【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第364回】
さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、2月24日から公開となる『ザ・シークレットマン』を掘り起こします。
リーアム・ニーソン主演、ニクソン政権の腐敗を暴く社会派サスペンス
1974年にアメリカ合衆国史上初めて任期の途中で辞任に追い込まれた、リチャード・ニクソン大統領。その引き金となった「ウォーターゲート事件」が白日のもとに晒されたのは、内部告発者によるものでした。
「ディープ・スロート」と呼ばれるその正体は、30年以上、謎に包まれたままでしたが、2005年、ヴァニティ・フェア誌で、当時のFBI副長官マーク・フェルトがディープ・スロートであることを告白。世界中に激震が走りました。
本作は、ニクソン政権の腐敗を暴くために最高権力者を敵に回し、孤独な戦いに挑んだ一人の男、フェルトの視点からウォーターゲート事件を描いた社会派サスペンスです。
ある日の深夜、ワシントンD.C.の民主党本部に5人の男が侵入し、盗聴器を仕掛けようとしたところを逮捕されるという事件が発生した。捜査を開始したFBI副長官のマーク・フェルトは、背後にホワイトハウスの関係者がいると確信。しかし長年FBIのトップに君臨したフーバー長官の急死後に長官代理に就任した司法次官のパトリック・グレイは、ホワイトハウスの意向を組み、捜査の早期終結を指示。このままでは真実が闇に葬られてしまう。
そう察知したフェルトは、タイム誌の記者サンディ・スミスやワシントン・ポストに接触。事件の全容を明らかにするために、一世一代の賭けに出る...。
アメリカ政治史上最大の謎とされていた“ディープ・スロート”の正体。主人公のマーク・フェルトを演じるのは、リーアム・ニーソン。『96時間』で演じた最強オヤジの影響でしょうか、近年はアクションスターの印象が強い彼ですが、元々は『シンドラーのリスト』や『マイケル・コリンズ』などで実在の人物を演じ、高い評価を得てきた演技派俳優です。本作ではフェルトの孤独、苦悩、そして決断する姿をじっくりと掘り下げ、重厚感ある演技で魅了。
さらにフェルトの妻オードリー役のダイアン・レインをはじめ、娘役にマイカ・モンロー、タイム誌の記者役にブルース・グリーンウッドなどがガッチリと脇を固めます。
またプロデューサーには、本作の映画化を熱望したリドリー・スコットが名を連ねています。
監督・脚本を務めたピーター・ランデズマン監督は、フェルト氏がディープ・スロートであったことを自ら暴露した2005年、報道記者・従軍記者として活躍中でした。
ニクソン政権の不法行為や腐敗を暴いたフェルトという人物は、一体、どんな人物なのだろうか。興味を覚えたランデズマン監督は度々、フェルト氏を訪ね、彼と事件を徹底的にリサーチ。彼が何故、このような行動に出たのか、映画という表現を通じて語りたい...という思いから本作を製作しました。
言わば、ジャーナリストの探究心から生まれた本作。ウォーターゲート事件はこれまでにもアメリカでは様々な形で映画化されていますが、また異なる視点から事件に迫ることが出来る一作です。
ザ・シークレットマン
2018年2月24日から新宿バルト9ほか全国ロードショー
監督・脚本・製作:ピーター・ランデズマン
出演:リーアム・ニーソン、ダイアン・レイン ほか
©2017 Felt Film Holdings.LLC
公式サイト http://secretman-movie.com/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/