さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、6月24日から公開となる『ハクソー・リッジ』を掘り起こします。
武器を持たずに戦場で闘う、実話から生まれた衝撃作
メル・ギブソンの俳優としての復活を告げる主演作『ブラッド・ファーザー』でも触れた『ハクソー・リッジ』。
今年度アカデミー賞では作品賞、監督賞を含む6部門にノミネートされ見事2部門を受賞。
『アポカリプト』以来10年ぶりとなる監督作で、鮮やかな復活を遂げました。
人々が殺し合う戦場で、僕は命を助けたい。
そんな信念のもと、敵味方関係なく、たった一人武器も持たずに75人の命を救った男、デズモンド・ドスの知られざる真実の物語です。
ヴァージニア州の田舎町で育ったデズモンド・ドスは「汝、殺すことなかれ」という宗教的信念の持ち主。
第2時世界大戦が激化する中、衛生兵であれば自らの意思を貫きながら国に尽くせると、周囲の反対を押し切り、陸軍に志願する。生涯武器には触らないと固く心に誓っている彼は、上官や同僚から責められても頑に銃を手に取らず、ついには命令拒否として軍法会議にかけられる羽目に。
それでも思わぬ助け舟のおかげで武器を持たずに戦場に行くことを許可された彼は、激戦地である沖縄での戦闘に衛生兵として参加。
目の前で次々と兵士たちが倒れていくなか、デスモンドの“命を救う闘い”が始まる…。
タイトルの『ハクソー・リッジ』とは、第2次世界大戦の激戦地・沖縄の前田高地のこと。
多くの死者を出した壮絶な戦いの場として知られているこの地が、のこぎりのように険しい崖だったことから、苦戦を強いられたアメリカ軍が“ハクソー(のこぎり)・リッジ(崖)”と呼びました。
主人公のデズモンド・ドスを演じたのは、『アメイジング・スパイダーマン』シリーズで人気を獲得し、マーティン・スコセッシ監督の『沈黙-サイレンス-』では演技派俳優としても高く評価されたアンドリュー・ガーフィールド。
共演にはテリーサ・パーマー、ヒューゴ・ウィーヴィング、サム・ワーシントン、ヴィンス・ヴォーンと実力派キャストが集結。
命を奪う戦場で命を救おうとした、ひとりの男の葛藤と強い信念が浮き彫りとなった感動作が誕生しました。
人と人が殺し合うことがいかに愚かなであるかを誰もが理解しているはずなのに、それでも「平和のために」と武器を手にする国がいつの時代もあります。
信仰とは、信念とは、そして平和とは。
メル・ギブソンが銃ではなくメガホンを持って問いかけるもの、あなたにはどう響くでしょうか。
ハクソー・リッジ
2017年6月24日からTOHOシネマズスカラ座ほか全国ロードショー
監督:メル・ギブソン
出演:アンドリュー・ガーフィルド、サム・ワーシントン、テリーサ・パーマー、ヴィンス・ヴォーン、ルーク・ブレイシー、ヒューゴ・ウィーヴィング ほか
©Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016
公式サイト http://hacksawridge.jp/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/