富田林署逃走事件~遅れている日本の監視カメラシステム

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月20日放送)ジャーナリストの須田慎一郎が出演。富田林署での逃走事件を題材に、日本とイギリスの捜査システムについて解説した。

富田林署から逃走1週間~容疑者の似顔絵で情報提供呼びかけ

大阪の富田林警察署から拘留中の樋田淳也容疑者(30)が接見後に逃走した事件。大阪府警は昨日、メガネやマスク姿など、8種類の樋田容疑者の似顔絵を公開した。府警が連日およそ3,000人の捜査員を投入して行方を追っているが、樋田容疑者の関与が疑われるひったくり事件の発生場所はさらに北上し大阪市内にまで及んでいる。「新たな被害を出すわけにはいかない」と、府警は焦りをにじませている。

飯田)似顔絵は8パターン。メガネ、帽子、マスク着用の姿を想定したものなどです。富田林署は大阪でも南の方にあります。確かに、ひったくり被害を地図で見ると、だんだん北上しているように見えます。

須田)ここ最近、「似顔絵を出す」というのは諸刃の、最終手段でもあるわけです。以前はよくモンタージュ写真がありましたが、あれを出してしまうと先入観が一般市民にも入ってしまうから、なかなかモンタージュ写真から犯人を割り出すのは難しいということで、もう少しおぼろげ、というか緩やかな形として似顔絵を出した。しかし、「8種類も出されると、どれを見たらいいのか?」という話になってしまいますからね。

日本の見当たり捜査とイギリスの監視カメラシステム~それぞれの特徴

須田)今日の産経新聞朝刊の産経抄で、面白い下りを書いているのです。「大阪府警には、実は自慢の捜査方法がある。指名手配写真を手がかりに、写真を捜査員が見て、そのなかで特徴をつかみ、街中を歩きながら容疑者を見つけ出す、見当たり捜査がある」と。これは、大阪府警はけっこう得意技らしいのです。
「見当たり捜査」とは、それがすべてではないですが例えば「耳の形」は人によって全部違います。そこだけを見るわけではないですが、そこを中心に、駅前を歩いている大勢の人のなかから、耳の形で本人を特定する。このような手法があるそうです。職人技みたいなところあって、過去に何十人か犯人検挙につなげてきた経緯があります。「それを投入します」と書いているのです。
しかし、それはすごいとは思いますが、少し前近代すぎないかなと思うのです。私は昨日までロンドンにいたのですが、ロンドンは監視カメラがものスゴく多いのです。ほとんどすべての場所にあります。例えば中心部にある大きなウォータールー駅。「その構内に入ると、監視カメラを逃れて駅構内を歩くことはほぼ不可能だから気を付けよう」と言われているくらいです。そこに犯人など、特定人物の写真情報を入れておくと、勝手に機械的に人物特定ができるシステムも入っているのです。

飯田)イギリスの内務省はスゴいですからね。MI5とかMI6とか言われているところ。

須田)そのくらい技術は進歩しているのに、日本でいまさら「見当たり調査」と言われても、というのがあります。しかし、そうは言ってもそれだけの職人が揃っているのだから頑張って欲しいとは思います。

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容疑者は監視カメラのデータ提供が遅れるお盆休みを狙ったか

飯田)警察の方に取材すると、「日本も監視カメラなどの技術は進歩しているけれど、その1つずつのデータを全部まとめて見る、という部分ができない」と。人権の問題などももちろんありますけど、結局そこを、安全と人権を秤に掛けるような、それを考えなければいけない時代になってきているのでしょうか?

須田)どちらを重視するかですね。ちょうどお盆休みの最中ですよね。だから、いろいろ監視カメラや防犯カメラのデータを提供してもらうのに、提供先がお盆休み中で、提供して貰いにくい、という状況もあるようです。

飯田)偶然かもしれませんが、その間隙を突いたのでしょうか?

須田)その可能性もありますね。

飯田)写真は各メディアや警察のホームページでも公開されていると思いますので、ご覧いただければ、と思います。

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