米露首脳会談~まずは「意見が不一致である」ことを確認する会談か

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月29日放送)に外交評論家の宮家邦彦が出演。米露首脳会談に向けた両国の動向について解説した。

米露首脳会談~まずは「意見が不一致である」ことを確認する会談か

来月16日にフィンランドで米露首脳会談開催へ

アメリカとロシアの両政府は、トランプ大統領とプーチン大統領が7月16日にフィンランドの首都ヘルシンキで会談すると発表した。両首脳の正式な会談は去年7月以来で、冷戦後最悪とも言われる米露関係の改善につながるのか注目されている。

飯田)ボルトン大統領補佐官がロシアを訪問して、話をつけてきたと。なんだかこれも急に決まってきますね。

宮家)本来だったら、もっと早くやっていなきゃいけないわけですよね。ところが、大統領になる前から、ロシアゲートという一連の疑惑があって、それは全然収束していないわけですよね。更に、ロシアの方もウクライナ、クリミアで味噌をつけて経済制裁まで食らっているわけですから、どう考えても関係が改善する状況にはないのですよ。
じゃあ米露が全然話をしなくていいのか、と言ったらそういうわけにもいかないので、ようやくこの段階でできるということです。フィンランドは場所的にもロシアの隣で中立的な地域ですから、相応しいのかなと思っています。

飯田)中身というと、何かありそうでしょうか?

宮家)中身は、ないでしょうね。というのは言い過ぎだけど、全ての点でロシアが譲歩していないどころか、最近はNATOやシリア方面、北朝鮮問題でもいろいろな動きをしていて、アメリカとの関係がこれで良くなるわけはない。
ロシアとしては「アメリカは何を言っているんだ。ロシアが本気でやったらアメリカの利益をどんどん潰すことができるんだぞ、だから早く経済制裁を解除しろ」と言っているわけですよ。だけど何を言っているんだとこっちも思いますよね。だから物事は今回動かない。正式に対面して、意見が不一致であることを認め合って、恐らくそれでおしまいでしょうね。進展があれば良いなとは思いますけれど、あまり期待はしていません。

今回も中間選挙へ向けたトランプ大統領のパフォーマンスか

飯田)もうこれは、顔合わせに過ぎないということですか。北朝鮮の金正恩委員長と会うときは、中間選挙に向けてのアピールという目的がありましたが、今回は何かアピールになったりするのですか?

宮家)ある程度はあると思いますが、シンガポールでの米朝会談程はないでしょうね。どっちみちトランプさんは中身にあまり興味がないですから。注目を集めて、中間選挙で負けないで、2020年に再選するというのが彼の戦略でしょうから。その一環として、今回のショーを上手く利用するとは思うけれども、中身についてはどこまで解っているのでしょうねこの人は……。

飯田)以前も宮家さんは、アメリカと中国を見たときに、2正面はできないからロシアとは何らかの形をとるとおっしゃっていましたが、それが具体化したということですか?

宮家)ロシアゲートがなければ、そしてトランプさんがもっと普通の大統領だったら、ロシアとの関係改善をある程度した上で、戦略的に対象を絞るのは理にかなっていると思うのですよ。だけどトランプさんはそんなことを考えていないのではないかと思うのと、それ以上にプーチンさんが関係改善を上手く利用しつつ悪いことをやめないですから。あまり成功しそうな感じはしないですね。当分このままだと思います。

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