民進党の代表選挙~前原氏枝野氏の明確な相違はない

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8/23(水)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

この2人の代表選挙は“近くて遠い似た者対決”?
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター鈴木哲夫(ジャーナリスト)

前原誠司 枝野幸男

民進党代表選挙の公開討論会で握手を交わす前原誠司元外相と枝野幸男元官房長官(右)=2017年8月22日午後、東京都千代田区 写真提供:産経新聞社

前原氏と枝野氏が公開討論会を開催

民進党の代表選挙に立候補した前原元外務大臣と枝野元官房長官の公開討論会で、相次ぐ離党者への対応をめぐる違いが鮮明となりました。前原氏は離党者との連携など野党再編を視野に柔軟な姿勢を見せたのに対し、党の結束を優先させたい枝野氏は、けじめをつけ、次の衆議院選挙では対立候補を擁立する考えを示しました。

民進党の代表選挙に立候補した前原誠司元外務大臣と枝野幸男元官房長官は昨日の午後日本記者クラブ主催の公開討論会に臨みました。この中で民進党離党者への対応で2人の違いが鮮明となりました。
枝野さんと前原さんです。

枝野氏)長島さんや細野さん、党から出て行かれました。民進党だから彼らに投票した人もいる。だからそうした人たちは裏切られたと思って次の選択肢を求めているわけですから、基本的にそこにはきっちりと対抗馬を立てる、つまり民進党としての公認候補を立てる、こうしたけじめをしっかりつけていかないと党はまとまっていかないと思うのですがいかがでしょうか?

前原氏)候補者を立てるかどうかということについては枝野さんのご意見は一考に値するという風に思いますが、私が代表になれば総合的に判断をしたいという風に思います。

森田解説委員)前原さんとしては東京都の小池知事の都民ファーストの会のような地域政党が今後も生まれる可能性に触れまして、むしろそういうところと連携を取りながら党の力を最大化することが大事だとも述べておりまして、野党再編を視野に入れています。
一方枝野さんの方は党の結束と統治を優先させる考えで、根無し草の風頼みの政党は本格的な政権の担い手に成り得ないと昨日述べています。
代表選挙は国会議員の1票が2ポイントになっておりまして、今142人国会議員がいますので284ポイント国会議員は持っておりまして、既に前原さんが過半数を獲得したとも伝わっております。ですが地方議員票と党員サポーター票もいずれも200ポイント以上と比重が大きいので勝敗の鍵を握っています。
また国会議員も若手の中には世代交代を訴える声もあります。井出庸生政調副会長が一時立候補を決断したのですが、同じ旧維新の党出身の松野頼久元官房副長官のグループの幹部に「2~3人推薦人を貸して欲しい」と頼んだのですが、賛同を得られず推薦人が集まらなかったというような背景もあるのですが、代表選の後離党ドミノが止まるのかどうか、この辺もまだ定かではありません。

前原誠司 枝野幸男

民進党代表選挙の公開討論会で意見を交わした前原誠司元外相と枝野幸男元官房長官(右)=2017年8月22日午後、東京都千代田区 写真提供:産経新聞社

一騎打ちとなった前原氏と枝野氏 実は2者の明確な違いは無い?

高嶋)前原さんと枝野さんの違いというのが2人の発言だけでは分からなくて、その瞬間は例えば消費税なら消費税、憲法改正なら憲法改正、あとはいわゆる野党の連合としての受け皿、いろんなことをおっしゃいますが何だか猛烈に印象に残るということが無いのですよね。
鈴木さんは長年2人を見て来られて、この2人の1番の違いはどこにあると読まれていますか?

鈴木)実はそんなに違わないのかなという気がするのです。今日の産経新聞の見出しで「近くて遠い似た者対決」と書いてあるのですけど、これは言い得て妙だなと僕は思います。
今選挙ですから、とにかく相手に論戦を挑み対立軸を作っていかなければならないわけだけれども、野党再編の在り方にしても、前原さんというのは少し柔軟に、野党皆を結集してというようなことを言っていて、枝野さんはそうじゃないと言っていましたけども、実は枝野さんは幹事長のときに率先して野党4党の選挙協力をやったのですよね。だからあの人は割と現実主義者なのです。

高嶋)共産党と、ということだけが非常にクローズアップされていて、それに対して枝野さんの方が非常に柔軟な考え方をしていて、前原さんはむしろそれを拒むような印象ですが。

