『水は海に向かって流れる』広瀬すず主演、大人の女性を熱演
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【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第1123回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画・ドラマを発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。
今回は、6月9日公開の『水は海に向かって流れる』『逃げきれた夢』をご紹介します。
映画館で観たい!『水は海に向かって流れる』 ~榊さんが恋愛をやめてしまった理由とは……
人気漫画家・田島列島による同名コミックを、『そして、バトンは渡された』の前田哲監督によって実写映画化された『水は海に向かって流れる』。
クールなワケありOL・榊千紗と、恋に鈍感な男子高校生・熊沢直達を軸に、シェアハウスに集う人々の賑やかな日常が鮮やかに描かれたヒューマンドラマです。
『水は海に向かって流れる』のあらすじ
高校に通学するため、叔父の家に居候することになった高校生の熊沢直達。駅に降り立った彼を迎えに来ていたのは、見知らぬ大人の女性・榊千紗だった。
彼女が案内してくれたのは、シェアハウス。そこには脱サラしてマンガ家になった叔父、女装の占い師、海外を放浪する大学教授。そして榊が住んでいて、直達は彼らと共同生活を送ることになる。
いつも不機嫌そうな表情を浮かべているが、気まぐれで美味しいご飯を振る舞ってくれる榊さん。直達は次第に、彼女に淡い恋心を抱くようになるが、当の榊さんからは「恋愛はしない」と宣言されてしまい……。
『水は海に向かって流れる』のみどころ
主人公の榊千紗に扮したのは、国民的女優として人気を誇る広瀬すず。はじけるような笑顔と明るいキャラクターが印象的な彼女ですが、本作では、その持ち前の魅力は封印。複雑な心情を奥底に忍ばせた影のある役どころを見事に体現し、新境地を開拓しました。
そんな榊さんに淡い思いを寄せる熊沢直達役は、若手俳優のホープ・大西利空。多感な男子高校生の機微を繊細に演じています。
共演には高良健吾、戸塚純貴、當真あみ、勝村政信、北村有起哉、坂井真紀、生瀬勝久など、クセ者揃いのメンバーが集結。
そして助演賞ものの存在感を放っているのが、子猫のムーちゃん。愛くるしい姿が、たまりませんっ!!!
一度は「恋」することを放棄したものの、直達との出会いをきっかけに、自分自身と向き合っていく榊さん。彼女の心情の変化に触れるうちに、榊さんを好きになり、彼女の人生を応援したくなる人も多いことでしょう。
そして、全編を通じて印象に残るのが、榊さんがつくる豪快な手料理の数々。特に、高級肉と玉ねぎをめんつゆで煮付けた“ポトラッチ丼”は、観客の胃袋を刺激すること間違いなし。
人間ドラマとしてはもちろん、グルメ映画としても楽しんで下さい。
コチラも映画館で観たい!『逃げきれた夢』 ~俳優・光石研を味わい尽くせ!
日本を代表する名バイプレーヤー光石研が、12年ぶりに映画単独主演。「第76回カンヌ国際映画祭」でも公式上映された『逃げきれた夢』。
北九州で、定時制高校の教頭を務める末永周平。ある出来事をきっかけに、周平は自分の記憶が徐々に薄れていっているという事実に気づく。
これまでの人生が素晴らしかった! そう言いきれるかどうか、確信が持てない。周平は“これから”の新たな人生のために、“これまで”の人間関係を見つめ直そうとするが……。
カッコ悪くてズルくて、自分勝手。そんな男でも光石研が演じると、どうにも愛らしく憎めない人物に見えてくる。“俳優・光石研”を堪能できる、珠玉の1作です。
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『水は海に向かって流れる』
2023年6月9日(金)から全国ロードショー
出演:広瀬すず、大西利空、高良健吾、戸塚純貴、當真あみ、勝村政信、北村有起哉、坂井真紀、生瀬勝久
監督:前田哲
原作:田島列島「水は海に向かって流れる」(講談社「少年マガジン KCDX」刊)
脚本:大島里美
音楽:羽毛田丈史
主題歌:スピッツ「ときめき part1」(Polydor Records)
製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ
(C)2023 映画「水は海に向かって流れる」製作委員会 (C)田島列島/講談社
公式サイト https://happinet-phantom.com/mizuumi-movie/
『逃げきれた夢』
2023年6月9日(金)から新宿武蔵野館、シアター・イメージフォーラムほか全国ロードショー
出演:光石研、吉本実憂、工藤遥、杏花、岡本麗、光石禎弘、坂井真紀、松重豊
監督・脚本:二ノ宮隆太郎
企画:鈍牛倶楽部
製作:木下グループ
配給:キノフィルムズ
制作プロダクション:コギトワークス
(C)2022『逃げきれた夢』フィルムパートナーズ
公式サイト https://nigekiretayume.jp/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/