コーヒーかすは消臭・雑草駆除・肥料と多才!【ひでたけのやじうま好奇心】

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コーヒーかすは消臭・雑草駆除・肥料と多才!【ひでたけのやじうま好奇心】

コーヒーイメージ画像

日本は、実は「コーヒー消費大国」だということをご存知でしょうか。
1位はEU、2位アメリカ、3位ブラジル。
そして4位が日本。消費量は20年前と比べて3割も増加しています。

見渡してみれば、コーヒー専門店やコンビニ、ありとあらゆるところでコーヒーが飲める環境ですから、さもありなん。
…ということは、『コーヒーかす』も大量に出る、ということになります。
これを捨ててしまうとなると、“廃棄物”になりますが、使ってみるとどうなるか?

実は使い道がいろいろあって、企業も個人も様々な再利用をしている、というのが今日のお話です。

まずは、最新の利用法から。
今やコンビニは“コーヒーショップ”になったといわれるくらい、コーヒーの販売が激増しているのはご存知のトコロ。
その中でも最大手、セブンイレブンは、昨年度の売り上げが9億杯!
19,000店舗で毎日毎日130杯ものコーヒーを販売している計算になります。

そこで、セブンイレブンが店舗から出たコーヒーかすを回収して作ったのが、店舗を掃除する際に使える消臭除菌剤。
その名も『セブンカフェのコーヒーかすをリサイクルした消臭除菌剤』。
今月から、各店舗のトイレ掃除でこの消臭除菌剤が使われているのです。
茶色でコーヒー化の香りがするのかな?と思ったら、無色透明無臭、だそうです。

コーヒーかすは消臭・雑草駆除・肥料と多才!【ひでたけのやじうま好奇心】

セブン‐イレブン店舗清掃用の「消臭除菌剤」を導入 株式会社セブン‐イレブン・ジャパンHPより

コーヒーかすには、臭い消し=消臭効果があることを聞いたことがあるのではないでしょうか。
飲食店で時々、トイレにコーヒーかすが置いてあったり、灰皿の中にコーヒーかすが敷き詰めてあったりすることがありますよね。
これも、消臭効果あってこその再利用というワケ。

セブンイレブンで開発されたこの消臭除菌剤は、今のところ非売品で店舗清掃用のみ。
また全店舗からコーヒーかすの回収するのはなかなか無理な話ですので、今後さらに再利用する方法や、一般的な販売に広がる可能性が期待されます。

さて、コーヒーと言えば、「スターバックス」という方も多いでしょう。

何か再利用しているのか?たずねたところ…
コーヒー専門店だけあって長らくコーヒーかすの再利用に取り組んでいるとのこと。
スターバックスで長らく研究した結果出来上がったのが、「コーヒー粕のリサイクルループ」=リサイクルの輪です。

コーヒーかすは消臭・雑草駆除・肥料と多才!【ひでたけのやじうま好奇心】

コーヒー豆かすリサイクルループ スターバックスコーヒージャパン 株式会社HPより

まず、店舗からコーヒーかすを回収し、リサイクル施設で、牛の飼料や野菜を育てるたい肥にする。そして、この飼料で育てられた乳牛のミルクやたい肥で育てられた野菜が、スターバックスの店舗に戻ってきて、また商品となる。

“世界中のコーヒー生産者に大切に育てられ、店舗に届けられたコーヒー豆が、お客様に楽しんでいただいた後、新たなジャーニーに出かけ、また戻ってくる”、とスタバは胸を張っています。
このループは、3年前、農林水産省、環境省、厚生労働省という関係三省が、“コーヒー豆かすを飼料・肥料として再生利用する食品リサイクルループ”として、初めてお上からも認定されています。

さらに、学術的な研究に熱心なのが「UCC上島珈琲」。
近畿大学農学部と共同で行った、「コーヒーかすが生物の生育にどのような影響を及ぼすか」の実験で、興味深い事実が分かりました。

まず、コーヒーかすを土に撒くと、『1年目は雑草が生えてこない』。
ところが!2年目からは、撒いたかすが、時間の経過で微生物が住みやすい環境を提供して、むしろとてもいい肥料になり、植物の生育が大幅に促進された!

1年目に雑草が生えてこないのは、コーヒーかすには、植物に対して生育阻害を起こす物質=カフェイン、ポリフェノールが含まれていたため、これが悪影響を及ぼしたと考えられます。
しかし、コーヒーかすは穴が多く空いていて、空気、水をふくみやすく、土壌の微生物が生育しやすい環境ができたので、2年目からはいい肥料に変化する、という驚きの結果を学会で発表しました。

ですから、“線路わき”や“駐車場”といった雑草をはやしたくない場所なら、常に1年目の状況になるよう、まき続ければ、雑草が生えにくい。
逆に肥料にしたいなら、2年目を見据えて使用するのがイイ、ということになります。

コーヒーかすは消臭・雑草駆除・肥料と多才!【ひでたけのやじうま好奇心】

UCCと近畿大学の栽培実験(地上部の収穫) UCC上島珈琲株式会社HPより

UCCに「一般の人でもできるコーヒーかすの利用法」を聞いたところ・・・
“臭いキャッチ”としてよく市販の消臭剤に使われる活性炭の5倍もの消臭効果があるので、濡れたままのコーヒーかすをトレーなどに入れて、トイレに置くといい、とのこと。
ただし、カビや微生物を避けるために1,2日を目安に交換してほしいそうです。
また、しっかり乾燥させれば、布袋に入れて消臭剤として、靴箱や靴の中、冷蔵庫で使うことができます。

このほか、一般的に利用されている方法としては…

・まくだけで、なめくじやアリなど害虫の繁殖を防ぐ
・魚グリルやフライパンをコーヒーかすで磨くと汚れも臭いも取れる
・シャンプーの際に、髪にもみこむとフケを防止する

といったアイデアも、“コーヒーかす利用法ブロガー”たちの間では話題になっていますが、その学術的な裏付けは取れませんでした。
が、身近なコーヒーかすの再利用に興味を持っている人が多いと言えます。

今後、企業の利用だけでなく、一般的な“家庭の知恵”もどんどんと広がっていくのではないでしょうか。

6月20日(火) 高嶋ひでたけのあさラジ!三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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