けさは様変わりした横浜中華街のお話です。
まずは、横浜中華街の歴史を簡単におさらいします。
幕末、ペリー来航の影響で、1859年に横浜の港が開かれたんです。
開港間もない外国人居留地の一角から始まった横浜中華街。
ここに様々な外資系企業が進出し、欧米人と一緒にやってきたのが中国人の商人でした。
1894年に日清戦争が勃発すると、中国人の多くは帰国するなど、苦しい状況が続いたようですが、たくましいのも中国人の特徴。
刀を使う料理、洋裁、理髪の「三把刀((さんばとう)」と呼ばれた3つの職業に中国人は特化し、この道のエキスパートになっていきます。
中華料理店が多いのはこういった背景があるようです。
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善隣門
1955年(昭和30年)には中華文化のシンボルである『善隣門(ぜんりんもん)』を建立。
この門に、“中華街”という名が刻まれたことで、唐人街、南京町などさまざまな呼び名のあったこの街に「中華街」の名が定着していきます。
横浜中華街「街づくり」団体連合協議会 副会長の曽徳深(そう・とくしん)さんによりますと、今から55年前、1962年当時の横浜中華街には、バーやキャバレー、クラブといった類いのお店が非常に多く、中華街全体の5軒に1軒、20%をバーやキャバレーが占めていたそうです。
(今はキャバレーがなくなり、バーが少しある程度。全体の2%ほど。)
今は中華街のうちの32%、3軒に1軒が中華料理店というグルメの街ですが、1962年当時は、中華街と言っても、中華料理店は商店街のうちのわずか12%。
魚屋さんやお肉屋さんなどの食料品のお店があったり、パチンコ屋さんがあったり、一般的な商店街に近かったそうです。
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関帝廟
転機を迎えたのは、45年前。
1972年(昭和47年)に日中国交正常化を迎えると、日本中がカンカン、ランランのパンダ来日に沸き、“パンダ・你好(ニーハオ)・芽台酒(マオタイシュ)”を合言葉に、空前の中国ブームが訪れます。
これで中華街はグルメタウンとして知名度を上げて、それとともに、中華料理店も増加。
今から41年前の1976年(昭和51年)には、街の全業種の半分を料理店が占めるほどになったのです。
こうして、世界のチャイナタウンでも類をみない、街にやってくる人の95%が中国人以外という、個性的な中華街が形成されていきます。
そして、2004年にはみなとみらい線が開通して、元町・中華街駅が誕生。
年間来訪者数は2,100万人を越えたそうで、東アジア最大の中華街となりました。
では、今の中華街はどうなっているのか?トレンドは3つあります!
1つは「食べ放題」の増加。
横浜中華街を歩くと、食べ放題の看板だらけ!!
横浜中華街の200店舗以上ある飲食店のうち、40店舗から50店舗で食べ放題サービスを実施していると言われています。
プロの料理人も通う名店中の名店、大珍楼新館も平日は税別2,380円、土日祝日は2,680円で、オーダー式の食べ放題をやっています。
ここに食べ放題で注文できるメニュー表があるんですが…
北京ダック、カニの卵が入ったフカヒレスープ、大珍楼の名物「黒酢豚」など、前菜からフルーツまで豊富なメニューが食べ放題!
しかも、注文してから作ってくれるので、味は抜群!!
超一流の名店の味が食べ放題で堪能出来ます。
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大珍楼新館の食べ放題メニュー (左)フカヒレスープ / (右上)名物の黒酢豚 /(右下)北京ダック
噂によると、料理の質は落とさず、人件費を削っているようですが・・・
食べ放題は競争が激しく、今は1,980円や1,680円など、千円台のお店も多いようです。
しかも、驚く事に千円台の食べ放題でも「北京ダック」を味わう事が出来るのが今のトレンド。
北京ダックなしでは熾烈な食べ放題の競争に勝てないようです。
横浜中華街2つめのトレンドは「立ち食い」。
一昔前は店先で買って、食べ歩き出来る物と言えば肉まんぐらいでした。
しかし、みなとみらい線の開通によって、渋谷方面からのアクセスも良くなって、若者が増加。
焼き小籠包や、食べ歩きがしやすいように串に刺したシュウマイ、紙コップに入ったフカヒレスープなど名店の味をワンコインで味わう事が出来る立ち食いメニューがこの5年程で急激に増えています。
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焼き小籠包
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鵬天閣 新館
3つ目のトレンドは占いのお店の増加。
若い女性が横浜中華街にやってくるようになったので、女性をターゲットにした占いのお店が至る所に出来ています。
料金も千円前後で手相をみてくれるお店が多いので、カップルから中高年の方まで、幅広い世代の方でにぎわっているようです。
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占いの看板が立ち並ぶ
食べ放題に、立ち食い、占い。
若者にも親しまれるようになった横浜中華街。
週末は久しぶりに出掛けてみるのはいかがでしょうか。
6月23日(金) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より