7/28(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②
安倍総理がかばい続けた理由とは?
7:02~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター宮家邦彦(元外交官・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)
稲田防衛大臣には統率力が欠けていた
稲田朋美防衛大臣は、8月3日の内閣改造を前に辞意を固めたことを発表した。なぜこんな騒動になってしまったのか?なぜ安倍総理は彼女をかばい続けたのか?その理由を、宮家邦彦氏が推測します。
高嶋)今日はどの新聞も大々的に、「稲田防衛大臣、辞意表明」、それから「蓮舫民進党代表の辞意表明」と。この2人の女性が、大きく顔写真が載っています。
その稲田大臣の辞任についてです。今度の防衛省内の日報を巡るいろいろな混乱で、結局、喧嘩両成敗みたいに、次官も防衛省の陸自のトップも、それから大臣もみんな辞めてしまうということになりましたが、根本はどこにあると、宮家さんは判断しましたか?宮家)難しいのですが、制服(自衛官)と、内局と、政治家。これは昔からずっとこうなのですよ。3すくみですね。その中で私は良い意味で、制服(自衛官)のちゃんとした声が通るようになって、システムとしてはバランスが良くなってきたと思います。NSC(国家安全保障会議)ができて、その中にも制服(自衛官)が入っているから全体としては良くなっていると思ったのだけど、僕に言わせれば「未だに、まだこんなことをやってるの?」と。これは結局、政治のレベルで求心力がないから、わーっと出てくる。逆に言うと、こういう問題は構造的にあるので、誰がやっても問題は出るのですよ。ただ、それをちゃんと纏められるかどうかは政治レベルの話で、役人にはできないことですね。その意味では、残念ですが彼女は統率力に欠けていた、というのはその通りだと思います。
高嶋)結局、どちらかがウソを付いているような図式に外からは見えてしまう、ということで……
宮家)本人たちは正しいと思っているのでしょうけどね。組織の論理があるから。
インターネットが発達した現在で、隠し通せるわけがない高嶋)日報問題も根本的なことを言えば、南スーダンで戦闘のようなことがあったのは事実なのですから。だけど、それをおおっぴらにしたくない内閣の事情もあったりして、そういうことで何か言うべきことを隠さなければいけない、みたいな。そういう空気がありましたよね。
宮家)あの体質はあまりよくないですよね。だって、日本で、このインターネットの時代に、あんな情報が隠せると思う方が間違いですよ。それがまず、誰とは言いませんが、事務方のトップの判断だと思うのですよ。それはもう十数年前の話でしょう。
僕だったら、「バレたなら仕方がないな」と全部出して、けれど「これはただの日報です。彼らに法理的な用語の使い分けができるはずがないのだから、実質的には同じですよ」と、しれっとやっておくべきだった。「隠そう、隠そう」とするからダメ。隠すこと、隠蔽しようとする方が、やはり傷が大きい。ウォーターゲート事件がそうでした。
安倍総理は、彼女を将来的なリーダーとして育成したかった高嶋)加計学園もそうでしたが、みんなそういう体質というか、空気が横溢していますよね。もう1つ聞きたいのは、「安倍総理は、何故あんなに稲田防衛大臣を好きで、信じたのか?」です。
宮家)私が言う立場ではないのかもしれないけれど、彼女は心情的にも保守だし、弁護士で頭も良いし。そして、やはり将来のリーダーのひとりとして、安倍総理は先輩として養成しようというか、育てようとしたのだと思うのです。
「政治家は一夜にしてならず」です。一夜漬けなんてできない。やはり時間をかけて、試練を与えてやらなければいけない。私は試練を経ていない政治家はダメだと思うから、その意味では、彼女にとって今回は大きなチャンスだった。でも、チャンスが大きければ大きいほど、リスクも多い。彼女の場合、そのリスクが裏目に出たわけです。それを「何故か」と言われたら、それは、自分で彼女を政治家になるように口説いたのかもしれない。育てたかったのだと思いますよ。でも、それにしては残念ながら力がなかった。高嶋)本当は、「自分の派の四天王の1人」と持ち上げ、防衛大臣にまでして、そして、そういうキャリアを経た上で、後に大きく女性政治家として成長してくれるだろう、という判断があったのでしょうけど、ちょっとそのハードルが高かった。
宮家)高かったですね。やはり勉強はできても、政治家の地頭が足りないのではないかと……
高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00