アメリカの核合意離脱で揺らぐ中東情勢

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5/11 FM93AM1242ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』今日の聴きどころ!⑤

イランがイスラエル占領地へ砲撃
7:44~ココだけニュース スクープUP!:コメンテーター高橋和夫(国際政治学者)

ゴラン高原 イスラエル 攻撃 イラン

占領地ゴラン高原に配置されたイスラエルの兵士=2018年5月10日(ゲッティ=共同) 写真提供:共同通信社

イランの攻撃を受け、イスラエル軍が報復攻撃

イランがシリア領内からイスラエル占領地ゴラン高原へおよそ20発のロケット弾を発射した為、イスラエル軍は10日報復としてシリアにあるイランの精鋭部隊「革命防衛隊」の軍事拠点を空爆したと発表した。イスラエルによる対イラン攻撃としては、近年では最大規模。互いを敵視するイスラエルとイランの緊張はさらに激化し、本格的な軍事衝突の懸念も強まっている。

飯田)これについてはメールも沢山頂いています。足立区「まさお」さんからは「北朝鮮は中国を後ろ盾にアメリカ、トランプ大統領に挑もうとしていますが、体制維持の為に核兵器を手放すとは思えないと思います。一方で、中東のイランとイスラエル、サウジの動きも気になります」。それから「瀬戸は夕凪」さんからは「アメリカがイランの核合意から離脱を宣言した途端に、イランとイスラエルがシリアを舞台に紛争を始めています。連動しているんでしょうか?」というメールを頂いています。今週はイランの核合意破棄から急激に動いていますが、中東専門の高橋和夫先生、如何ですか?

高橋)シリアにはシリアのアサド政権を支える為にイラン軍が沢山入っていて、イラン軍が入って来るのはイスラエルにとって脅威だということで、これまで何度もイスラエルがイラン軍の拠点を爆撃していたのです。ずっとイランは耐えてきていたのですが、いつかイランが我慢できなくなって反撃するとイスラエルは身構えていて、5月12日にアメリカが核合意から離脱するだろうと予想していたらトランプさんが2日くらい早く離脱して、恐らくイラン側はトランプの決断が出るまでは動かないという読みでイスラエルはやりたい放題爆弾を落としていて、合意が切れたからイラン軍が反撃に出たというのが順当な読みですね。それに対してイスラエル側が待ってましたとばかりに大規模な攻撃をした、というのがいまの展開ですかね。

飯田)イランからは20発のロケット弾でしたが、イスラエル側は70発以上ミサイルを撃ち込んだ、過去最大規模だと言われています。これは徹底的に叩く、やるぞという意志を見せたというところですか?

高橋)そうですね。イスラエルの国防大臣の発表によれば、イランの軍事インフラはほぼ破壊したと。イスラエルの力をみたか、いい加減にしろお前らというメッセージを出していますね。

ヒズボラ

ヒズボラの旗(ヒズボラ - Wikipediaより)

イスラエルがイランを攻撃するわけ

飯田)これは核合意を破棄、ひょっとするとイランがまた核を作り始めるのが怖いということですか?

高橋)それも怖いのですがそれとは別に、シリアのアサド政権を守ると言ってイラン軍がどんどん入ってきて、沢山のミサイルを貯蔵してイスラエルをイランの射程内に入れる。それは困るということで事前に叩くのがイスラエルの政策ですね。シリアでイラン軍がイスラエルの方向にミサイルなんて撃ったら滅茶苦茶に反撃されるのは分かっているのに何故やったのか、ということです。それでもやらざるを得なかったのか、あるいは現地のイラン軍が暴発してしまったのかは不明ですね。

飯田)地図で見るとシリアとイスラエルは東西で接していますけれど、北にあるレバノンというところはイランの勢力下にあると言われているヒズボラという組織が選挙で勝ちましたね。

高橋)ヒズボラというのはアメリカに言わせるとテロ組織ですけれども、現地に行くと勿論軍事力も持っているのですが政治活動もしている。一番大きいのは福祉活動で貧しい人たちに施しをするという、一大NGOなのですね。そういう柔らかい面も持っていて、シーア派の支持は強いのです。もう1つは、レバノンの南部をかつてイスラエルが占領していたときに、ヒズボラの人たちが戦ってイスラエル軍を追い出した。だから中東最強のイスラエル軍に勝ってレバノンの国土を守ったということで、ヒズボラが嫌いな人たちもそれは認めているというところもあります。

飯田)レバノンというところも、政権を握っているのはスンニ派ということでいいのですよね。それでヒズボラはシーア派でかなり支持が強いと。今回はマジョリティを取ったと。ここはシーア派とスンニ派のせめぎ合いのあるところですか?

高橋)それとキリスト教徒もいますし、一応トップはキリスト教徒です。

飯田)3つの勢力のバランスをとるというところですね。

高橋)大統領はキリスト教徒で、議会のトップはスンニ派でとかいうマレーシア以上に複雑で、そんなに沢山キリスト教は宗派があるのかというくらい宗派がありますよね。

飯田)この間レバノンの偉い人が、サウジアラビアに呼び出されていませんでしたか?

高橋)レバノンのハリリ首相が呼び出されて辞めろ、と言われて嫌々ながら辞めると言ってやっぱりレバノンに帰って辞めないと言って。ちょっとサウジのやり方が乱暴だなと思わせた事件でしたよね。

ハリリ 首相 サード ハリーリー

サード・ハリーリー - Wikipediaより

サウジとイスラエル~敵の敵は味方か?

飯田)対イランということで言うと、今まで不倶戴天の敵同士だったイスラエルとサウジが意外と接近しているんじゃないかという報道も見られますね。

高橋)サウジはイラン敵視でイスラエルもイラン敵視で、トランプさんもイラン敵視で。だからそういう意味ではサウジがイスラエルと仲良くしている。サウジはイスラムの守護者でイスラムが看板ですから、イスラエルとくっついて国民の支持がついてくるのかなというのは心配ですね。ただサウジは言論の自由のある国じゃないですから、サウジの新聞が王様を批判はしませんけれどね。それだけに国民の声を聞くという態度がないと危ないです。

ムハンマド ビン サルマーン

ムハンマド・ビン・サルマーン - Wikipediaより

サウジの実権を握る若き王子

飯田)実権を握っているのがムハンマドという30代の若き王子と言われていますが、彼はどちらかと言うとガンガンいっちゃうタイプなのですか?

高橋)お父さんの世代は、サウジはお金がありますから表には出ずに結果は取る。ムハンマドさんはお金もあるし力もあるぞと、表にでてガンガンいってしまう。それが暴走気味で、普通はアメリカが止めるんですけれど、アメリカはトランプさんなのでけしかけるようなところもあって、勘弁してよというのが周辺のイラン、或いはレバノンの人たちの感覚ですね。

飯田)アメリカが前に出てコミットしていたのが、どんどん後ろに引いておたくらで勝手にやれみたいに見えつつあるのですが、どうですか?

高橋)アメリカの人たちは、中東でアメリカ人が死ぬのはうんざりだと。いまアメリカで石油がどんどん取れるから、石油が欲しいなら日本人や中国人が行きなさいよと。行って死にたくないと。トランプさんのアメリカファーストというのもそれを反映していて、アメリカ人の命がファーストだと。アメリカの国益のためのアメリカがファーストで、中東で死ぬのはドイツ人とかフランスにやってもらえよ、というのが基本的なスタンスですよね。時々トランプさんがもうシリアから出ていくぞ、とポロっと出して、ご乱心あられるなとマティス国防長官が必死で止めたりという場面が出てきますよね。

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