名護市長選挙~「基地容認」渡具知氏を当選させた2つの戦術とは?
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2/7(水)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!①
3分の2の市民が基地建設に反対
6:31~ニュースやじうま総研!ズバリ言わせて!:コメンテーター鈴木哲夫(ジャーナリスト)
沖縄県名護市長選挙~基地反対派の稲嶺氏敗れる
沖縄県名護市長選挙は、無所属新人で元市議の渡具知武豊氏が3期目を目指した無所属現職の稲嶺進氏を破り初当選した。市民の3分の2が辺野古新吉建設に反対しているにも関わらず、なぜ基地建設を進める与党支援の渡具知氏が当選したのか。
高嶋)先日の沖縄県名護市の市長選挙、渡具知武豊さんという方が当選しました。小泉進次郎筆頭副幹事長が2回も入ったということですが。
それでいわゆる基地の問題、辺野古の移設問題については全く争点化しなかったというか、ほとんど触れなかったと。その当選で一体この心をどう読むかというのを専門の人がいろいろと言っていますけども、鈴木さんはどういう風に分析されていますか?鈴木)去年の11月くらいから政府関係者とか官邸の中枢にいる方とかと沖縄の話をすると、とにかく選挙の話題でもほとんどというか絶対基地の話をしないのですよ。もう基地の「き」の字も言わない。沖縄の基地の話を訊いても完全に言わない。
高嶋)基地の「き」の字、辺野古の「へ」の字も言わないと?
鈴木)言わない。これはかなり中枢の人ですよ? 当然そこに関わっている人です。
高嶋)箝口令が敷かれているということですか?
鈴木)徹底して言わないなと思ったのはやはりここにあったわけですね。とにかくこの名護市長選挙に自民党・公明党としては絶対に勝たなければいけない、その為には基地を争点化しないということを徹底していましたね。
その代わりに沖縄で何の話をするかというと、そういう人たちは全員共通していましたけど、経済の話でした。その中にはカジノを沖縄に持って行くというのも有りなのではないかとか、そういう話もあった。とにかく経済の話しかしない、基地の「き」の字も言わない、それくらい徹底していた。高嶋)ということは当初稲嶺さんの方が有利だと言われていたのは当然基地問題が争点化されていくだろうから、これはやはり反対派の稲嶺さんがと言っていたところ、それが自民党の戦略で地下に潜ってしまったのですね。やはり沖縄は経済状況があまり良くないと。
世論調査では6~7割が「反対」~「基地に触れない」徹底した戦術で勝利
鈴木)それで今回の選挙の結果をどう見るかなのですけど、結局地元のメディアなどがこの選挙に絡んで基地の問題を一緒に世論調査をするじゃないですか。そうするとやはり過半数、6~7割がどこのメディアの調査でも反対なのですって。反対の方が多いのですよ。
高嶋)昨日どこかのテレビでやっていましたね、渡具知武豊さんの票の中で3割の人が「基地は反対だ」と言ったと。
鈴木)反対なら普通は稲嶺さんに行くのに、反対なのにそうじゃない。ここに今の市民のある種の迷いというものが見て取れると。
高嶋)でも考えてみると、昔からそういう感じがしませんか? 基地が争点化されたら野党が勝ち、経済云々が重点的になると与党というか自民党の息が掛かった方が勝つというような。
鈴木)それともうひとつ数字から見れば、期日前投票。これは期日前の投票率が44%とか言っていたけど、実際の票でざっくりと計算すると6割くらいの票がもう期日前に投票されていた。
期日前に行く人というのはもちろん当日はどこかに出掛けるからという人もいるけど、組織票がやはり大きいわけですよ。つまりそれだけ自民党・公明党がとにかく組織をフル回転させていたと。だからそういうことも勝因のひとつ、つまり組織選挙をやった、争点から基地というのをできる限り外して経済というものを訴えた。そういうものが「基地はやっぱり反対なんだけど……うーん、そうかな?」という票をぐっと取り込んだ、これがやはり今の名護のひとつの結果なのだろうと思いますね。高嶋)そしてカジノを誘致しようという。
鈴木)そうですね。だけどこれはあまり露骨にやると「なんだ、結局経済で国は釣ろうとしているのか」と見えてくる。だからこれは勝った後も政府はけっこう慎重でしょう? 「すぐすぐ」じゃなくて反対の声に耳を傾けながら。この辺がおそらく安倍政権がこれから目指す方向だと思います。
高嶋ひでたけのあさラジ!
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