雅楽師・東儀秀樹が、黒木瞳がパーソナリティの番組「あさナビ」(ニッポン放送)に出演。日本古来の伝統音楽である雅楽について、新アルバム『ヒチリキ・シネマ』の紹介とともに語った。
黒木)今週のゲストは、雅楽師の東儀秀樹さんです。8月1日に発売された新しいアルバムを出されましたが、これは映画音楽の名曲を扱ったアルバムということでしょうか?
東儀)そうです、『ヒチリキ・シネマ』というタイトルのアルバムで、勝手に僕が思いついた映画音楽を編曲して、雅楽の楽器でメロディーを取とるというものです。
黒木)楽器は何ですか?
東儀)主旋律は「篳篥(ひちりき)」という楽器で、後ろで「笙(しょう)」という楽器が鳴っていたり、あとはシンセサイザー、ドラム、ピアノ、ベース。ピアノ、ベース、ドラム、ギターを全部僕が1つ1つ弾いて1人でやっているのです。
黒木)これはご自分で閃いて、楽曲を作られるのですか?
東儀)そうです、全部自分で。
黒木)考えるというか、プロデュースされることは多いのですか?
東儀)そうですね、特殊な楽器を扱っているから、それをどう活かすかというのは他の人よりも道を知っていると思います。雅楽をやる前に、高校の頃はバンドを組んでギターを弾いていました。ロックが好きです。
黒木)東儀さんと言えば、楽家の家系でいらっしゃる。
東儀)そうです。雅楽を代々続けている家を楽家というのですけれども、その1つが東儀家なのです。
黒木)学生時代はバンドをやっていたとおっしゃっていましたが、子供の頃からそういった雅楽で使う楽器は弾いていらしたのですか?
東儀)いや、全然やっていなかったです。この家に生まれながら、いまは決まりじゃないから両親も僕を雅楽師にさせようなんて思っていなかったし、僕も思っていませんでした。幼稚園の頃にビートルズにハマったり、中学高校はロックとジャズ三昧だったので、そういう方面で身を立てようと思っていたのです。
黒木)洋楽ですね。
東儀)そんなときに、両親が「そんなに音楽に目覚めているなら、どうせなら東儀家として雅楽をやってみればいいのに」と言われたのがきっかけでした。もちろん自分の家がそういう家だというのは知っていましたが、高校を卒業してからスタートしているのです。
黒木)大人になってから雅楽に触れたという感じですね。それが逆に良かったですか?
東儀)良かったですね。雅楽以外のものを知っているから、比べることで雅楽の良さを知ったり、比べることで雅楽の疑問を見つけることができたので。小さい頃から雅楽だけをやっていたら、いまの僕はいなかったと思います。
東儀秀樹/雅楽師1959年・東京生まれ。奈良時代から続く楽家(がくけ)の家系。
父親の仕事の関係で幼少期を海外で過ごし、ロック・クラッシック・ジャズ等あらゆるジャンルの音楽を吸収。高校卒業後に「宮内庁楽部」に入る。
篳篥(ひちりき)を中心に、琵琶、太鼓類、歌、舞、チェロなどを担当。宮中儀式や皇居において行われる雅楽演奏会などに出演するほか、海外公演にも参加。またピアノやシンセサイザーとともに雅楽の持ち味を生かした独自の音楽も創作。
1996年、デビューアルバム『東儀秀樹』をリリース。以後、次々とアルバムをリリース。日本レコード大賞企画賞やゴールドディスク大賞など数々の賞を受賞。舞台・映画・CMなど様々な音楽を担当して不動の地位を確立。
またNHK大河ドラマ「篤姫」で孝明天皇役を務めるなど俳優としても活躍。絵の才能を発揮し、絵本の挿絵を担当するなど幅広い活動を続けている。
2018年8月1日には、新アルバム『ヒチリキ・シネマ』がリリースされた。
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