【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第341回】
さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、1月13日公開の『5パーセントの奇跡〜〜嘘から始まる素敵な人生』を掘り起こします。
ドイツで大ヒットを記録、感動の実話を映画化!
もしもあなたが「もう夢は諦めて、現実的になりなさい」と周囲の人から諭されたら、どうしますか?
本作は、将来を期待されていたにもかかわらず、10代の時にほぼ全盲になってしまった学生サリヤ・カハヴァッテの実話に基づく物語。ドイツ全土を笑いと感動の渦に巻き込んだハートフル・エンターテイメントです。
ドイツ人の母とスリランカ人の間に生まれたサリーの夢は、立派なホテルマンになること。ところが突然、先天性の病気による網膜剥離が彼を襲い、手術してなんとか保てたのは、たった5パーセントの視力だった。それでも五つ星ホテルで働くという夢を実現させたいサリーは、無謀にも弱視であることを隠してホテルでの見習いをスタートすることに成功。ホテルの研修課題を次々とクリアしていくサリー。
しかし、ある女性との出会いにより、完璧だったはずの偽装計画が徐々にほころび始めて…。
この奇跡の実話を映画化したのは、アカデミー賞外国語映画賞候補にもなった『城バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々』のマルク・ローテムント監督。
主人公のサリーが抱える所謂“ハンディキャップ”を、大なり小なり誰もが持つ“欠点”や“弱点”と捉えることで悲観的な演出を回避。むしろ“訓練”、そして“闘い”といったロッキー的な要素を盛り込むことで、エネルギッシュかつドラマチックなヒューマンドラマに仕上げました。
持ち前の明るさと機転を利かせ、仲間の助けも借りながら夢への階段を駆け上がるサリー。自分の道を切り開いていく彼の勇気と力は、自らの“弱点”とどう向き合っていくか…という、私たちにも共通する命題を与えてくれています。同時に「こんなに素晴らしい青年が実在したんだ!」という真実に、明日からも頑張ろうと元気が沸いてくること間違いなし。
もしも「もう夢は諦めて、現実的になりなさい」と周囲の人から言われたならば、この映画を観た後ならばこう答えたくなることでしょう。
「温かい助言をありがとう。でも、“現実”ってなんですか?」
5パーセントの奇跡〜嘘から始まる素敵な人生〜
2018年1月13日から新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町ほか全国ロードショー
監督:マルク・ローテムント
出演:コスティア・ウルマン、ヤコブ・マッチェンツ、アンナ・マリア・ミューエ ほか
©ZIEGLER FILM GMBH & CO. KG, SEVENPICTURES FILM GMBH, STUDIOCANAL FILM GMBH
公式サイト http://5p-kiseki.com/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/