花粉症の季節のマスクはコミュニケーションで問題?

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花粉症の季節のマスクはコミュニケーションで問題?

Spring has come ! 今年の春は唐突にやってきている気がしているのは私だけではないでしょう。メディアではこぞって気温と服装、桜の開花の話をしています。朝起きるとカーテン越しに光が入っていて、多少起きるのが楽になりました。歓迎ムード全開なのですが、暖かくなってくると出演回数が増えるのが「花粉さま」です。コミュニケーション能力のある私は、花粉さまと仲が良く、特にスギさまとは2年前に出会い急速に仲良しになりました。耳鼻科で確認した検査結果ではスギ:測定値4.05 クラス3 。花粉症の判定は0.70以上でクラス2 。 よってスギはしっかり判定内。クラス4(17.5以上)の人に比べれば、まだいい方かもしれませんが、コップからは確実にあふれてしまっています。あ~目がかゆい!

花粉症は日本だけ?
花粉症は海外にはないのでしょうか? 日本だけって本当なのかしら? という疑問を持ったことはありませんか。よく言われているのは、スギが日本の森林の多くを占めているからというもの。林野庁のデータでは、全森林面積の18%がスギ。かなり多い感覚です。スギとヒノキを合わせると28%! 両方の花粉に反応してしまう方にはお気の毒な数字です。「スギやヒノキは我が国の主要な造林樹木で、戦後造林を推進した」とあるので、もはや花粉症の日本特有説を裏付けていると言えるでしょう。

森林面積に占めるスギ・ヒノキ人口林の割合

スギ ヒノキ 人工林

出典:林野庁HPより 林野庁業務資料(平成24年3月31日現在)

ただ、私自身は「かふん」という言葉が、すでに日本特有だと考えていました。ひらがなを見てください。「ふ」と「ん」は日本語に特徴的な音なのです。「ふ」は唇や歯につかず「う」の母音のまま発音します。英語の「F」とは違います。また、「ん」は舌の位置に寄らず、鼻に抜けるように出します。日本語の中に最初が「ん」で始まる単語はありません。どうでしょう? だから「かふん」と聞いただけでむずむずしてくるんです。日本語トレーナーとしての自説はこの程度にして、今年はどのぐらい花粉の時期が続くのか調べてみました。日本気象協会のサイトによると、今年の花粉の量は前のシーズンに比べて多い見込み。全国的にこれからピークを迎えます。メディアで報道される「かふん」の言葉を聞くだけで条件反射のようにくしゃみが出るのは、まだまだ続きそうです。

花粉症対策として私の場合、薬を処方してもらっています。そして外出にはマスクが欠かせません。インフルエンザの頃からの着用ですので、そろそろ5カ月になろうとしています。「人前でマスクをつけている時間が長い」訳ですが、これがなかなかの曲者なのです。

花粉 飛ぶ 量

出典:日本気象協会tenki.jpより

アナウンサーはマスクをつけない
アナウンサーは仕事中マスクを着けません。その理由は主に3つです。まずは声が聞こえないからです。音が明瞭でなかったり、正しく発音できないのではプロとは言えません。2つめは相手に失礼だということ。相手とはゲストやスタッフに対してだけでなく、見ている人、聞いている人も指しています。3つめは大切なことが伝わらないというポイントです。マスクを着けていることで、表情から感情を読み取ることが難しいのです。人は思っている以上に表情を判断の基準にしていますので、注意が必要です。さらに、「マスクをつけている」ことは余計な情報としてもインプットされます。つまり普段とは違う、「マスクをつけている」状況が最初に伝わってしまい、最も伝えたい情報を妨げてしまうのです。また、マスクは目から下のすべての部分を覆ってしまいます。「目」しか出ていないということは、目の印象が悪ければ、いくら笑っていても、明るい声で話していてもそう見えないということです。ではどうすれば「よい印象の目」にできるのでしょうか? 私が実践しているのは、目の周りの筋肉を動かすことです。普通以上に。

花粉症の季節のマスクはコミュニケーションで問題?

目は口ほどにものを言う
目の周りの筋肉とは、まぶたや目尻、頬の上の筋肉です。びっくりした時には、目を大きく開き、まゆげもあがります。笑う時には目尻をより下げるようにし、同時に頬の筋肉を上げるようにします。真剣な時には眉間に力を入れて真面目そうな表情を作ります。言葉を使えば簡単に相手に伝わることもこのように表情に変化をもたせて話すことにより、マスクをしていても的確に、内容を伝えることができるようになるのです。そんなこと簡単! と思っているあなた。鏡の前でマスクをつけた顔を見てみてください。結構「しっかり」やらないと変化がわかりにくいことに気づくはずです。ぜひ気にかけて実践してみましょう。もう一つ、目に関するポイントをお話しておきます。対面で重要なのは相手と視線を合わせることです。ネットコミュニケーションに慣れていると、スマホを見ながら人と話すことも少なくありません。メールのチェックや動画を確認したい気持ちはわかりますが、逆の立場ではどうでしょう。自分が一生懸命話しているのに、ちらりとも目を合わせてくれない人は「聞いてくれていない」と感じるでしょう。子供はママやパパが自分の方をみてくれないとさみしく思います。ビジネスでプレゼンする際も、聴衆と視線を合わせなければ伝わりません。でもどうしても苦手だという方は、次の2つの方法のうちどちらかを試してみてください。

視線を合わせるのが苦手な人は…?
ひとつは相手の目の周り全体をぼやっと見ることです。目と目の間の眉間周辺です。これなら相手と目が合いません。もう一つは相手の口元だけを見続けることです。見る方の視線は外れているのですが、相手からは目が合っているように見えます。そうやって視線を合わせる練習をしてみてください。
春を迎えて新年度がスタートします。初めて社会人になる人もいるでしょうし、取引先に挨拶をしなければならないこともあるでしょう。LINEやFacebookではスタンプ、顔文字でこちらの気持ちを知らせることができましたが、対面では表情がとても重要なポイントになります。ビジネスの場面や改まった場所ではマスクを外して、あなたの笑顔で勝負してください。どうしてもマスクをはずせなかったり、取るのを忘れた場合には、「目」に気を配りコミュニケーションを取りましょう。実際に声を出して「話す」よりも威力があるかもしれません。花粉症のつらいシーズンですが「目力」で乗り切りたいものです。

柿崎元子 メディアリテラシー

連載情報

柿崎元子のメディアリテラシー

1万人にインタビューした話し方のプロがコミュニケーションのポイントを発信

著者:柿崎元子フリーアナウンサー
テレビ東京、NHKでキャスターを務めたあと、通信社ブルームバーグで企業経営者を中心にのべ1万人にインタビューした実績を持つ。また30年のアナウンサーの経験から、人によって話し方の苦手意識にはある種の法則があることを発見し、伝え方に悩む人向けにパーソナルレッスンやコンサルティングを行なっている。ニッポン放送では週1のニュースデスクを担当。明治学院大学社会学部講師、東京工芸大学芸術学部講師。早稲田大学大学院ファイナンス研究科修士
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