ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月9日放送)に防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実が電話出演。災害や避難情報に対する一般市民の意識の問題点を解説した。
気象庁の必死の避難指示も市民に届かず
西日本を中心とした記録的豪雨による被害がなぜこれほどまでに拡大したのか、また今後の防災の在り方はどうあるべきなのだろうか。
飯田)今回の被害をどうご覧になっていますか?
渡辺)気象協会から「降り始めから1,000ミリを超える雨が降った」とありました。これは尋常なことではありません。我々はいまの日本列島がいかに自然災害に対して厳しい環境にあるのか、再認識しなければいけません。
飯田)氾濫などの警戒はかなり呼びかけていましたが、被害は拡大した。この特別警報のシステムはどこまで機能するのでしょうか?
渡辺)今回、はじめて11府県に対して特別警報が発せられましたが、情報とは、「発信する側と受け手側が同じレベルになっていないと情報が生きない」という原則があります。今回の情報の出し方を見ていると、気象庁は特別警報を出し、必死になって避難を呼びかけていましたが、その情報の受け手側(市民)が、情報の意味を正確に理解できていない。また、いま連絡を取り合っていますが、どうも自治体がキチンと情報伝達できていない実態も見えてきました。これでは被害が拡大するのは避けられない状況です。いま我々の社会は危機的なエマージェンシーな情報に対して、鈍感になっている可能性がありますね。
「避難指示」と「避難勧告」の違いが理解できていない人が多い
飯田)そういう意味では、情報を待つよりは自分たちでどんどん判断して、避難していかなければ、とも思いますが、身を守る際のポイントはありますか?
渡辺)水害については、水平避難と垂直避難と呼ばれるものがありますが、これだけ短時間に大量の雨が降った場合、避難のタイミングを逃してしまうと……多くの方が2階で手を振っていましたが、あの実態がまさに今回の災害の真髄を表していると思います。周囲の事象が自分の避難行動と、上手くセットできない状況が生まれている。そうすると、もっと強烈な情報発信の方法を、情報を出す側はしなければならない。いま「避難指示」、「避難勧告」という言葉があります。これを災害が起きたあとに一般の方にアンケートを採ると、「指示と勧告の違いがよく分からない」となるのです(避難指示は、避難勧告よりも状況が悪化したり、人的被害の危険性が高まった状況の場合に発令される)。
飯田)出た時点で動き出さなければ間に合わなかった可能性がある、ということですね。
渡辺)いよいよ、「避難命令」という言葉に移っていかないといけないかもしれません。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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