6/15(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ！』今日の聴きどころ！①
マクロン新党の躍進は「旧政党に選ぶべき代表がいない」から
6:29～ニュースやじうま総研!ズバリ言わせて!：コメンテーター佐藤優(作家･元外務省主任分析官)
マクロン圧勝はイメージ選挙の結果フランス総選挙ではマクロン大統領の新党「共和国前進」が圧勝。マクロン氏と大統領選で闘ったルペン氏率いる「国民戦線」は第1回投票では10議席程度の結果となり、大きな失望が広がっている。
高嶋）フランスでは、マクロン氏が大躍進している一方、大統領選挙で対極にいた極右のルペン党首が、第1回の投票で50％に満たない結果となった。そこでもう1度、18日に得票を貰わなければいけない。このダイナミックな変化は一体何なんですか？
佐藤）民主主義の政治というのは、「政党」がベースなのです。「政党」は英語で「party」ですよね。「パート・タイム労働」と一緒で、元々は「part（一部分）」なのですよ。
一部しか代表していないはずなのです。世の中は利害がすべて対立しているでしょう。だから、勤労者なら勤労者の利益を代表する政党、農民なら、農民の利益を代表する政党、大経営者なら大経営者の部分代表で決める。ところがみんな、「自分たちを代表してくれている人が全然いない」と。だからイメージ選挙になってしまっている。高嶋）ああ、それでマクロンさんに。
佐藤）そうです、なので、マクロンさんが大躍進していると言いますが、これは、日本でたとえると、以前の橋下徹さんやあるいは少し前まで小池さん。彼らに一時もの凄い勢いがあった。あれらと似ていると思います。ですから、綿菓子みたいなもので、大きく膨れているけれど、固めてみると飴1個の砂糖くらいしかない。
高嶋）佐藤さんの図星の表現では、要するに「根無し草」だと。明日には混乱が待っていると。
砂糖）その通りです。それで、逆にルペンさんを見ると、綿菓子にたとえると、ギュッと固まった氷砂糖みたいな感じなのです。だから「コイツ、怖い！」と。冗談じゃ済まないと思って逃げているのだけれど、「怖い」というイメージがあるから、固まっているけれど、氷砂糖みたいにすごく堅い。だから、氷砂糖と綿菓子の戦いになってくる、と。だけど、持っている砂糖の量は同じくらい。見え方が違うだけだと思います。
高嶋）現実はそういうことだよ、と。
佐藤）逆にルペンさんが怖いから、政治がルペンによっていく可能性があるのです。「ルペンの言うことは怖いし、スキンヘッドの暴れるやつがいる。俺がルペンに反対することを言ったら、あのスキンヘッドがくくるのかな？ 怖い、余計なことは言えない」という感じですね。それで、こういう時に付和雷同して集まるのは、だいたい政治家で根性無しなのです。
高嶋）なんとかチルドレン、みたいな。
佐藤）そうですね。チルドレン、というか、「なんとかベビー」みたいな感じです。
雑誌が休刊になる流れに酷似 表紙をガラリと変えるようなもの高嶋）でも、国民の意識としては、いま佐藤さんが分析したような、核心を突く、そういうものは当然ですが、でも雰囲気としては、何か「マクロンさんカッコいい！」とか、「旧政党はどうもよくない、こっちに1票入れよう」とか、そういう側面もあるのではないでしょうか。
佐藤）その通りですね。私は出版の世界の人間でしょう？ 雑誌が危なくなる瞬間というのがわかるのですよ。それは表紙を変えるときです。表紙を変えて、たとえばイケメンモデルを持ってくるとか。
高嶋）売れ行きが滞った雑誌が挽回するときに？
佐藤）挽回するときに。表紙を変えるのですよ。そうするとだいたい、1年～1年半で休刊になりますね。
高嶋）イケメンを起用して、当初は少し良いけれど？
佐藤）ええ。だから、コレは何事もそうなのですが、新しく魅せることによって力をつけるのではなく、やはり組織力を強化して、基礎体力をつける方向に行かなければならないのだけれど、政治も出版も、すべての業界で走りがちな罠ですね。
高嶋）某テレビの幹部の方が、以前話してくれたことで、「そうだろうなあ」と思いましたけれど、「とにかく、土壇場で行き詰まると、みんな必ず変える」と言って。たとえばラジオでパーソナリティや出演者、企画を変えたり。「変える」という言葉は、一瞬そこに希望を見てしまうんですって。「何かよくなるかな？」と、そういう淡い期待を抱いてしまう。これが実は一番怖い。
佐藤）そうですね。だから、キワモノ系みたいな人。たとえば、「○○細胞はあります！」みたいな人を1回雑誌に出すと、その号「だけ」売れるのですよ。その後にドカンと落ちる。
高嶋）まさにフランスがそんな気配だと。
