世界的なモデルだった安珠が写真家になったのはなぜか

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黒木瞳がパーソナリティーを務める「あさナビ」に写真家の安珠が出演。世界的なモデルだった安珠がなぜ、写真を撮るようになったのか、そのいきさつを自身の写真観とともに語った。

黒木)今週のゲストは、写真家の安珠さんです。久しぶりですね。出会いがちょっと遠ざかっていました。

安珠)そうですね。よく撮影させていただきました。みなさんが知っているのだと、『失楽園』のポスターを撮らせていただいたり。

黒木)ご一緒していましたね。当時は女性写真家が珍しい時代でした。しかもお若かったし。経歴だけ見ると、「ジバンシーにスカウトされ、パリへ行き、『ヴォーグ』や『エル』のモデルをやったり、パリコレとかをやっていた……そして、なぜかご自分が撮られる側から撮る側に」とあります。

安珠)私は「モデルがしたくて、した」というより、写真をはじめたきっかけは遙かかなた、10歳の頃に戻るのです。そのとき、大病をして。「私、このまま死ぬんだ」と死を受け入れたのが10歳のときでした。
「永遠はない」とふと気付いたのです。窓の外の風景は刻々と時間が変わっていくけれど、もし自分が消えてなくなってしまっても窓の外の風景は流れていくんだな、と思ったら「このいろいろな思いも一瞬で消えてしまう。何て儚いんだろう」と思ったのです。そうしたら、奇跡的に助かり、いまこんなに元気になってしまったのですが(笑)。そこから、「時間」というものに強く意識するようになりました。それで絵を描くような毎日でしたが、モデルにスカウトされて、初めてコマーシャル撮影でコンテ通りに衣装を着て写真をインスタント・カメラで撮られたときに、「ほら、こうなるよ」と見せられたら、手のひらに1枚の紙切れというか写真が乗っていて、「さっきの私が写っている!」と思ったら、「はっ、これは私よりも永遠に残るんだな」と思ったんです。

黒木)それがモデル時代。10歳のときの気持ちとつながったわけですね。

安珠)それで、人生はやはりいろいろな出来事で点を打っていくけれど、それがつながっていくのが人生だなと思って。写真を知りたいがために、モデルをはじめました。モデルをはじめて、写真という物の永遠性に衝撃を受けて。たとえば幕末の坂本竜馬を、もちろん私たちは知らない。でも、1枚の写真で、着物にブーツを履いて、すごくハイカラなキャラクターまで分かるというか。一瞬を撮った写真が永遠に伝えられていく、その写真のすばらしさに目覚めて。
そして、写真を撮りたいと思い、いちばん身近な職業がモデルだったので、モデルになりました。

黒木)平安京に焦点を当てたものや、中国に当てたものとか。そうした風景も、「時間を閉じこめておきたい」という思いから?

安珠)そうですね。仙人は千年生きると言うじゃないですか。蜻蛉(カゲロウ)は3、4時間しか生きないけど、両方とも同じ価値というか、同じ命じゃないですか。それも、「全部この風景の一時なのだな」と思ったら、すごく腑に落ちたというか、気持ちがおおらかになれました。「この景色をみんなにも見てほしい」と思い、全国で写真展をやったり、みんなに伝えることをしましたね。

黒木)そこには、命は永遠に続かないという、安珠さんの子供の頃からの思いがちょっと閉じこめてある?

安珠)永遠じゃないけれど、その一瞬は……。

黒木)永遠、ですね。

安珠)人の心に残っていくのです。

安珠/写真家

東京生まれ。学生のときにデザイナー・ジバンシーが来日し、専属モデルとしてスカウトされ渡仏。パリを拠点に世界各国の「ヴォーグ」や「エル」、パリコレに出演し、国際的なモデルとして活躍。
帰国後、1990年に写真家に転身し『サーカスの少年』を出版。その後、『少女の行方』『星をめぐる少年』『小さな太陽』など、文章を織り交ぜた物語のある独自の写真世界を表現。
また写真家として活躍する中、広告、雑誌連載、文筆、講演、審査やTV出演、ビジュアルプランから映像監督まで幅広く活躍。
2014年、東北を中心に「こどもたちの夢」をテーマにした写真集『Dream Linking☆つなぐ夢、千年忘れない』を出版。全国とパリで写真展を開催。
2017年発表の京都ライカギャラリーで、平安京に焦点を当てた『Invisible Kyoto-目に見えない平安京-』と並行して、中国の世界自然遺産である張家界の作品『仙人の千年、蜻蛉の一時』も長期に渡り撮影。オリジナルの写真世界を作り出す写真家として活躍している。
7月11日からは、安珠写真展『ビューティフル トゥモロウ~少年少女の世界』を開催。

『ビューティフル トゥモロウ~少年少女の世界』
2018年7月11日~8月28日まで。入場無料。
場所:キャノンギャラリーS(東京都港区)
これまで取り組んできた「少年少女の写真世界」をテーマにした作品展。
デビュー以来、写真展でオリジナル曲を提供してきた細野晴臣による楽曲が流れ、安珠さんの世界観をより一層演出。

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