さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、7月1日から公開となる『忍びの国』を掘り起こします。
侍VS忍び、歴史に秘められた謎を暴く戦国エンターテインメント
「のぼうの城」「村上海賊の娘」など、いまや歴史小説の旗手と呼べる存在となった、和田竜。
明瞭でテンポ良く進む文体は従来の歴史小説のテイストとは大きく異なり、そのギャップゆえ多くの読者を魅了しています。
そして知る人ぞ知る史実に光を当て、その時代を生きる人々をのびやかに描いているのも特徴。
待望の映画化となった『忍びの国』で描かれるのは、常勝・織田信長軍が喫した大番狂わせと言われている、天正伊賀の乱。
何故、最強にして大群勢の織田軍は戦国大名がいない伊賀を攻略することが出来なかったのか?
歴史に秘められた謎をダイナミックなアクションシーンとともに描き出しています。
時は、戦国。
天下統一に向け、諸国を次々と攻め落とした織田信長が唯一攻め入ることが出来なかった国、伊賀。
そこには超人的な能力を持つ忍者衆が暮らしており、人を人とも思わない人でなしの彼らは“虎狼の族(ころうのやから)”と呼ばれて恐れられていた。中でも無門は伊賀一の凄腕の忍者でありながら、普段はこのうえないほどの怠け者で、女房のお国に尻に敷かれっぱなし。
天正七年九月、信長の次男・織田信雄が父の命に背いて伊賀討伐に乗り出す。
圧倒的な軍勢を率いた織田軍を前に、無門率いる軍団は想像を絶する秘策で小田群に抗戦する…。
主演を務めるのは、大野智。
どこか飄々としていて自然体な魅力を放つ彼自身と、伊賀一の忍者なのに妻には頭が上がらない無門のユル〜いキャラクターがマッチしていて、観るほどに笑みがこぼれます。
ところが一転アクションシーンとなると、キレのある動きで観客の目を釘付けに。
アクロバット、ワイヤー、ダンスなどを取り入れ、まったく新しい忍者アクションを披露しています。
共演は無門の最愛の妻・お国に石原さとみ、織田軍最強の武将・日置大膳に伊勢谷友介、物語の鍵を握る忍び・下山平兵衛に鈴木亮平、さらには國村隼、立川談春、知念侑李、平祐奈、マキタスポーツと世代を超えたキャストが顔を揃え、和田作品ならではの個性的なキャラクターに扮しているのも見どころです。
目を見張るのは、なんと言ってもそのド派手なアクション。
常に斬新な映像美でエンターテインメントの魅力を追求している、中村義洋監督。
合戦シーンは、緩急織り交ぜてスピーディーかつコメディタッチに。無門の一騎打ちでは、じっくりと間合いを取って緊迫感あるシーンにと、従来の時代劇とのテイストの違いも愛嬌もたっぷり。
この夏、イチオシの戦国エンターテインメント超大作ですよ。
忍びの国
2017年7月1日から全国東宝系にてロードショー
監督:中村義洋
原作:和田 竜(『忍びの国』新潮文庫)
出演:大野智、石原さとみ、鈴木亮平、知念侑李、マキタスポーツ、平祐奈、満島真之介、でんでん、きたろう、立川談春、國村隼、伊勢谷友介 ほか
©2017 映画『忍びの国』製作委員会
公式サイト http://www.shinobinokuni.jp/index.html
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/