男女共同参画推進法案が成立~それでも難しいこれだけの現実
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5/17 FM93 AM1242ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』今日の聴きどころ!②
政治分野における男女共同参画推進法案が成立
7:10~お早う! ニュースネットワーク:コメンテーター鈴木哲夫(ジャーナリスト)
大きな第一歩だが、現実的にどれだけ効力を発揮できるか
参議院内閣委員会は、選挙で男女の候補者数をできる限り均等にするよう政党に求める、政治分野における男女共同参画推進法案を全会一致で可決。昨日の参院本会議で成立した。現在の女性議員の割合は全体の1割ほどで、それを後押しする初の法整備である。
飯田)政界に与えるインパクトはどうですか?
鈴木)遅いくらいの話ですよ。野田聖子さんもそうですが、この法律を何とか作ろうと長い間努力してきた人たちがたくさんいました。その意味では本当に大きな第一歩だと評価できると思います。
しかし、「これがどれだけの効力を発揮できるのか?」です。強制力があるわけではないので、現実的にどうなのか。いま国会議員の状況を見ると、たとえば与党である自民・公明は300以上議席がある。この人たちは、その選挙区の国会議員として、すでに決まってしまっている。
すると、新人枠とかを考えていくと、実は現実的に枠が無いのです。野党の場合も、いま野党統一候補をやっていますが、これもいま落選している人が次を目指してやっているので、そこをガラッと、「○割は女性枠」とするのは、与野党含めて現実的にはなかなか枠がない。この辺が問題になると思います。日本の政治を変えるためには女性総理の誕生が早道
鈴木)野党の辻元清美さんや蓮舫さん、山尾志桜里さんとか、女性議員の方々と議論する場所があって、そこで女性総理の話になりました。「日本の政治を変えるための早道は、女性が総理になればいい」ということです。具体的に言うと、家庭で男女が、来月の家計を何に使うかを相談してみてください。すると、まず男は「今月頑張ったし、来月は家族旅行しよう。旅費が〇円で、自分の交際費がこうで、食費は月1は外食したいし……」となる。
女性の場合、本当に生活を支えている立場から、「子供の貯金が必要」と養育費や、「老後貯金が必要」とか、「食費はそんなにかけないで、しっかり安く買って自炊」とか。
まるでゼロから発想が違うのです。男は外で働いているけど、女性は本当に生活を支えている。その女性が総理大臣になって、家計のように予算を組むことになったら、ガラッと国の予算編成が変わると思います。公共事業とか、ほとんどないかもしれない。将来の子供や社会保障のお金をキープしたり。女性が総理になるだけで、必然的に変わる。SPも半分くらい女性になるかもしれないし、官邸内に託児所ができるかもしれない。かつて、女性議員が多く誕生したとき、国会に女子トイレがないことに気が付いたそうです。これは女性が実際に、現実的に議員になったから、必然的に分かったことだし変わることでしょう?
だから、私は今回の法律は大事だと思うけど、女性が総理になったらガラッと必然的に変わらざるを得ない。日本の予算の仕組みも変わるかもしれない。このインパクトは非常に大きいので、そういう時代が来てもいい気はします。地方議会も含め、どれだけ具体的に進めていけるか
飯田)「男女共同参画」と言われるときは、大体女性が進出していくと、「育児とかは全部いままで通りで、プラスで社会進出」みたいなことばかり言われます。男女共同参画で議員になるのはいいですが、ならば本当は育児とかも男女共同参画でやるべきだろうなと思います。
鈴木)仰るとおりです。だから女性がやるべき事はそのままやったうえで社会に出る、というのは無理。
飯田)スーパーウーマンしか出てこられないですよね。
鈴木)議員になりたくても、子育てしながらでは議会にも参加できない。
バッシングを受けたけど、熊本で子連れで議場に来た女性議員がいましたよね。確かにあれはやり方は間違えていてやり過ぎとは思いました。だけど、あれが意味していることは大きい。ああいうことを考えてあげなければ、女性は議員活動ができない。
今回の法律は大きな第一歩とは思いますが、同時にここから派生して考えなければいけないことは山ほどあるわけです。
私は、本気度を見るためにはこの法律が通った瞬間ではなく、これから連動するところを、地方議会も含めてどれだけ具体的に進めていけるか。それで初めて価値があるかどうかの判断になると思います。人数や枠組みではなく、本質的に改善していかなければ意味が無い
飯田)女性の総務政務官が託児所に公用車を使ったことを野党の女性議員も批判していましたが、そうは言われても仕事前に使えるものがあれば使いたいですよね。
鈴木)そういうのを批判するのも、古い感覚。「女性はかくあるべし」、「女性の役割はこれ」みたいな前提の元で考えている証拠です。永田町を見ていて思いますが、本当に男社会です。男尊女卑と言ってもいいくらい。そのなかで女性が頑張っていくためには、なかなか気を使いながらやっているのがよくわかる。これを突破口にして、永田町を変えて欲しい。役所もそうでしょう? 「国家公務員の女性採用を増やそう」と言っているけど、例のセクハラ事件とか、ああいうのが残っている。やはり、人数、枠組みではなく本質的に変えていかなければいけないと思います。
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