車椅子が愛犬と家族を笑顔に! シニア犬の闘病記と挑戦記

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【ペットと一緒に vol.104】
コーギー 車椅子 犬用 ドッグラン ペットロス いぬ 犬 イヌ ペット 犬専用
突然歩けなくなった愛犬のために、車椅子をプレゼントしたK.Y.さん。初めての車椅子に戸惑う愛犬の姿を見て途方にくれましたが……。今回は、Yさん夫妻と愛犬の笑顔と涙の物語をお届けします。


ペットロスから立ち直るきっかけに

Yさん夫妻の愛犬は、生後3カ月のときにブリーダーさん宅からやってきた、ウェルシュ・コーギー・カーディガンのロンくん。
「実は、ロンを迎える5カ月前に、19歳の柴犬のコロを亡くしてひどいペットロスに陥ってしまったんです。そこから立ち直るきっかけを、ロンは与えてくれました」と、妻のKさんは振り返ります。

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Kさんの友人が作ってくれたコロ&ロンくん雛人形

もともと牧畜犬として、原産国のイギリスで広い草原を走り回っていたコーギー。ロンくんも例に漏れず、タフで活発でやんちゃだったとか。
「生後半年齢のとき、おもちゃのプラスチックと紐を飲み込んで開腹手術をしたこともあるんですよ。ロンのあまりのいたずらぶりに翻弄される日々を過ごしているうちに、気づけばペットロスからも回復していました」。

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サッカーボール遊びが大好きなロンくん

ロンくんにはしっかり社会化とトレーニングをする必要があると感じたYさん夫妻は、犬の幼稚園にロンくんを通わせたりもしたそうです。
「おかげで社会に受け入れられるようなマナーも身に付け、ほかの犬とも上手に遊べるようにもなったので、犬連れ旅行にも挑戦。コロは、ほかの犬や家族以外の人にはあまり興味がない生粋の柴犬気質だったうえ、当時はドッグランや犬と泊まれる施設もなかったので、一緒の旅行は叶わず。違うタイプに育ったロンとは新しい楽しみもできました」

そう語るYさん夫妻は、山中湖、河口湖、箱根などを中心に、これまで40回ほどロンくんとの旅を満喫したそうです。

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旅先での笑顔


ついに訪れた、この日

元気いっぱいのロンくんでしたが、13歳を過ぎたあたりから、脚が弱くなってきたことをYさん夫妻も実感し始めたと言います。

「短足胴長の体型のコーギーは、足腰に負荷がかからないような生活が理想です。ロンの行動範囲にはカーペットを敷いたり、階段の上り下りはさせないようにずっとしてきました。それでも、シニアになって筋肉が衰えてきたせいか、歩きにくそうになって……。そこで、犬の整体師さんにロンの体のメンテナンスをお願いするようになったんです」と、Kさんは語ります。

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ボールが大好きなロンくんの姿がKさんの友人の手でストラップに

その甲斐もあり、普段通りの散歩を楽しんでいたロンくん。ところが14歳になって間もないある日、散歩中に急に立ち止まったまま歩けなくなってしまったそうです。
「あぁ、ついにこの日がきてしまった! と肩を落としましたね。コーギーには、老齢になると後ろ脚に力が入らなくなるケースがあるそうなんです。以前からそれを知っていましたが、ロンもかぁ……」と、Yさん夫妻が悲しみに暮れたのは言うまでもありません。

「だけど、万が一その日がロンに訪れたときのために、準備をしておいたんです。犬の整体師さんから聞いた、厚木市にある犬専用の車椅子ショップへ、すぐにロンを連れて車を走らせました」
車椅子ショップで採寸やフィッティングをして、およそ4時間後にはロンくんのオーダーメイドの車椅子が完成。

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体重16kgのロンくんには4輪の車椅子がベストマッチ

「コロは歩けなくなってから食欲も減ってどんどん衰えてしまって、1カ月後に旅立ってしまいました。それもあって、ロンには寝たきりになってもらいたくない! と強く願っていたんです」と、Kさん。
ところが、車椅子を装着するとロンくんは固まってしまったと言います。

「え!? どうして? と、ものすごく焦りました。なんとか歩いて欲しいと思い、整体の先生に相談したところ、おやつで釣る作戦をすすめられて」
さっそく試したところ、食いしん坊のロンくんは、前足を地面に踏みしめながらおやつを目指して歩きはじめたそうです。

こうして、1週間後には車椅子で上手に歩けるように。
朝と夕方、それぞれ1時間ほどの散歩を楽しむ生活が戻ってきました。

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自宅近くでおやつを持って迎えるママを目指してダッシュするのが日課


弟ができたロンくんに、変化が!

車椅子のロンくんは、箱根旅行も実現させました。
「芝生のドッグランで、笑顔で歩いたり走り回ったりしているのを見ると、本当に車椅子をオーダーして良かったと思いましたね」と、Yさん夫妻は口を揃えます。

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今年5月には箱根旅行を車椅子でエンジョイ

15歳になったロンくんには、ジャック・ラッセル・テリアの陸くんという弟もできたそうです。
「自分たち夫婦の年齢を考えると、そろそろロンの次の愛犬を迎えようかと。老犬にとって、子犬は活力を与えてくれるという話を聞いたこともあって、少し期待もしつつ」と、その動機を教えてくれました。

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ロンくんと陸くん

期待どおり、陸くんの存在がロンくんのやる気スイッチをオンに!
「何年かぶりにおもちゃ遊びを始めたんです。ライバル心を燃やしてか、同じおもちゃを噛んだりして(笑)。毛艶も良くなったように感じますね」と、Kさんは微笑みます。

陸くんのおかげで室内でも活発さを取り戻したロンくんは、前脚も筋肉質になり、気持ちも若返ったようです。

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現在は毎月2回の鍼灸治療と週1回のマッサージをしている、ロンくん

「車椅子でカラカラと走っていると、『がんばれ~!』って見知らぬ方から声をかけられることもめずらしくありません。そうすると、ロンは笑顔を見せていますね」
そう言いながらロンくんを撫でるKさんの表情もまた、とても輝いていました。

連載情報

ペットと一緒に

ペットにまつわる様々な雑学やエピソードを紹介していきます!

著者:臼井京音
ドッグライターとして20年以上、日本や世界の犬事情を取材。小学生時代からの愛読誌『愛犬の友』をはじめ、新聞、週刊誌、書籍、ペット専門誌、Web媒体等で執筆活動を行う。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の行動カウンセリングを学び、2007~2017年まで東京都中央区で「犬の幼稚園Urban Paws」も運営。主な著書は『室内犬の気持ちがわかる本』、タイの小島の犬のモノクロ写真集『うみいぬ』。かつてはヨークシャー・テリア、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らす。東京都中央区の動物との共生推進員。

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