萩本欽一が抱き続ける、笑いへの狂気とは。『We Love Television?』

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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第305回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、11月3日から公開された『We Love Television?』を掘り起こします。


「僕が亡くなった日に流してほしい」。萩本欽一、最初で最後のドキュメンタリー映画

萩本欽一が抱き続ける、笑いへの狂気とは。『We Love Television?』
「視聴率30%超えの番組を作りましょう」。そう本気で持ちかけられて快諾する人が、いまのご時世、どれだけいるでしょうか。近年、“高視聴率番組”と呼ばれる目安は、15%以上と言われています。20%もあれば大ヒット!30%がいかに驚異的数字であるか、ご理解いただけるでしょう。

夜の在宅率の低下や、録画システムの普及からリアルタイムでテレビを観る必要性が低くなったこと。さらにはテレビ以外の娯楽が発達したりと“テレビ離れ”が進む中、このチャレンジングな企画に手を挙げたのが、萩本欽一。かつて出演するレギュラー番組の一週間の合計視聴率から“視聴率100%男”の異名を取ったレジェンドです。

萩本欽一が抱き続ける、笑いへの狂気とは。『We Love Television?』
ある日突然、カメラを抱えて萩本欽一の自宅を訪れる人がいた。その名は、土屋敏男。かつて「電波少年」シリーズで30%以上の視聴率を記録した、こちらもテレビ界伝説の男だ。

「視聴率30%を超える番組を作りましょう」。

その一言から、76歳の萩本欽一こと欽ちゃんと、彼を敬愛する土屋氏による新たな番組作りがスタートする…。

萩本欽一が抱き続ける、笑いへの狂気とは。『We Love Television?』
2011年の萩本欽一の新番組制作に密着した映像を中心に、欽ちゃんが自宅での自撮り撮影も含めて構成したドキュメンタリー映画。土屋氏が立ち上げた新番組に欽ちゃんが参加する形で、撮影はスタート。

ところが撮影開始当初から、映画のための映像素材を撮り貯めているとは本人には知らされていない…という、一見“だまし討ち(?!)”的な手法は、土屋氏のかつての“アポなし取材”を連想させる側面も。

しかし演者との顔合わせ、番組構成スタッフとの打ち合わせなどを精力的にこなしていく日々を通じて、そこには笑いを追求し続け、新しい要素を取り入れ、関わる人々の熱量を最大限に引き出していくエネルギッシュな“欽ちゃん”の姿が。

“視聴率100%男”独自のテレビ作りの奥義、そしてエンタテインメントへのあくなき執念が浮き彫りになります。

萩本欽一が抱き続ける、笑いへの狂気とは。『We Love Television?』
2011年という年を振り返ってみると東日本大震災の話題に終始してしまいがちですが、実は地上波放送がアナログからデジタルへと切り替わったのもこの年。日本の放送形態が大きく変化する前後に、萩本欽一というテレビ界のレジェンドが再び「視聴率30%」に挑戦していた…という事実そのものに、何か大きな“意味”を感じずにはいられません。

時代は常に、変化し続けている。
その“時代”のうねりと格闘する、すべての人に観てほしい映像日誌です。

萩本欽一が抱き続ける、笑いへの狂気とは。『We Love Television?』
We Love Television?
2017年11月3日(欽・祝)から全国ロードショー
企画・構成・監督:土屋敏男
出演:萩本欽一、田中美佐子、河本準一  ほか
©2017日本テレビ放送網
公式サイト http://kinchan-movie.com/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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