鈴木)だけど前原さんも実は自由党の小沢さんと繋がっていて、小沢さんには共産党も付いていて、そういう意味では少し言い方が違うのですよ。
前原さんの場合は「共産党とは一緒になるなんてことは絶対に無い。ただ正々堂々と議論しよう」と。議論すれば合うところと合わないところが出て来ますよね。そういうものを持って今後の選挙協力も含めてどうするかというのを考える。つまり「議論することを自分は避けない」と言っているわけですね。
これって共闘の可能性も残っているわけじゃないですか。だからそういう意味では民進党単独で1回引締めようという気持ちがお互いにあるでしょうけど、だったら本当に民進党が1党単独で全ての小選挙区に候補を立て、自民党の対抗軸の大きな政党としてというと、厳しいですよね。そういう意味ではやはり野党協力というのは2人ともやらなければいけないと。
ただやはり今は選挙だから多少アプローチも違う、意見の違いもある、そういう風に見た方がいいですね。

高嶋)本音はよく分かりました。それで今出て来た小沢一郎さんのところだとか、それから社民党の福島瑞穂さんのところだとか、言っては何ですけどごまめの歯ぎしり政党みたいになってしまって、そんなのを連れて来てなにか良いことがあるのかと。共産党は組織がしっかりしていますからそれは分かりますよね、選挙ということだけを考えれば引き入れたいですよね。前原さんは随分人柄が変わったような気がするのですが。

鈴木)そうですね。加えて政策的にも社民主義と言ったら前原さんは怒るかもしれないけれども、やはり人間が生きていく上で必要なもの、ハートもそうだし、それから社会保障ですよね、こういうものに非常に本気で取り組むという風に変わって来ましたよね。

高嶋)消費税なんかについてああいう言い方をするというのは、安倍さんなんかはとにかく今の経済状況を落としたら政権はぶっ飛ぶと思っているから絶対に触れられないけども、前原さんは現時点では消費税というのはいわゆるこれからの日本の将来、年寄だとか社会保障とか、そういうもので財源が無ければしょうがないだろうというような極めて現実的なことを言っているわけですよね。どっちが代表になった方が良いのですか?

鈴木)私はさっき言ったように“近くて遠い似た者対決”だと思います。実は両方ともリアリズムがある、それから前原さんのことで言うとやはり年齢的なところもあると思うのですよね。
前原さんは元々政治家になる前とかもずっと苦労をしてきた人だから、そういうバネで理屈優先みたいなことがあったけども、もうこの年齢になって、自分が苦労してきた分「人間とは何か」みたいな人間主義に年齢と共に変わって来た感じがするのですよね。
一方の枝野さんは非常に先鋭的に見られていますけども、ご自身はやはり保守だという思いもある、それからリアリストだから野党が勝つ為には悪魔と手を組むということもある。

高嶋)小池さんとのグループについては2人でいわゆるアプローチというか今後の関係というのはやや違う言い方をしていますけど。

鈴木)“今は”ですね。代表になるとやはりそこは枝野さんのリアリズムも出るだろうし、前原さんも今までのような突っ張った人ではなくなる。だからそこが“近くて遠い似た者対決”というところですね(笑)。


民進党の新代表がすべきこと~最近の世論調査では“ポスト安倍”に野党第一党議員の名前が挙がらない?

高嶋)民進党の前原さんと枝野さん、それから共産党の志位さんなんかもいろいろと含めて、誰が一番役者ですか?

鈴木)ひとつだけ言いたいのは、最近世論調査で安倍さんの人気が落ちて来て石破さんの名前が出るじゃないですか。でもあれをずっと見ると、野党の人が誰一人として顔が見えないのですよ。
普通安倍さんが駄目だったらまず野党第一党の誰かを挙げますよね。だからそこにインパクトが無いのは確かなのです。今おっしゃったような面子、誰が役者であろうがその人たちの名前が出て来ない。つまり今度の代表になってやるべきことはその“顔”が誰かというそのアピールをしていくというのも大きな仕事だと僕は思います。

高嶋)小池さんがどっちに付くかによっても変わって来ますよね。

鈴木)そうですね。小池さんもリアリズムだし、第2自民党にはならないという風に若狭さんも言っていますから、そうすると野党と組む可能性だってある訳ですよね。もうとにかくリアリストばかりで大混乱しそうな感じですけど。まだ先は読み辛いですよね。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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