さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、6月10日から公開の『吉田類の「今宵、ほろ酔い酒場で」』を掘り起こします。

居酒屋を舞台に人間模様を描く、人情派ムービー

若者を中心に酒離れが叫ばれる一方で、世間はちょっとした“飲み”ブーム。
仕事終わりにサクッと一杯“ちょい飲み”に、サラリーマンのオジサマ方に混じって女性も果敢に参戦する“立ち飲み”、若者からマダム層まで優雅に楽しむ“昼飲み”と、そのスタイルは様々。
場所も居酒屋チェーンからファミリーレストラン、オシャレなバルやビストロと、TPOに合わせた選択肢も増えています。

そんな中、大衆酒場ブームの火付け役となったのが、酒場詩人・吉田類。
“飲んべえのアイドル”とも呼ばれる彼が映画初出演にして初主演を務めたのが、『吉田類の「今宵、ほろ酔い酒場で」』なのです。

本作は、3つの居酒屋を舞台にしたオムニバス・ムービー。
恋愛禁止のルールを破って恋人と駆け落ちしようとした現役アイドルが、何故か人生のチャンスに見放された人たちばかりが集う居酒屋に逃げ込む「居酒屋チャンス」。

今夜は居酒屋で一人、ささやかな夏休みを楽しもうとしていた平凡なサラリーマンが偶然入った店は、ぬるいビールとスーパーで買った冷凍マグロを出し、飲み過ぎて倒れる老人や喧嘩を始めるヤクザの親分と子分という珍客ばかりの「どつぼ酒場」。

巨額詐欺の疑いで警察に追われ、自殺を考えている投資会社社長が、人生最後の一杯をと立ち寄った居酒屋で、故郷の名酒に出会う「ふるさと 酒場土佐っ子」。

どの作品も居酒屋ならではの悲喜こもごもの人間模様を描き、人情あふれるストーリーとなっています。

監督は、『鉄塔 武蔵野線』『さゞなみ』『アルゼンチンババア』のほか、メジャーCMを数多く手がけるトップクリエイター・長尾直樹。
「吉田類さんと一緒に、お酒を飲んでみたい！」という超個人的な願望を叶えたくてこの映画を作ったという長尾監督。
いやはや、“飲んべえの鑑”（?!）とも呼べるお方です。

キャストも個性的な面々がズラリ。
第2話「どつぼ酒場」で次々と災難に巻き込まれるサラリーマン・日暮義男役に伊藤淳史、第1話「居酒屋チャンス」で逃亡中の人気アイドル・山下絵里子役に松本妃代。
ほかにも津田寛治、菅原大吉、戸田昌宏ら実力派俳優が登場し、見事な酔いっぷり（?!）を披露しています。

タイトルロールでもある吉田類は、物語全編の案内役と第3話「ふるさと酒場土佐っ子」で警察に追われる投資会社社長・森本勝也役を大熱演。
さらに、映画主題歌にも初挑戦。
河島英五の代表曲「時代おくれ」、その情感豊かな歌声にも注目です。

この映画を観終わった後、お酒が飲みたくなること間違いなし。
スクリーンの向こう側でキンキンに冷えたホッピーを美味しそうに飲み干す姿に、観ているだけでノドが鳴ります。

映画館の帰りに行きつけの店に顔を出すも良し、新しいお店を開拓するも良し。
もちろん映画館で、映画を酒の肴に飲みながら観るのもオススメですよ。

吉田類の「今宵、ほろ酔い酒場で」
2017年6月10日から角川シネマ新宿ほか全国ロードショー
監督：長尾直樹
出演：吉田類、伊藤淳史、松本妃代、菅原大吉、戸田昌宏、津田寛治　ほか
©『吉田類の「今宵、ほろ酔い酒場で」』製作委員会
公式サイト　http://horoyoi-sakaba.jp/