未知数のフランスと不安定なイギリス 高嶋ひでたけのあさラジ!

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6/12(月)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

イギリス・フランス総選挙~国際社会に与える影響は?
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター須田慎一郎(ジャーナリスト)


イギリスでは与党が過半数届かず、フランスではマクロン新党が圧勝

イギリス議会の下院総選挙は、与党保守党が過半数を割り込む結果となりました。一方、フランス国民議会の総選挙は、1回目の投票で、マクロン大統領を支持する新党が圧勝するという見方が強まっており、ヨーロッパを牽引する両国の選挙結果が、国際社会にどのような影響を与えるか、注目されています。

まずはフランスの国民議会選挙ですが、こちらは定数が577、小選挙区制で行われますが、2回投票制がとられており、1回目の投票で過半数をとれば当選。過半数をとった候補がいなければ、得票率12.5%以上の候補による、第2回の投票が行われる仕組みです。これは今月の18日に予定されています。ただ、1回目の投票で、すでに国営テレビの議席予測では、マクロン大統領派の新党「REM(共和国前進)」が390~430議席を獲得すると見られており、2回目の投票を待たずにREMが圧勝、という構図になりつつあります。これは、これまで社会党などの左派、共和党などの中道の右派が、政治を分け合っていた1958年以降乗せ維持体制が新たな段階に入ったことも意味しています。その他の政党ですが、中道右派連合が獲得議席予測では、85~125。左派の社会党系は、20~35。極右の国民戦線は、3~10。特に社会党系は、前回331議席持っていたので、20~35議席というのは、歴史的な惨敗と言っても良いと思います。元々マクロン氏は超党派の政治を唱え、去年8月に、社会党のオランド政権を飛び出し、大統領選挙に出馬していたので、いわば社会党系の票をごっそり、マクロン氏が持って行った、とも言えます。
一方、イギリスの下院議会選挙。これは先週の8日に行われ、与党の保守党が、330~318議席と、定数650で第一党は確保しましたが、過半数を割り込む結果となりました。政権を安定させるために北アイルランドの地域政党、民主統一党に閣外協力を求める、と。この政党は10議席獲得しているので、これを足すと、328議席。過半数の326からわずかに上回る結果となります。ただ、メイ首相の求心力低下は避けられず、今月の19日にもEU離脱交渉が始まると言われていますが、保守党内部からは「離脱交渉に目処が付いた時点で辞任すべき」と、強硬な声も出ています。メイ首相はかなり選挙戦の公約などを巡って迷走しており、「Uターンクイーン」という異名もいただいてしまいました。いずれにしても、過半数に達する政党のない議会を「ハング・パーラメント(宙ぶらりん議会)」と言いますが、このイギリスの選挙結果は、ヨーロッパだけでなく、国際社会に与える影響は小さくないと思います。


政治的経験未知数のマクロン政党に不安定なイギリス

高嶋)イギリスについては先週以来、いろいろ言われていましたが、今動いているフランスではマクロンさんの政党が大躍進、ということで。「400議席取るかもしれない」と言われていますが、彼はほとんど新人でしょう?

須田)新人ですね。ただ、どうでしょうね。僕は、やはりこれは「新社会党」だな、と。「第2社会党」と考えても良いのでは、と。ですから、対立する、たとえば保守層の票をごっそり取ってきたわけではないので、こういう形に世代交代が進んだ。要するにマクロンさんという若いトップが就いたので、世代交代が進んだ、という風にみるべきではと思います。

高嶋)とにかく、労働党の方は、現職の大統領も大統領選に出られな体たらくになっていたわけで。飽きられてしまっていたのは明らかでしたが、そこに閣内にはいたけれど、染まってない、みたいなマクロンさんがバン、と出てきて。そうすると、これを見ていると、どうですか? イギリスのメイ首相の、本当に苦渋に満ちたこれからのEU離脱交渉と併せて考えると、どんな図式が浮かびますか?

須田)言ってみれば、マクロンさん自身も、政治的な経験は未知数ですよね。非常に浅い。議会の方も、政治的な経験が未知数な人たちが多数派を占めたということで、これは「新しい風を吹かせて新しい方向へ向かっていく」というポジティブな見方もありますが、逆に何をやってくるのか分からない、読みがまったく利かないというところで、非常に私はフランスの政治が不安定な要因になってくるのでは、と思います。フランスもある種、安定性を欠く状況で、さらにイギリスの不安定さ。だから、これからヨーロッパの政治状況というのは、混沌としたものになっていくのでは、と思います。


イギリスはEU離脱に関して、新たな波乱要因を得てしまった

高嶋)イギリスのハードなEUの離脱の仕方、というようなものは「基盤が壊れた」と考えてよろしいですか?

須田)いや、その辺も、その方針で望むのでしょうけれど、ただイギリス国内の了解というか、合意形成が、ハードな離脱で出来るかどうか。というのが、1つのポイントになってくると思います。

高嶋)北アイルランドの10人を入れ込んで、やっと過半数を超えるくらいですが、どのような密約が考えられますか?

須田)北アイルランドの政党も、「アイルランド共和国との往来について自由を認めろ」となると、先ほど高嶋さんが言った「ハードな離脱路線」とは、また逆の方向に行ってしまいますからね。要するに、往来の自由というのが、ある種の1丁目1番地ですよブレグジットの。そこに風穴が開くというところから考えると、結果的にはハードな離脱はない、という状況になってしまいますよね。

高嶋)いずれにしても大変な波乱要因だということで。離脱交渉も、スムーズに行くことは少し考えにくいと。

須田)しかもそれは閣外協力ですから。連立を組むということではありませんから。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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