「年金開始70歳超も可」がもたらす弊害とは?

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1月18日(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②

受給開始が70歳を超えると42%増額
7:02~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター佐藤優(元外務省主任分析官・作家)

「年金開始70歳超も可」がもたらす弊害とは?

年金の「受給開始年齢70歳以降も可」が生む問題

中長期的な高齢者施策の指針となる高齢者対策大網案には年金の受給開始を70歳以降でも選択可能とすることが盛り込まれている。高齢者の就業促進と年金の給付改善が狙いというが、政府の意図するところは何なのだろうか。

高嶋)年金開始、70歳超えてからでどうですか、そしたら42%増額しますという。政府の高齢社会対策大綱の案というのが出て来まして、こういうのを佐藤さんに分析させると非常に独自の視点でそんな裏が垣間見えるのかと、いつもそう思うんですけど、これには何を感じますか?

佐藤)まず42%っていう積算は絶対根拠があるはずなんですよ。ということは、70歳を超えて42%最大増額してもトータルとしてはその方がプラスなんだという計算ができてるということなんですね。そうすると、国民が何年くらいあと生きてるだろうかっていう平均余命をきちんと計算してコンピューターにかけて額を計算して出してるわけですよね。嫌な感じしません? それからあともう一つね。60歳と70歳で年金の受給年齢は変えるっていうことを入れるとすると、一見中立的なように見えるんだけど、66歳67歳のときどういう風になるか、私だってなりますよ、10年後の話だから。周りの顔を見ますよね、高校時代の同級生や大学時代の。俺まだ年金取ってないんだぜ、働いて社会に貢献してるから。なんか一級老人みたいな感じでね、一級高齢者。それに対して65歳から年金を当然の権利として取ってると、そうすると何となく話の輪に入りにくいとかね。こういうような感じになって来る。

高嶋)お年寄りを差別するような風になってくると。

「年金開始70歳超も可」がもたらす弊害とは?

生涯現役社会での非現役者の命

佐藤)そこに分断が持ち込まれてくると思うんです。それから更に、生涯現役というとなんか良いことのように聞こえるでしょ。しかし生涯現役というのを始めたのは、これはナチスですからね。ナチスは健康国家ですから。健康診断も推して。どうしてかというと、国民の体はヒトラーのものだから、ヒトラーのために役立つように国民は健康管理をして生涯現役だと。裏返すようになると、現役でない、働けないような人間というのは、ナチスは障がい者とか、そういったのに対して安楽死っていう名前においてどんどん排除していきましたよね。どうも生涯現役というのは、逆に現役じゃなくなった人の命について国はどう考えているのっていう。物凄く経済重視、功利主義的な考え方ですよね。

「年金開始70歳超も可」がもたらす弊害とは?

高齢者同士での分断と競争

高嶋)確かに、さっき分断と仰いましたけど、健康で経済的にも恵まれていて、そういうお年寄りですごい上から目線の人って結構いますよね。

佐藤)結構いますよね。私なんて肥満体だから、「君そんなことだったらみんなに迷惑かけるぞ。将来健康保険たっぷり使って」と、思わず「わかったよ、そんなこと言うんだったら俺は自由診療でやるから」って答えたくなりますよね。

高嶋)私の周りにもね、その方亡くなりましたけど、自分は健康保険を1年間を通して一度も使わないと、むしろ政府や自治体はそういう健康老人に国の金使ってないんだから表彰すべきだと言ってる人いました。

佐藤)変なところで競争させるとか煽るような方向っていうのをやったらいけないと思う。例えば私、大学病院行くでしょ、大学病院って6時前から沢山並んでるの、趣味高齢者で、何かっていうと整理券の番号の若いのを取りたいと、そういう競争をしちゃうの。だからこの65、70で年金の受給年齢を分けるとなると、自分自身の10年後の姿を見て周りの友達とか思うと高齢者の間で自慢話が始まりそうだなという感じで嫌な感じがするんですよ。

高嶋)お年寄りのホームなんか行ってもですね、ほんの何人かだけども、自分がある大会社の役員やってて、今でも日経新聞読んだり週刊ダイヤモンド読んだりエコノミスト読んだりしてね、ああいう連中とは付き合わないなんて、そういう人もいるんですよね。

佐藤)本当にそういうのきついですよね。

高嶋)問題を孕んます。佐藤さんの分析です。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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