米のイランへの経済制裁再開~日本は米とどう交渉するべきか

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「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月27日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。アメリカが日本に要求するイラン産原油の輸入停止について解説した。

トランプ政権、日本にイラン産原油の輸入停止を要求

アメリカ、トランプ政権が、日本に対しイラン産原油の輸入の停止を求めていることがわかった。アメリカはイラン核合意から離脱し、イランへの経済制裁の再開を発表。原油などを制裁対象とする方針で、日本に協力を求めたとみられる。

飯田)日本とイランと言うと、かつて列強、セブン・シスターズと呼ばれた石油メジャーたちが封じ込めを行ったときに、出光佐三が『日昇丸』という船を仕立ててイランから原油を運び出したというような『海賊と呼ばれた男』なんて小説もありましたけれども。これは日本だけじゃないみたいですね。

高橋)もちろんです。制裁ですから全ての国にやっていることです。こういうのは交渉なので、日本としては他の国はどうなのと、まずそこですね。他の国が皆従うと日本も苦しくなるのですが、他の国がしたがらないのだったらじゃあ日本も、というわけでしょう。
だから他の国に「どうですか?」と聞いたりして、当然他の国との連絡も取って交渉するのだけれど、アメリカに「おたくからもっと安く売ってくれるか」みたいな話をするのですよ。

米のイランへの経済制裁再開~日本は米とどう交渉するべきか

中東依存の現状からアメリカへ少しシフトするという道もある

高橋)イランは日本の輸入量の5%です。中東が8割だけれども。それを徐々に中東依存を減らしてアメリカにシフトしていくということは、逆に言うと合理的なのですよ。アメリカが安くしてくれるならそれでもいいと。西海岸にパイプラインを引くことを、トランプ大統領が公約にしていましたので、そこが上手くいくと、そこからは日本への輸出が可能になります。日本のエネルギー戦略からいくと、中東に8割なのは南シナ海のこともあるので危険です。分散させなきゃいけなくて、その先はアメリカとロシアですよ。ロシアも今5%ほど輸入しているので、アメリカも5%というのは丁度良い数字なのですよね。

飯田)それで数字の辻褄が合うのですね。

高橋)そういうのも交渉ですよ。交渉するときに安く売ってくれて、多様化するならば日本としては悪くないという答えにもなります。
いままでイランで一生懸命仕事に関わっていた経産省の人は、絶対反対すると思いますけどね。でも多様化はどこかでしなくてはいけないから、どこで乗るかだけれども、もしイランの話でアメリカが代替してくれるならば、これはこれでありかもしれない。

飯田)いまおっしゃったように、いまのところはメキシコ湾に積み出しの基地があるから、パナマ運河を通るとコストが高いと。

日本の国益を優先した交渉が必要

高橋)でもパイプラインを通せば、西海岸から出せるでしょう。だから日本にとっては安定した輸入先になるかもしれない。目先の話じゃなくて、長期的な日本の戦略と国益を考えながら交渉するのですよ。

飯田)ここで頭にきて「トランプけしからん」と言わないと。

高橋)言ってもいいけれど、言いつつ冷静に計算して、ロシアからの輸入を北方領土の絡みで増やして、アメリカも増やして、と多様化させていくのが日本の国益だと思います。イランは中東だから危ないでしょう。

飯田)ホルムズ海峡を通り、更に南シナ海を通ると。

高橋)危ないし輸送コストもかかるから、アメリカから条件として安く売ってくれるか聞いた方がいいかもしれませんね。

飯田)その辺は交渉術ですね。

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