スポーツにおいて「負けたときこそ、相手を称える」ということ

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11月22日(水) 鈴木哲夫のあさラジ!「スポーツ人間模様」

原田武一 宮城淳 加茂公成

(左から)デ杯日本代表の原田武一監督、宮城淳さん、加茂公成さん=1955年、アメリカ・ニューヨーク州グレンコーブ[日本テニス協会提供] 写真提供:時事通信

「スポーツ選手はグッド・ルーザー(良き敗者)たれ」という言葉をご存じでしょうか。「いい負け方をした敗者」ということになります。私は大学時代、早稲田大学の庭球部に入っていました。その時の監督が宮城淳さんという方でした。

宮城淳さんといえば伝説の名プレイヤーで、現役時代(1955)には、全米選手権男子ダブルスで加茂公成(かもこうせい)とペアを組んで優勝。日本人のテニス選手として唯一の4大大会男子ダブルスチャンピオンになった伝説の人。

その監督が「グッド・ルーザー」ということをよく仰っていました。スポーツですから勝たなくてはいけないのだけれども、負けたときこそ、スポーツマンとしての品格や人間性が出ると言うのです。

よく言われたのは、テニスでは、負けた方が必ず先にネットに近寄って行き、勝者を称えて握手を出せということです。負けて「くそっ」と言ってラケットを投げ捨てるのではなく、負けたときころ相手を祝福する。そうしたグッド・ルーザーであれば必ず、次の勝機が生まれてくるのだと。

そして、そうできる人間は努力した人間だという。一生懸命練習して本気でやってきたから、負けても爽やかに「これは仕方ない」と思える。

実生活においても、人生はいいときばかりではない。負けるときも沢山ある。そういうときにどういう態度をとるか、そこに繋がっていくのだと、よく言われました。

後年、私はMXテレビの報道キャップ時代、高校野球の予選で、あえてこの手法をとったことがあります。1人のカメラマンに、徹底的に「敗者」をおさえていくよう指示を出しました。

そこにはドラマがたくさんあるわけです。あと一球で負けるというとき、あえてネクストバッターズサークルの選手の表情を撮る。声を振り絞る選手がいる…。すでに悲痛な顔の選手がいる…。勝った選手をすっと称える選手…、その光景はむしろ、勝った選手より美しかった。

東京オリンピックでも、私は負けた選手ばかりを追っていこうと思っています。そうすることで、感動やドラマもあるでしょうし、自分の実生活や人生にヒントができるような、そんな選手と巡り会えるのではないかと思うのです。

11月22日(水) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」


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