「ポスト習近平」と呼ばれていた2人が登用されなかった理由とは?
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10/26(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②
次世代無き指導部と揶揄する声も
7:02~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター山本秀也(産経新聞論説委員)
習近平氏は死ぬまで政治を続けると見られている
中国共産党大会を終え、新指導部7人が選出されました。全員が60代で、後継者に当たる人物も存在しない結果となりました。習近平国家主席は、本来の任期である5年を大幅に上回る期間で、政治を続けるとも噂されています。これらの情報について、習近平氏の思惑も含め、詳しく解説します。
高嶋)中国の共産党大会が終わりました。新指導部7人が、横にずらっと出てきましたね。全員、60代ということで。それで、今日の産経新聞の1面見出しが、「次世代無き指導部が動き出す」、「次世代無き指導部、始動。全人代トップに、再側近」とのことですが、ページをめくると、「ポスト習近平、昇格見送り。密室人事が続く」と。
山本)あそこは常に密室人事ですからね。そこは今更ですが……
高嶋)噂ですが、「習近平さんは死ぬまでやる気だ」と言っている人もいるそうですが。
山本)私もその1人です。やる可能性もあるし、頭の中ではその夢をいまのところ描いているだろうな、と思います。
高嶋)「新時代の中国の特色ある社会主義思想」という、やたら長い思想を掲げていますね。
山本)この長くなってしまった辺りが、習近平さんの権威がまだストンと入らない、ということですよね。この習近平という名前が最後に付くか付かないか、ギリギリまで揉めたようです。
本当は「習近平思想」とか「習近平理論」とか、5文字くらいで納めたかったところなのでしょうけれど、さすがにそれは、いまのところ党内が納得しないので、「社会主義」、「中国の特色」、「新時代」と、増築を繰り返し造り、最後に母屋をくっつけた感じになっています。
大会の冒頭の3時間半の演説の中で、「今世紀半ばまでの国家建設」という、非常に長いことを喋っています。その中で2035年までの第一段階。「2035年」というのをやたら強調するのです。どうも、本当はルール通りだと、これから始まる5年間で彼の任期は終わるはずなのですが、どうもそこから先の2035年ばかりが気になっています。
そこへ持ってきて、今度は指導部の7人に、後継候補を誰も入れませんでした。これは中国民主活動をやっている私の知り合いが「後継問題は実はどうでもいいと、アイツは思っている」と解説してくました。「彼は、後継をきちんとルール通りに決めて、という頭で動いていないから、その方向で様子を見ろ」とアドバイスしてくれました。策をめぐらせ、障害となる人物を失脚させた手法とは
高嶋)最初から50代で名前が挙がっている人に入れる気はなかったのですか?
山本)そこなのです。最初に「候補になるかな?」と言われたのは、失脚した、重慶市の元書記である孫政才。そして、広東省の胡春華。重慶と広東のこの2人は共に50代で、これは「次のポスト習近平の2大候補か」と言われていた人々です。
孫政才は汚職にかこつけて追い落とすことができた。残るもう1人はガードが堅く、簡単に足が引っ張れない。
ここからは私の読みです。
浙江省という地方にいたときの子飼いの部下だった陳敏爾を引っ張り上げ、貴州省の書記から重慶の書記に持って行き、「オレの手下なのは分かっていると思うが、上に引っ張り上げようと思うが、どうだ?」と話をしたら、「いや、ちょっと待ってください。胡春華も入れるんでしょうね?」と。
さあ、どうする。どちらを入れるか話をしているうちに、「分かった。イヤなら、両方止めておこう」とやって、フタを開けてみると、「あれ、胡春華もいない。孫政才もどこかへ行ってしまった」となった。除名されたのです。そうなると、彼が入れたくなかった2人を追い落として、入れないことに成功してしまったわけです。高嶋)最初から、その作戦だった?
山本)私の邪推かもしれないですが、いずれにしても、「策を弄した結果、彼の思い通りになった」と、ここまでは言えると思います。
高嶋)大きな国のトップ。腹の中は分かりませんね……
高嶋ひでたけのあさラジ!
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