安倍首相の解散総選挙は諸刃の剣である
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9/20(水)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③
野党4党協力を推し進める要因にも
7:10~やじうまニュースネットワーク: コメンテーター鈴木哲夫(ジャーナリスト)
臨時国会冒頭で衆議院を解散
安倍総理は来週月曜日25日に記者会見を開いて、臨時国会冒頭で衆議院を解散すると正式表明する方向です。全世代型の社会保障改革などを争点に掲げる構えです。25日の記者会見では、消費税の財源の使い道変更による子育て支援策を実現する為、消費税増税に関する2012年の三党合意を見直す方針にも言及する考えです。
消費税の使い道のうち国の借金返済の財源を子育て支援に振り向ける分、財政健全化計画の見直しも避けられないということで、25日の記者会見では、2020年度にプライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字化するという、財政健全化目標も先送りする方針を表明する方向です。
臨時国会冒頭で解散する場合には、通例は衆議院本会議で各議員の議席を指定した直後に衆議院議長が解散詔書を読み上げる、という手はずになります。これに対し野党4党、民進・共産・自由・社民の4党は、解散の前に総理の所信表明演説や各党の代表質問、それから予算委員会を実施するよう政府・与党に要求する方針で、今日の午後、幹事長書記局長会談を国会で開く方針です。野党4党は冒頭での解散について、森友・加計学園問題の疑惑隠しだと批判を強めております。
一方細野豪志元環境大臣と小池都知事側近の若狭勝衆議院議員は近く結成する国政新党の候補者を東京の衆議院25の小選挙区全てに擁立する方向で調整に入りました。若狭さんが開校しました政治塾、輝照塾の塾生を中心に人選をするということです。また細野さんは昨日、記者団に党名や綱領、規約を詰めていると語っています。また政治団体減税日本代表の河村たかし名古屋市長が連携する考えを示していますが、細野さんは「まだ白紙だ」と述べるにとどめています。
高嶋)まず安倍さんが今のこの時期に解散総選挙だという、その真相、安倍さんが踏み切るという1番の動機。これは何でしょうかね?
鈴木)今だから勝てる。それが全てだと思いますね。総理が解散権行使できるわけですから、1番良いタイミングで解散を打ってくる。これは総理の力量だと思うし判断だと思う。今だから勝てると思ったのでしょう。
野党4党協力を推し進めることにもなりかねない高嶋)総理のアイディアですか? 決断ですか。
鈴木)だと思います。ただ、今だから勝てるという判断をする場合に、ベストなのか、ベターなのか。今が1番最高のタイミングというよりは、いろいろ考えたら今がより良いだろう、という背景があると思います。それは何を引き起こすかというと、裏目に出ることがある。勝算が実は誤算になり得る場合もある。そんなものをはらんでる気がします。だから良いタイミングだと言う人もいるし、今は止めた方が良いって言う人も、安倍さんの側近にもいます。
高嶋)勝算が誤算にというと、肝心なのは北朝鮮ですよね。
鈴木)そうです。北朝鮮で今支持率が上がっている。こういう有事とか災害なんかがあると政権の支持率っていうのは大体高くなります。それで安倍さんの支持率が持ち直してきたわけじゃないですか。
高嶋)仰る通り。
鈴木)上がってきたのはね、北朝鮮対応で。その北朝鮮が今まだ何やっているか分かんないときに、え、政治空白作るのと。何かどかんとあったときにみんなが選挙運動で色んなところに行っていてこれ、対応できるのですかということです。大丈夫だと言うのでしょうけれども。そういうところに逆に矛盾が出て来ちゃって、国民がそこ批判的になるのではないかと心配する声も出てくるわけです。
高嶋)そういう、この北朝鮮というカードが自分を押し上げた、だけどそれが逆目、裏目に出ることもあり得るよという。
鈴木)野党対策もそうなんですよ。野党もたとえば、今どんどんドミノで民進党がボロボロだと。今やったら民進党は選挙にならない。だけどここで解散ってなったら、これから辞めようって思ってた人達が全部離党とどまっちゃった。だって出てってどうなるか分かんない、選挙にならない。ということで実は離党ドミノが逆に止まっちゃったわけです。それで野党4党協力もいろいろ言ってのが、いきなり選挙やられたらもうまとまるしかないじゃない、というような逆の効果が出てきちゃったりする。そのあたりが、勝算が誤算に変わり得る要素です。
高嶋)いずれにしても全てが諸刃の剣であるということはもう間違いない。
鈴木)必ずしもこのタイミングで大勝利できるかというと、世論がどう反応してくるか分かんない。今そういう状況だと思いますね。
高嶋)帰ってから返事をするみたいなことを言って、ニューヨークに行って国連総会で演説かなんかやって、でも、ちょっとここで思いとどまるかなあとか、そういう可能性はありますか?
鈴木)側近の中には最後まで止めるように進言したいって言っている人もいます。だから本当に最後の最後まで分かりませんが、ただここまでこうやって選挙モードに入って動き出していくと、これはなかなか流れを止められないし、ここで止めちゃうと逆に何だったんだっていう話にはなりますよね。
準備の整っていない小池新党
高嶋)まだ早いんですけど、要するに勝敗分岐点ってどうなるんですかね? 3分の2はもう難しくなるんじゃないですか?
鈴木)いろいろな見方があると思いますが、まあ難しいという見方がありますよね。ただ野党4党の選挙協力みたいなのが上手くいかないとか。またこれからさらにどんな有事が起きるか分からない、さまざまな要素がありますから。そういう中で憲法改正のための3分の2の勢力ということは厳しいという見方も取れるかもしれない、さらに小池新党ですよ。
高嶋)そっち聞きたいですね。
鈴木)ここは基本的には憲法改正賛成ですからね。
高嶋)これもう来週ぐらいに作るって言ってるんでしょ?若狭さん。
鈴木)僕は想像以上に準備は進んでなかったと思うんですよね、なかなか。小池さんがのこのこ出てきて直接細野さんと会ったりしたじゃないですか。本当は若狭さんと細野さんで話は詰められるはずだったんだけど、小池さんが出て来たっていうことは、やっぱりなかなか準備が上手くいかない、意見も合わないとこもあったんでしょう。そういう中でいきなり選挙でしょ。だからある程度見切り発車的にまず政党を作ろうと。これ選挙制度からいくと、比例で救済というラインを持っておきたいわけですよ。ということはやっぱり政党をとにかく作って臨まないと、その比例の問題なんかもありますからね。だからとにかく多少意見が合わなくても……。
高嶋)比例で当選してた議員を選挙区に回すってことですか?
鈴木)ううん、じゃなくて要するに、たとえば細野さん達何人かとか、若狭さんとか政党小池新党作ったとしますよね。この人達が政党ができないまま無所属で出ちゃうと彼らは小選挙区で落ちたとき比例救済できないじゃないですか。だからとにかく政党の型作っとかないと。それから東京でも25全部出すって言いますけど、とても候補をしっかり選んでって余裕無いですよ。無いけれども全部の選挙区に出してれば、比例票につながるじゃないですか。そうするとたとえば変な話だけど、若狭さんだって他に小池新党に行くっていう人いるけども、そういう人たちが小選挙区に落ちた場合に比例救済という道も、保険かけられるわけですよね。
高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00