統領補佐官のイヴァンカさんとかティラーソン国務長官らは協定離脱に反対していたのですね。
また各国では協定作りを主張しましたEU諸国に衝撃が広がっている他、排出量が1位の中国の李克強首相は「中国は国際的責任を全うする」とこのように約束しております。


“ロシアゲート”からの起死回生をねらったか?

高嶋)ということで、大国2国がやると言ったのでようやく自然環境問題になっている地球も本気になってきたのかなと思ったら、トランプさんが「いやあうちは関係ねえぞ」とこういうことを言い始めた。この辺を宮家さんなんかはどういう判断をされているのですか?

宮家)まず地球温暖化はしているのでしょう。僕もよく分かりません。だけど今は地球温暖化しているっていう前提でゲームをやっている訳だから、そのゲームで勝たなきゃいかん訳ですよね。
アメリカはこれちょっとやはり、昔もあったでしょう、国際連盟なんか作ったけど入らなかったでしょ。この人たちは変わっているところがあって、やはりトランプについて言えばもうオバマ外交――オバマ外交が作った訳でしょう、この地球温暖化云々というのは。これはもうオバマ外交反対ということ。それから、とにかくキャンペーンをやる、再選に向けて頑張る。統治なんかいいのだと、こういうことですよね。
だからこんなまともな、イヴァンカさんなんかまともなのだけど、まともな声ってなかなか反映しないのではないですかね。

高嶋)あのかつてのアル・ゴアさんね。本当は大統領選で総数では勝っていたけどフロリダで負けちゃいまして、大統領になれませんでした。彼が大統領になっていたら地球温暖化については相当のことをやったのではないかという人もいます。それで地球上がこれだけ病んでいるのに、この資本主義の限界ではないかと言う人もいます。
だけどもトランプさんはとにかく約束したのですよね。規制撤廃によって石炭とか天然ガスとかエネルギー産業を振興すると訴えて、ラストベルトの労働者から圧倒的支持を得たという。彼は公約を守ろうとしていた訳ですよね。

宮家)そうです。まあTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)なんかはもっと簡単に初日にやったでしょう。だけどやっぱりこれ地球温暖化はヨーロッパがうるさいから、だからやはりサミットに行ってそれでそのときにコテンパンにやられるようではね。
ただそこはまあ意見の不一致ということにしておいて、家に帰って来てから発表したってこれはまあまともなのですよ。だけど私にはそれはやはりこんなことをやっていたら再選も国内の問題も解決しない、すごく追い詰められている感じがするのですよね。
だってこのサミットに行っている最中でも中東を回っている最中だって、“ロシアゲート”の問題でもコテンパンにやられている訳でしょ。だからその意味では起死回生のつもりで打ったのかもしれないけど、全然起死回生になっていないのではないかな。

高嶋)何やっても彼は全て自分をひけらかし自慢するタイプですけども、もう記者の顔を見りゃロシアゲートしか聞かないので、演説もしたくなけりゃ会見もしたくない、何も言いたくない。

急激な経済成長を続ける中国はパリ協定を守るのか?

高嶋)それで意外なのですけど、中国は今経済成長が非常に大切なのですけど、パリ協定を守りますみたいなことを、やりますみたいな。

宮家)言うのは簡単ですよね。

高嶋)そういう具合ですか(笑)。

宮家)だけど中国には上に政策があれば下に対策があるのだから、中国政府が仮に守ると言っても何を守るか知っている人はほとんどいないのではないですか。
それでまだ石炭をどんどん燃やしている訳だからそんな簡単に二酸化炭素を中国が急激に減らせるとは思わない。それで年に5~6%成長しているのだから明らかに排出量は増えているのですよ。守れる訳無いよ。

高嶋)その辺が事実であるようですけどね。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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