いまの地球、ホントに大丈夫?『不都合な真実2:放置された地球』
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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第310回】
さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、11月17日公開の『不都合な真実2:放置された地球』を掘り起こします。
アル・ゴア氏が再び警鐘を鳴らす!地球環境ドキュメンタリー
地球環境問題に警鐘を鳴らすアル・ゴア元アメリカ合衆国副大統領の姿を描いた『不都合な真実』。ドキュメンタリー映画としては異例の大ヒットを記録し、アル・ゴア氏はその後、地球環境問題における功績によりノーベル平和賞を受賞。人々の意識に反映されることで環境問題は改善されていくかと思いきや、悪化の一途をたどっていると言っても過言ではないのが現状です。
そんな中、アル・ゴア氏が再び警鐘を鳴らす『不都合な真実』の第2弾となる『不都合な真実2:放置された地球』が公開。前作から10年の時を経て地球の“現実”を伝えます。
記録的な豪雨、厳しい酷暑、強力な台風、大洪水。今作で映し出されるのは、地球温暖化の影響により、様々な異常気象が世界中の各地で発生しているその現実と問題を訴え続けるアル・ゴア氏の姿。必死の形相で時に声を荒げ、時に祈るように使命を全うする、その活動は“闘い”の連続。地球温暖化対策の国際的枠組みであるパリ協定の実現に向けて奔走した人々の情熱に迫る一方で、そのパリ協定から離脱を決めたトランプ大統領に施策などについて言及する一幕も。まさに“いま”を描いたタイムリーな映像なのです。
とは言え、本作では環境の悪化面だけを取り沙汰し、嘆かわしく描いているわけではありません。
再生可能エネルギーへの転換が大きく進展しているといった事実に触れるなど、物事の“両面”に触れているのも大きな特徴。
またゴア氏自身が世界中を飛び回り、その国の“現実”を目の当たりにすることで、作品全体がアグレッシブなものとなり、観客もその“現実”を受け止めざるを得ない作りとなっています。
思えばこの10年、エコ活動や環境問題といった言葉は私たちの生活の中に随分と浸透したのではないでしょうか。しかし地球規模の問題はあまりにも大きく、ひとひとりの力ではどうにもならないような無力感に囚われてしまいがちなのも事実。
それでも例えば、エアコンの設定温度を調節したり、お買い物にはエコ・バッグを使用したり…と、各人が個々に出来る身近なことをやり続けることが大切なんだと改めて気付かされます。
環境問題を風化させない。
これこそが本作の最大のメッセージなのかもしれません。
不都合な真実2:放置された地球
2017年11月17日からTOHOシネマズみゆき座ほか全国ロードショー
監督:ボニー・コーエン、ジョン・シェンク
出演:アル・ゴア
©2017 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
公式サイト http://futsugou2.jp/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/