中国の政局も“習近平一強”【高嶋ひでたけのあさラジ!】
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8/1(火)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②
中国の権力闘争の実態とは?
7:02~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター富坂聰(ジャーナリスト・拓殖大学教授)
「北戴河会議」とは一体何か?
今年5年に1度の党大会が開催される中国ですが、中国政治の実態についてはあまり知られていない部分も多いと思います。中国における権力闘争の実態や習近平国家主席の権力の裏側について富坂聰氏に解説していただきます。
高嶋)この間中国で軍事パレードが行われまして、それも内モンゴル自治区という場所で。
富坂)これは何と言うか、本当に軍事パレードなのかなと。まあそうなのですが、ちょっと我々の持っているイメージと違いますよね。
高嶋)建軍90周年だと。「世界の一流の軍隊にしなければならない」と迷彩服を着た習近平さんが演説をしたようですが。
今年5年に1回の党大会があるのですよね。今日の新聞を見ているとその前に「北戴河(ほくたいが)会議 開会」と。この北戴河というのは、重臣が出て来るのでしたっけ?富坂)そうですね。これは北戴河という避暑地の名前で、本来「北戴河会議」という名前は無いのですよ、これは通称ですね。多分会議の質としては政治局拡大会議ということになると思います。
「拡大会議」というのは“拡大”と付くと誰でも発言しても良いということです。避暑の期間を使って行う会議ということですね。高嶋)長老の不満の捌け口みたいなものなのですかね?
富坂)これは最終的に人事とか、今回はむしろ党大会で習近平が何を話し合うのかということの精査だと思いますね。
中国の権力闘争は“横”ではなく“縦”に繋がっている高嶋)私が分からないのは、重慶市の孫政才(そんせいさい)さんが失脚をした、すると彼は江沢民(こうたくみん)さんに繋がるということで。これはどういう意味合いなのですか? 未だに怖いのですか?
富坂)実は私はそういった“派閥”というのは実際にはそれほど機能していないと思うのですよね。誰かに引き上げられたというのはもちろんあるのですが、例えば汚職で捕まった人は横に繋がらないですよね、だから孫さんと組んでいた人というのがいて、権力闘争だったら必ず同じように横に広がっていかなければいけないのだけど、全て“縦”に広がっているのですよ。中国の汚職摘発というのは全て縦で繋がって“一族”という形で捕まるのです。
高嶋)それは狙い撃ちですか?
富坂)そうです。要するに、例えば政治局員の中で「半分が何派で半分が何派で」と争っているというようなことは中国の場合は無いですね。
だから「〇〇派」というのは実は人間の傾向を知るのには有効なのですが、厳密に当てはめていくとものすごく破綻している理論なのですよ。
中国の政治も“習近平一強”?高嶋)習近平さんが国家主席になったときに太子党で「お坊ちゃまグループ」とか言われていましたけど、この頃全然聞きもしなくて、彼のやり方というのは今までと随分違う方向を取っているのですか?
富坂)違いますね。江沢民、胡錦濤(こきんとう)の2人、会社で言えば雇われ社長のような感じなのですけど、そういう人とは全く違っていわゆる“根っこのある”感じで大衆に支えられた社長ですね。
言ってみれば、“大政奉還”じゃないけれどもよく企業も創業者の家に戻ることがありますよね、丁度そんなイメージで捉えられていますね。だから彼も要するに“大衆人気”というので、いわゆる上の人の言うことをきちんとやった人が上に上がっていくという、胡錦濤さんや温家宝(おんかほう)さんもその典型なのですが、そういった評価の仕方とは違って、大衆に直接アピールをするというやり方で人気を得ているので、中南海では敵無しですよね。高嶋)一強ですか?
富坂)まさに“一強”ですね(笑)。多分前の人と比較にならない程の一強だと思いますよ。
高嶋ひでたけのあさラジ!
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