宮家邦彦 金正恩は中国・韓国の足許を見ている

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8/25(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③
北朝鮮を捨てられない、攻められないそれぞれの理由
7:11~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター宮家邦彦(元外交官・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

中韓国交府立25年~双方に祝賀ムードなし

中国と韓国は昨日国交樹立から25年を迎えました。しかし中国は、アメリカ軍が韓国に一部配備した最新鋭迎撃システムTHAAD(高高度防衛ミサイル)について強く反発していることから、中国側に祝賀ムードはなく、記念行事の中止も相次ぎました。

森田耕次解説委員)アメリカ軍の最新鋭迎撃システム、THAADの配備については朴槿恵前政権下で決定されました。5月に就任した文在寅大統領は当初は本格運用の先送りを図ってきたんですが、7月に北朝鮮が弾道ミサイルを発射しまして、これを受けてTHAADの早期の追加配備に文在寅さんは方針転換しました。中国はそもそも「THAADのレーダーで中国国内が監視される」ということでTHAAD配備に断固反対していたんですが、この文在寅さんの方針転換に中国の大木外相は「改善しつつあった中韓関係に冷や水を浴びせた」と、このように反発をしておりました。
北京にある韓国大使館は昨日、中国との国交25周年の記念行事を開いたんですが、20周年のときは一緒に記念行事を開いた中国側の団体は、今回は前の日に別に行事を開いて、そこに参加した全人代の幹部は「両国は誰もが知る理由で困難に直面している」と、こう述べて暗にTHAAD配備を非難しました。中国側に祝賀ムードはなく、関係者によると予定されていた他の記念行事の中止も相次いでいるということです。
中国と韓国との貿易の規模は1992年頃にはおよそ7,000億円ほどだったのですが、去年は30倍を超えるおよそ23兆円というふうに増加しています。中国は韓国に対しまして様々な報復を行っていまして、韓国を訪問した中国人観光客は去年よりも4割ほど減り、ロッテグループの中国にあるスーパーは、およそ8割が閉鎖や休業に追い込まれているという状況です。
韓国の文在寅大統領は、一昨日外務省に対し「北朝鮮の核ミサイル問題について、アメリカとの同盟と同時に中国、日本、ロシアと協力し、より積極的に解決していかなければならない」と指示を出しています。北朝鮮の方は今日、金正日総書記が軍重視の政治指導を始めたとされる記念日、線軍説をむかえております。北朝鮮は北東部の豊渓里で6回目の地下核実験が完了したという風にも言われております。9月9日も建国記念日もありまして、そこに向けて挑発行動に踏み切る恐れもあります。北朝鮮は去年も線軍説の前日にSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)を発射した他、9月9日に5回目の核実験を行っています。

高嶋)文在寅韓国大統領については、日本も徴用工の問題1つとっても、困ったもんだなあと。毎回毎回大統領自ら蒸し返してどうのこうのとか。だけどことTHAADということになると、北朝鮮との問題で今大変緊張関係にありますので。中国だってTHAADを入れられたら、今度自分のところのすぐお隣という認識でしょうから、これはどっち向いても文在寅さん厳しいんじゃないですかね。

宮家)韓国の内政の区別がつかない、それは内政と外交常に繋がっているのですが、内政が変わるとこれだけ外交が変わる。そう言われれば韓国という国家の信用とか、信頼とか、一体感とかそういうのが消えちゃうんですよね。もっとも中国も中国でこのやり方も典型的な報復、国交樹立から25年でしょ。日本だって72年に日中国交正常化の共同声明をやって、そこから25年経ったらおかしくなってくるわけですよ。中国と最初は仲良いかもしれないけど、だんだん実態見えてくるとね、ある程度冷めても仕方が無い。特にTHAADの場合には韓国の安全保障の問題ですからちゃんとやらなきゃダメです。

高嶋)中国共産党大会が秋にあるので、習近平さんも非常にまた神経質になっているようですが、こういうことは国家的なポーズということもあるのですか?

宮家)ポーズというか彼らは大国主義で、周りは小さな国だと思ってますからね。それで、見下してますから。こういう態度はフィリピンに対してだってベトナムに対してだって平気でやるわけです。日本にだってやるのだから。そういう意味では、そろそろ中国の外交も大人になんなきゃいけないのだけど、彼らにとってはそれは大国意識もあるかもしれないけども、残念ながら政治と経済は分離できない。だから、政治が関係悪くなれば、もう観光も無し、投資も無し、こういうことを平気でやる。そんな国を誰が信用しますか。


日本は中国・韓国とはそこそこのつきあいの「新常態」を

高嶋)韓国にとっては、アメリカ、日本との貿易よりも中国の方が圧倒的に多い。これはやはり外せないわけですが、いずれにしても、それで中国を見て腹立てるべきか、韓国を見て尻を叩くべきか、どっちなんでしょうね。

宮家)どっちもどっちですね。中国の場合には戦略的な問題を本当に抱えていて、南シナ海、東シナ海、このシーレーンのことを考えたときに中国の進出っというのは、警戒せざるを得ないです。もちろん中国は70年代に政治を交わして、そのときは仲良かったかもしれません。今は、彼ら敵じゃないですよ。だけど友達ですか?さあ……どうかな?今戦争ですか?戦争なんかないですよ。じゃあ平和ですか?さあ……どうかな?
戦争でも平和でもない。友人でも敵でもない。これが「新常態」かもしれない。これで行くしかないです。

高嶋)新常態ね。

宮家)新常態です。このままでこれを維持できればいいじゃないですか、戦争じゃないんだから。敵じゃないんだから。

高嶋)日本は大体いままで経済優先国家みたいにしてきましたから、中国にも大分気を遣ってきましたよね。

宮家)そう。だけど彼らは経済優先じゃない、政治優先だから。これから70年代みたいなべったりの友好には戻れないわけですから。だけどそれでがっかりすることはない。対立しない、喧嘩しない、そしてそこそこの関係でいれば新常態で良いんじゃないですか。


米中日韓の足許を見ている北朝鮮

高嶋)それで日中韓新常態としましょう。それで今問題は北朝鮮ですが、それに対して、たとえば共通の敵はみんなの敵ですから。これは上手くまとまるんでしょうか。

宮家)中国にとって北は敵かもしれないけれど、じゃあ失って良いんですかと、北が潰れてしまったら大変なことになりますよね。

高嶋)内心は違うよっていう。

宮家)韓国の場合は北が潰れたって統治なんか簡単にはできませんよね。金掛かるしね。それで下手したら大混乱になるわけでしょ。

高嶋)そういうことは北朝鮮側はもうお見通しだということですか?

宮家)そうです。足許見てるわけです。アメリカそんな残滓作戦なんかそんな簡単にできるわけないし。日本はどっちみち関係ないし。中国は見捨てられないわけですから。韓国は戦えない、これはもう足許見るしかない。だからバンバンICBM作っているのですよ。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00


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