東京モーターショー②今年のキーワード「電動化」
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データシステムのブース 悪質な事故を受けてドライブレコーダーの需要を高まっているという
前回もお伝えしましたように、今年の東京モーターショーのキーワード、「人工知能」「自動運転」そして残る一つは「電動化」ですが、各社の出展を見るとEV=電気自動車へのシフトがより明確になりました。
「EVが近い将来において重要なソリューションの一つとなることには疑う余地はない」(トヨタ自動車・ディディエ・ルロワ副社長)
「操る喜びをEVで実現するスポーツEVコンセプト」(ホンダ・八郷隆弘社長)
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ホンダ・スポーツEVコンセプト
「日産IMxは日産がすべてのカテゴリーにEVを提案する約束の証し」(日産自動車・ダニエレ・スキラッチ副社長)
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自動運転技術を詰め込んだ電気自動車、日産IMx
出展されていた電気自動車も自動運転技術満載のものもあれば、スポーツ走行にふったものもあり、多様な選択肢が示されていました。
特に印象的だったのが、トヨタのプレスブリーフィングでルロワ副社長が発したコメントです。
「トヨタは初の量産電動車をちょうど20年前にここトヨタブースに出展した」
これは誰もが知る「プリウス」のことですが、ハイブリッドという言葉を一切使わず、「電動車両の先駆け」と称しました。関係者の言では「プリウスもモーターで走りますから」と深い意味がないことを強調していましたが、ならば今まで通り「ハイブリッド車」という呼び方でいいわけで…。
トヨタは今年8月、マツダとの資本提携でEVの共同開発を明らかにしました。その時の「独り言」にも述べましたように、トヨタにはHV=ハイブリッド車だけでなく、FCEV=燃料電池車、PHV=プラグインハイブリッド車などもラインナップ。いわば「全方位外交」により電動化の要素技術を蓄積していますが、この言葉で私はいよいよトヨタも電気自動車=ピュアEVの開発にもかじを切ったという感を強くしました。
一方、東京モーターショーでは部品メーカーも多数出展していて、そこでも最先端の技術を見ることができます。日立金属のブース、電気自動車には欠かすことができないモーターやバッテリーの素材が展示されていました。
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日立金属の金属箔 電気自動車を支える「縁の下の力持ち」だ
私は注目したのは薄い金属箔…電気自動車のバッテリーの電極に使います。銅にニッケルなどを加えて合金処理することで、薄くしながら強度を維持する技術です。担当者の話では、量産型の電気自動車が世に出た7年前に比べて、その箔の厚さは3分の1にまでなったということです。こうすることで何ができるのか…電極板を薄くすることで同じ大きさで電極を増やすことができる…つまり電池がふやせて発電容量が大きくなり、航続距離を延ばすことつながるわけです。
電気自動車の航続距離が改良によってなぜ伸びるのか?自動車メーカーからは「バッテリーを改良し、エネルギー密度が向上した」という回答が返ってきます。しかし、その先には…このような地道な加工技術があるのです。私は東京モーターショーを見る時は部品メーカーも回るようにしています。自動車メーカーだけではわからない本当のこだわり、技術の真髄を見ることができるからです。そしてこの時の担当者の顔は実に生き生きとしています。モーターショーに来てよかったと思う瞬間です。